はじめに(2024年11月8日更新)
全国香水聖地ガイド<トップオブトップ(聖地の中の聖地)>
- メゾン クリスチャン ディオール 大丸心斎橋店
- ルイ ヴィトン 表参道
- ゲラン 伊勢丹新宿
- ル シヤージュ 京都
- フエギア 1833 麻布台
- LE LABO KYOTO MACHIYA
- 伊勢丹新宿フレグランスコーナー
全国香水聖地ガイド<東京・名古屋・無店舗>
丸の内・日本橋
銀座
- アクア ディ パルマ GINZA SIX 旗艦店
- エルメス・イン・カラー GINZA SIX
- ジバンシイ ビューティー GINZA SIX
- SHISEIDO THE STORE
- ルイ ヴィトン 松屋銀座店
- ラトリエ デ パルファム 松屋銀座
- ギンザコスメワールド フレグランス
- ブルガリ銀座タワー
- 阪急メンズ東京 フレグランスカウンター
新宿
池袋
表参道・原宿・青山
- ルイ ヴィトン 表参道
- ハウス オブ ディオール ビューティー 表参道
- メゾン マルジェラ「レプリカ」フレグランス ストア
- ドルセー 青山本店
- LINARI リナーリ 表参道
- ジョー マローン ロンドン 表参道ヒルズ店
- AHRES 表参道店
- ジョー マローン ロンドン 原宿
六本木・麻布台
渋谷・代官山
名古屋
無店舗
全国香水聖地ガイド<大阪・京都・兵庫>
神戸
京都
- ル シヤージュ 京都
- ラトリエ デ パルファム JR京都伊勢丹店
- ゲラン JR京都伊勢丹店
- クリード JR京都伊勢丹店
- ジョー マローン ロンドン JR京都伊勢丹
- LE LABO KYOTO MACHIYA
- LE LABO KYOTO
- エルメス高島屋京都店
- アーツ&サイエンス KYOTO
- The香水屋 京極2号店
- ディプティック 京都BAL店
- オフィシーヌ ユニヴェルセル ビュリー 京都BAL店
- 香十 二寧坂
梅田
難波・心斎橋
- メゾン クリスチャン ディオール 大丸心斎橋店
- LE LABO 高島屋大阪店
- ゲラン 高島屋大阪店
- グッチ ビューティ 髙島屋大阪店
- セリーヌ 御堂筋
- ラトリエ デ パルファム 大丸心斎橋店
- フレグランスコーナー・カワベ 大阪高島屋
- ディプティック 大丸心斎橋店
- トム フォード ビューティ 大丸心斎橋店
- グラフ心斎橋店
- ラトリエ デ パルファム 大阪高島屋
阿倍野
2024年現在の日本の香水業界について
パンデミックの中、人々は外出を控え、おうち時間が長くなりました。そんな中、世界中から様々なブランドのフレグランスが上陸し、さらにパルファン・サトリ様やEDIT(h)様のような世界に通用する日本発ニッチ・フレグランスの認知度も高まり、〝香水を楽しむ〟文化が隆盛を極めるようになりました。
そして、2023年にパンデミックは終焉し、人々は再び、フレグランスをお店で直接購入するようになりました。それはパンデミックの間に培われた、香水に対する愛が弾け出していくように、〝自分の香りを見つけ出したい〟という純粋な心の表れでもありました。
だからこそ、AI診断で香りを選ぶ機会があっても、人々は、そのようなものにほとんど興味を持つことはありませんでした。自分が愛用する香りは、自分の分身のようなもの。自分自身の感性でゆっくりと選んでいきたい、そんな〝香り探しの旅〟を楽しむほど、人々は香水に対して、洗練された向き合い方を知るようになっていったのでした。
いよいよ機は熟しました。2023年10月に新宿伊勢丹において第11回「サロンドパルファン」が開催されました。「サロンドパルファン」こそが、日本の香水文化を高めた功労者でした。しかし、百貨店サイドの思惑とは裏腹に、想定していたゴールを切ることは出来ませんでした。理由は大きく以下の三点からです。
- 全国各地で小さなフレグランスのポップアップ・イベントが行われるようになり、お客様はそれらのイベントで、年間の想定する香水予算を多く使うようになり、サロンドパルファムでまとめて購入する必要がなくなった。
- かつてのサロンドパルファンのような一流のフレグランススペシャリストが集いカウンセリングをしていくようなイベントではなく、接客の出来ない短期バイト販売員で溢れかえる展示会イベントと化してしまった。
- 単純にアフターコロナにより、他にお金を使う要素が増えた(海外旅行など)
「ムエットを集めているだけのような来客者が増えた」と考える関係者もいました。しかし、それは事実ではなく、香水との向き合い方が深くなったお客様に対して、ただムエットに香りを吹きかけ「どうですか接客」で決めてくださいと言わんばかりの販売員が増えたからこそ、「ムエットだけを貰い帰るしかなかった来客者が増えた」という認識が、正しい気がします。
つまり、多くの販売スペースにおいて、トレーニングを受けた販売員が不足していたのでした。パンデミックの間に、香水に対して心から向き合うようになった、香水を愛する人々に、対応できなかったからこそ2023年のサロンドパルファンは、あのような結果で終わることになったのではないでしょうか?
そして、2024年10月16日から21日にかけて、パンデミック後二度目のサロンドパルファンは開催されたのでした。結論を言いますと、前年比を割る売上でした。一本一本の香水の単価が増えているにも関わらず、前年比を大幅に割る売り上げは想定外だったはずです。
しかし、言い方は悪いのですが、参加していた香水業界の方々は、はじまる前からこの結果を予測していました。その理由は、ただひとつ、イベントを企画する側に、フレグランスという商材に対する知識と敬意が全くなかったからです。
もう浅い知識で、香水イベントが成功するほど、日本の香水文化は浅くなくなっているという事です。香水を愛する人々の、香水に対する思いは遥かに豊かになり、それぞれの広い思いを反映した本格的な香水イベントを待ち望んでいるのです。
進化した香水接客が求められる時代の始まり。
サロンドパルファンの売上が落ちてきている理由の最も大きなものは、香水販売員という本来はプロフェッショナルな接客業に対する、仕事の地位の低さにあります。つまり、ほとんどの香水販売員の給与はびっくりする程、低いのです。
それは香水を取り扱うラグジュアリー・ブランド(エルメス、ルイ・ヴィトン、セリーヌ、カルティエなど)が、自社の香水を販売する傾向を見てみるとよく分かります。自社で専属調香師を雇い、ブランドの精神を投影した香りを生み出しているにもかかわらず、その香水を的確なトレーニングを行わずに、お客様自身で選んでくださいというカビの生えた〝勝手に選んで商法〟をまだ継続しているのです。
つまりは、香水は誰でも売れるものというイメージが根強く残っているのです。「お客様の隣に立って、無言でいると〝早く自分で選んで〟というプレッシャーをかけることが出来ます」と堂々と伝える、性根が腐りきったラグジュアリー・ブランドのマネージャーも存在する程です。
そして、このような店舗の販売員は、「お客様の感性にお任せしています」やら、「ご自由にお試しして選んで下さい」と商品のご案内を放棄して販売する傾向にあります。このような販売員のことを〝数字だけで仕事に従事している買い物カゴ販売員〟と呼びます。一方で、ひとりひとりに丁寧な接客をしている販売員の方は、この〝買い物カゴ販売員〟よりは、売り上げは悪くなる傾向にあります。
心を込めずに、買うか買わないか少ない情報で即決させ売っていく悪質販売を、一流ラグジュアリー・ブランドが黙認したとしたなら、そのブランドの精神は完全に失われていくことでしょう。なぜなら、このブランドでは、数字至上主義=〝買い物カゴ販売員〟しか残れなくなるからです。
一方、ラグジュアリー・ブランドだけでなく、香水を中心とした商品を販売する専門店も増えています。多くの店において、最低限の販売トレーニングも行われずに、販売員が店頭に立たされている状況が増えています(まるで訓練を受けずに、戦場に送られる兵士のように)。
通常、フレグランスを販売する場合、店頭に立つ前に、本社で、プロのトレーナーによる研修が行われ、香水の基礎知識と、ブランド精神、取扱商品についてしっかりと基礎が叩き込まれた上で、現場に立ち研修期間が始まります。そういったことがほとんど放棄されているのです。
そのためコスメカウンターにおいての〝買い物カゴ商法〟とも言える、コスメを売る片手間として、ほとんど説明をしないで、もしくは商品説明の冊子を棒読みして、商品を販売するダメな販売方法が、フレグランスを専門的に販売する一部店舗においても罷り通っている状態なのです(その販売員の方々が一番の被害者であることは言うまでもありません。なぜなら彼らは明らかに会社から的確なトレーニングを受けていないのですから)。
そういった状況の中、今では、お客様のほうが、フレグランスを販売する立場にいる人々よりも知識が豊富であるという、おかしな逆転現象さえも頻発しております。
だからこそ本来は、フレグランスを販売するブランドが、的確なトレーニングを販売員に対して行うべきなのですが、現実はほぼ7割のブランドにおいて、トレーニングはほとんど行われておらず、5分未満の接客でお客様に購入を促すようにただ要求される状況になっています。
さて皆様は、香料のみを暗記している(またはボトルの底に貼ってあるカンニングペーパーを見る)。もしくは、そのフレグランスについてバインディングされている資料を目の前で広げながら販売する販売員から、香水を購入する気になるでしょうか?私は、1万円以上の香水を、そのような販売員から購入する気には到底なりません。
フレグランスは今では安くはありません。そして、フレグランスを購入するということは、〝なりたい自分を見つける旅〟または〝新しい出会い〟。そして〝非日常の体験〟、さらに〝香りの共感〟を購入するということなのです。だからそこに夢とドラマがないとダメなのです。
ワクワクしないフレグランス購入という経験程、お金をドブに捨てている行為はないのです。
ダメなフレグランス販売員と、デキるフレグランス販売員の違い
ダメなフレグランス販売員と、デキるフレグランス販売員の見極め方はそれほど難しくありません。
- 目の前でバインディングされた資料を見ながら説明する販売員からは、(もし仮にあなたがこの香りを100%欲しいと考えていても)絶対に購入しないようにしましょう。こういった販売方法でいいんだと思わせることは、よくありません。全くフレグランスの知識がないなら、覚えることが仕事であり、そういった香水を扱うブランドにとって、まず販売員に的確なトレーニングを施すことは、香水を販売するための最低限のマナーなのです。
- 暗記している香料をただただ並べ立てる販売員は、ダメな販売員です。香水販売において、最も重要なのは、香料を暗記し、実際に自分の身体で香りの変化を確認し、それを物語のように語る能力です。香りを語る=ストーリーテリングするということは、その販売員の教養(言葉の引き出し)を示す鏡です。そして、その香りについて、ボトルデザインも含め、物語を伝えることの出来ない販売員はダメな販売員です。
- 香水名を疎かにする販売員は論外です。何よりも香水にとって重要なのは、香水の香料の産地以上に名前です。なぜなら、その名前には必ずブランドにとって重要なメッセージが込められているからです。
- デキるフレグランス販売員の特徴は、フレグランスについて語ることが楽しくてしょうがないという雰囲気が伝わってきます。一方、ダメな販売員は、「ちぇっ!自分で嗅いで判断しろよ」という無言のシグナルを発信します。
- 「どういった香りをお探しですか?」とまず尋ねる販売員は、ダメな販売員です。「今愛用されているフレグランスは何ですか?」と聞くタイミングを知る販売員はデキる販売員です。そこから、「どういった香りを~」に繋げていくべきであり、お客様も「実はどういったフレグランスがいいのか探していて、全く白紙なんです」と打ち明けることが出来るのです。
- デキる販売員は、お客様に未来を売ることが出来ます。ダメな販売員は、お客様の過去を売ります。
- 自分のブランド以外の香水の批判をする販売員はよくありません。ただし、常連客になり、その販売員と深い人間関係を築いた後は、リアルな感想を交換し合える所にも、香水愛好の楽しみがあります。これをルカ・トゥリン・スタイルと申します。ボロクソに腐している香りほど、実は愛しているという逆転現象です。
- 最後に、デキる販売員は、自分自身もフレグランスをたくさん購入しています。ダメな販売員は、プライベートではほとんどフレグランスに興味がありません。フレグランス販売において絶対的に重要なことは、色々なブランドのフレグランスを実際に知っているということなのです。
全国のコスメカウンターにいるほとんどのBAの方々は、フレグランスの販売方法について間違った認識をしています。フレグランスも自社ブランドのコスメのように、自社ブランド以外を知らずとも販売できるという錯覚です。
実際の所、コスメ販売の恐ろしい所は、ほぼ99%の販売員は、他ブランドのコスメについて全く知らずとも売れるということであり、社内トレーニングで他ブランドの新作を試したり、説明を受けたりといったトレーニングは全く行わなれていないところにあります。
そして、その延長線上で、自社ブランドのフレグランスを販売しているので、「これが今売れています」という、もう今ではカビの生えた薄っぺらな販売方法を取り続けています(ファッションで言うところの「素敵です!これを着てこられたかのように似合ってます」という薄っぺらなゴマすりと同じです)。
では、ラトリエ・デ・パルファンや、ラグジュアリー・ブランドのブティックでフレグランスを購入するべきなのかと問われると、そういった場所で、一流と呼べる人は、全国で両手で数え切れる程度しかおらず、一流とまでは呼べないまでも、なかなかデキる販売員と呼べるレベルの人は、日本中に30人もいないというのが現実です。
それほどフレグランスを購入するためにしかるべき場所を探すということは大変なことなのです。つまり私から言わせれば、香水が買えるお店MAPなどというものは全く無意味なものなのです。それは『新宿イタリア料理店ガイド』のようなただピンからキリまでお店が網羅されているに過ぎないものですから。