グラフ心斎橋店
場所 大阪・心斎橋
住所 大阪府大阪市中央区西心斎橋2丁目1−5
電話 06-6786-8610
フレグランスコレクションを持つ6つのハイジュエラーについて
2023年2月に、“21世紀のキング オブ ダイヤモンド”の異名を持つ英国発のハイジュエラー、グラフ(GRAFF)のフレグランスコレクションが日本初上陸しました。
ここでまずはじめに、世界有数のハイジュエラーの中で、香水のプレステージコレクションを持っている5ブランドを列挙してみたいと思います。すべてに共通するテーマは『見えないハイジュエリー』です。
■日本上陸中
- カルティエ(レ ズール ドゥ パルファン)マチルド・ローラン
- ブルガリ(アレーグラ、レ ジェンメ)ジャック・キャヴァリエ、アルベルト・モリヤス、ダニエラ・アンドリエ
■日本未上陸
- ヴァンクリーフ&アーペル(コレクション エクストラオーディネール)ミシェル・アルメラック、ソニア・コンスタン、アン・フリッポ、クエンティン・ビスク、シドニー・ランセスール、マーク・バクストン、ジェローム・エピネット
- ショパール(コレクション)アルベルト・モリヤス
- ブシュロン(La Collection)ミシェル・アルメラック、ドミニク・ロピオン、ソニア・コンスタン
そして、2020年に6番目のハイジュエラーとしてフレグランスのプレステージ・コレクションを発売することになったのがグラフなのです。「レセディ ラ ロナ」は、6作品からスタートし、2022年に追加で2作品が発売されています。
今回日本に上陸したのは最初の6作品です。それぞれの香りには、1~6の番号が割り振りされています。ちなみに3と5がバイレードの専属調香師とも言えるジェローム・エピネットにより調香されたものです。
基本的にハイジュエラーは香水接客が苦手です。
ハイジュエラーの3ブランド(ヴァンクリーフ&アーペル、ショパール、ブシュロン)がフレグランスコレクションを日本に上陸させない理由は、ハイジュエリーを売る場所に、フレグランスを置いた所でどれだけ売れるのか?そして、販売員が接客することができるのか?という疑問があるからです。
現状において、ブルガリもカルティエもフレグランスコレクションの接客に関しては、本社から最低限のトレーニングも受けておらず、資料を棒読み(香料を並べ立てる)しながら説明するか、もしくは、お客様の隣に立ちムエットに香りをつけ、お客様の判断を待つ『どうですか?接客』に終始しています。
最も多い販売方法は、「これが売れています」と一方的にムエットに香りをつけ、嗅がせていく方法です。しかし、ここで少し考えて頂きたいのは、ブランドとしてそのような販売をしてもらいたいから、フレグランスコレクションを生み出しているのか?ということです。
わざわざハイジュエラーが、フレグランスのプレステージ・コレクションを誕生させる理由は、『見えないハイジュエリー』として、ブランドの精神をお客様にお伝えしてもらいたいからなのです。そこには、それぞれのハイジュエラーの歴史とサヴォアフェールと熱い想いが投影されているのです。
それをお客様にお伝えして、一緒に『見えないジュエリー』をお選びしていくことこそが、正しい『見えないハイジュエリー』の接客のあり方なのです。
ハイジュエラーの香水販売の〝はじめて〟の成功例になり得る店舗
2021年12月13日に、11月24日オープンした「グラフ銀座本店」に続いてグランドオープンした「グラフ心斎橋店」は、東京以外で初の直営サロンです(国内11店舗目)。2007年9月1日に「ザ・ペニンシュラ東京」がオープンした時に、アジア旗艦店が誕生して以来の大型店舗の二つ目の誕生となります。
そして、2023年2月にグラフのフレグランスコレクション「レセディ ラ ロナ」が初上陸したのでした。プレス向けのフレグランス発表会が行われていたのですが、商品に対するこだわりよりもイメージ重視の前時代的な残念なPRになっていました(なぜハイジュエラーが高級香水をわざわざ誕生させたのか?というストーリーテリングをちゃんとPRしないといけません)。
この香りの価値がわからない人達によって行われたこのPRが示しているように、フレグランスについてのトレーニングは行われておらず、商品と展示キットとプリントアウトされた10枚ほどの資料が突然販売店舗に到着し、「その商品価値がわからない状況の中販売する」というハイジュエラーらしからぬ流れの中、香水販売がスタートしたことが予想されます(あくまで想像です。ですがカルティエもそうであったように、大して間違ってはいないはずです)。
つまり、普段はハイジュエリーの接客をしておられる販売員のもとに、突然一本48,510円の香水が6種類やって来たわけなのです。定期的なトレーニングなしになんとなくやり過ごして販売して下さいという方針は、ハイジュエラーとして恥ずべき販売姿勢であり、顧客に対する背信行為です(はっきり言うと、現場の販売員の方々に対しても背信行為とも言えます。そもそもMDがこの商品についてしっかりと理解しているかもさえも疑わしい)。
しかし、現実はそうであるので仕方がありません。こういう現状の中、最後の砦になるのは、ストア・マネージャーの香水に対する理解力なのです。ほとんどは「お土産のように自分で選んでもらってください」という姿勢でやり過ごそうとするのですが、もし、この方がしっかりしていたならば『香りのハイジュエリー』に命を吹き込むことができるのです。
そして、グラフ心斎橋店のストア・マネージャーの方こそ、「なぜグラフがフレグランスを生み出したのか?」ということをしっかりと理解している方なのです。この店舗のフレグランス接客は、『ハイジュエラーが本来行うべきプレステージ・フレグランス』の提案の理想形とも言えます。
- ハイジュエリーを購入されたお客様に対するフレグランスの提案
- グラフの『見えないジュエリー』が気になるお客様への『最初のグラフ』の提案
- 香水愛好家に対する『見えないジュエリー』の提案
今はまだ洗練されていなくても、このストア・マネージャー様がおられれば、本来『香りのハイジュエリー』はこのように扱われてしかるべきだということを示してくださる『宝石と香水』を結びつける史上初めての店舗に成り得ると私は思います。
なにはともあれ、ハイジュエラーだけでなくラグジュアリー・ブランドにとって、香水とは、『ブランドのアンバサダー』的な役割を果たすものであり、定期的なトレーニングが必須であることを認識する必要があります。