エルメッセンス
La Collection Hermessence 「地中海の庭」の成功により、2004年にジャン=クロード・エレナはエルメスの初代専属調香師に就任することになりました。そして、≪嗅覚の詩≫とも言える究極のフレグランス・コレクション『エルメッセンス』が誕生しました。その歴史は、4つのオード・トワレからはじまりました。
エルメッセンスは、特に私が気に入っているコレクションです。それは私に与えられた創作の自由、私が提案する香水の特異性、そしてエルメスのシグネチャーという3つの意味で象徴的なものです。
ジャン=クロード・エレナ
香水は、呼吸のように、一筋の太陽の光のように、肌の上に定着する必要があります。私は、軽さのなかに力を求めています。だからこそ私は、エルメスのエルメッセンス・コレクションやブルガリの香水が好きなのです。これらはとても軽い香りです。香りの刻印は控えめで、シックなものです。
エルメッセンス。それは〝嗅覚のエチュード〟
匂いの素材を扱う毎日の仕事のなかから、私のコレクションが生まれる。それぞれの匂いの素材に感じる魅力、失望、要求、限界、ひとことでいうなら、私の「選択」からコレクションは生まれる。創造とは、選択だ。ひとつの表現のかたち、文体を求めてコレクションの原料を選択する。選択基準は簡単にいえば、匂いのクオリティー、匂いの由来、匂いの技術的性能だ。現在、私のコレクションは、三分の一が天然香料。三分の二が合成香料、ベースは入っていない。
ジャン=クロード・エレナ
日本の俳句の世界観をフレグランスに置き換えた香りである〝エルメッセンス〟は、香りを商品として作っているのではなく、一人の調香師が香りを〝エルメスが生み出す至宝至純の香りの芸術〟として生み出しています。
喜びは利己的なもの。贅沢とは、分かち合うことである。あらゆる芸術的な職業と同じように、香水製造が目指すものも、なにより感覚に喜びを与えることだ。人間としてそして調香師として、まず自分が喜びを感じなければ、人に喜びを与えることは出来ない。驚かせる喜び、想起させる喜び、暗示する喜び、そして、すこしずつ謎を解かせる喜びだ。香水は、匂いの書いた物語。そしてときに、思い出の書く一篇の詩なのである。
ジャン=クロード・エレナ
つまり、芸術を鑑賞するがごとく、香りを身に纏う。それは身に纏えば纏うほど香りに対する嗅覚の潜在能力を、磨き上げてくれる香りなのです。
オード・パルファムのように、複雑な香りで深みを感じさせるわけではなく、そのシンプルな香りにより、所有者の芸術性と感性を高めてくれる、そのような香りは、香水市場にほとんど存在しません。そういう意味において、このエルメッセンスとは、エルメスがあなたに捧げる、あなたの香水に対する〝嗅覚のエチュード〟なのです。
香水は蒸発して、消えてしまうからこそ、誰も所有できず、欲望が欲望のまま残るのである。人々の記憶や、嗅覚の共通の思い出のおかげで、香水をより魅惑的なものにすることができる。
ジャン=クロード・エレナ
ボトル・デザインは、エルメスのウィンドウディスプレイのディレクターでもあったアニー・ボーメルによるものです。
エルメルの販売員の資質が試される〝究極のエルメス〟
エルメッセンス・コレクションの新しい香水をつくりはじめるときは、これまで知らなかったような静かな心持ちになる。
勝たねばならないという不安、「市場」を勝ち得ねばならないという不安はもうない。唯一、勝ち得なければならないのは、エルメスの顧客だ。時間は実験のための時間で、市場が押し付けるスタンダードの時間ではない。
香水はエルメスの店でしか売られない。香水づくりにゆっくりと時間をかけ、時間を無駄にし、探し、捨て、とって置いたり忘れたりして、自分の職業を生きる。自分自身のために香水をつくり、それが他の人を引き付ける魅力的なものであることを願うのだ。
ジャン=クロード・エレナ
全ては、このジャン=クロード・エレナの〝エルメッセンス宣言〟の言葉に集約されています。つまりは、このシリーズこそ、エルメスの販売員としてのあなたが試される〝究極のエルメス〟なのです。
それは「エルメッセンス」と「庭シリーズ」および「コロン エルメス」の価格差及びその世界観の違いをお伝えすることが出来てこそ、その販売員は、すべてのエルメスの商品を説明することが認められると言い切って良いほどに、エルメスの精神を体現したコレクションなのです。
エルメス・ジャパンが真摯に受け止めなければならないのは、19種類ものフレグランスがあるにも関わらず、それぞれの説明について、きちんとするつもりがない販売員が大半である事実です。どれだけ職人が愛を持って芸術品を作り上げても、それを理解しないものの手で販売されると、すべてが台無しになることを認識する必要があります。
エルメッセンス・ノマド
エルメッセンスにおいての最大のおすすめは「エルメッセンス・ノマド」です。15ml×4本セット(22,440円)で4種類のエルメッセンスのお好きな組み合わせがチョイス出来ます。
100mlの大容量を1本(36,190円)購入するよりも、こちらの方がある意味経済的です(その上ボトルデザインも素晴らしく、携帯しやすい)。
ただし、ひとつだけ問題があるとすれば、エルメスのブティックでエルメッセンスをゆっくりとチョイスするのは大変だということです。ある程度予備知識と目星をつけておかれることをおすすめします。
『エルメッセンス』シリーズ全19作
2004年
アンブル ナルギレ
ベチバー トンカ
ポワーブル サマルカンド
ローズ イケバナ
2005年
2006年
2007年
2009年
2010年
2011年
2013年
2014年
2016年
2018年
アガール エベンヌ
シダー サンバック
ミルラ エグランティーヌ
カルダムスク
ムスク パリダ