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【エルメス】ジュール ドゥ エルメス(ジャン=クロード・エレナ)

エルメス
©Hermès
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ジュール ドゥ エルメス

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様
【特別監修】カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様

原名:Jour d’Hermes
種類:オード・パルファム
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:30ml/11,770円、50ml/16,830円、85ml/23,870円
公式ホームページ:エルメス

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「自分の嗅ぎたい花が選べるように」作られた香り

©Hermès

私は常々、花の香りが特定できないくらい多くの花々を通して女性らしさの本質(真髄)を表現したいと願っていました。

ジャン=クロード・エレナ

「エルメスの光を浴びよ」という名のフレグランス。

それはこの作品を調香したエルメスの初代専属調香師ジャン=クロード・エレナの特性である〝優しさ〟に包まれる香りです。この〝優しさ〟を香りで表現するために、彼は全体の1/3の調香において、天然香料を使用します。そして、その〝優しさ〟が、エルメスのほぼ全ての香りに共通した気品と高級感を生み出しているのです。

発売当初、フローラルノートの内訳について詳細情報がありませんでした。それはエレナが、この香りに関してはピラミッド構造を越えて作っており、どの花も前面に出ないように調香していたからでした。つまり、「自分の嗅ぎたい花が選べるように」作られているのです。

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格上の女性を演出してくれる〝エルメスの光〟

発売と同時に、眠るときにつけるという女性の声がたくさん上がるくらいフェミニンな香りでした。まるで21世紀のマリリン・モンローがベッドの上で身に纏っているような香りです。

『フランス香水伝説物語』

グレープフルーツ、グリーンレモンといったシトラスに、みずみずしくもジューシーなルバーブが注ぎ込まれ、キラキラと輝く太陽に包み込まれるようにしてこの香りははじまります。

それはまるで、早朝ホテルのカーテンを開けると、太陽の光をたくさん浴びながら佇むエッフェル塔を目に留めた瞬間のようです。すぐに素肌の上に、窓ガラスを突き抜け、カシミアのように滑らかな純白の花びらが舞い落ちます。この光の花びらはどうやら、エッフェル塔からやって来たらしい。

そんな光の花びらに手を伸ばし、受け止めようとした瞬間、キラキラと弾けるようにシトラスの芳香が身体全体を包み込んでゆきます。やがて、肌の上に到達した芳香は、センシュアルな〝香りのベール〟に変わり、喜びに満ち溢れた芳醇でたおやかなホワイトフローラルを呼び覚ますのです。

さぁ、みずみずしいペアーが注ぎ込まれ、四季折々の白い花々が、まずは春の花であるスズラン、スイートピー、フリージア、カーネーション、ヒヤシンス、マグノリアから開花してゆきます。すぐにジャスミン、チューベローズ、イランイランといった夏の花々も咲き誇り、奥行きのあるクリーミーなフローラルブーケで包み込んでゆきます。

さて、お待ち頂いていたローズ、オレンジブロッサム、ガーデニアも加わり、それぞれの持ち味を蜜蜂が集めてゆきひとつの花蜜にしていくように香り立ちます。

やがて、ムスコンが光のヴェールですべてを包み込み、華やかなフローラルブーケの煌きを生み出してゆきます。それはひとつひとつの花の香りを認識させません。そして、何よりも秀逸なのは、背景に時折、顔を出すシトラスの残り香とエレナが溺愛するグリーンマンゴーを中心としたグリーンノートです。

もし、甘いフローラルの香りを身に纏う女性陣の中に、この香りを身に纏いし女性が一人入れば、きらめく閃光のような存在感を放ち、涼しげでクリーンなティーの香りを身に纏う女性陣の中に、この香りを見に纏いし女性が一人入れば、キレのある花々がダイヤモンドのように輝く大人のエレガンスを漂わせることが出来るでしょう。

ホワイトフローラル・ブーケの香りが通常生み出す可愛らしさではなく、大人の気品。春の花々の賛歌ではなく、真冬に一日だけ訪れる奇跡のような温かい日に咲いた四季折々の花々の賛歌。そうなのです、香水だけが、四季の花々を一斉に真冬に咲かせることが出来るのです。

涼しげな清潔感ではなく、温かな清潔感を演出できる、ゴージャスではなくラグジュアリアスな香りです。この香りの真逆のイメージを伝える香りは、ルイ・ヴィトンの「アポジェ」でしょう。

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「テール ドゥ エルメス」の姉妹作

私たちはとても格好良い男性用の香りを作りました。それが「テール ドゥ エルメス」です。同じように女性だけのために香水を作ろうと考えたのです。

45年間調香師をしてきたが女性らしい香りを作ったことがなかったので、自分自身に対して、作ることが出来ることを証明したいと考えたことからこのプロジェクトははじまりました。

ジャン=クロード・エレナ

全てのはじまりは、ジャン=クロード・エレナが調香し、2006年に発売され、エルメスで最も人気のあるメンズ・フレグランスの地位を確立していた「テール ドゥ エルメス」に対して、〝女性のためのエルメス〟を象徴する香りを生み出したいとエレナが考えたことからでした。

2009年11月6日、エレナは、新作フレグランスの「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」(2010年)の創作から解放されました。他にも同時進行でやりかけの仕事があったのですが、どれもパッとせず、心が晴れないので、英気を養うために妻とイタリア旅行に旅立ったのでした。

2人が足を運んだのはフランスとイタリアの国境にある「国境の町」ヴェンティミーリア。街の市場でいつものように買い物をしていると、その市場内を満たしている圧倒的な香りに気づきました。

それは小ぶりで紅色をした冬の洋ナシ(ペアー)でした。エレナはその存在感のある香りを嗅ぎ、「この匂いはいける」と直感したのでした。そして、その匂いを盗みとるために(エレナは常々、匂いの剽窃者と自分自身を表現する)印象から得た香調や香料の名前などを感じるままに手帳に書き連ねていったのでした。

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コードネームは「フェミナンH(アッシュ)」

©Hermès

そして、ラボに戻り、最初のフォーミュラを考えました。それはやさしいグリーンノートに、フローラルノートを加え、ウッディなパチョリとラブダナムを加えたシプレ調ベースの香りでした。しかし、その試作品を香港で嗅いだエレナは、記憶の中にあるイメージとは程遠い香りだと感じました。

この時、期待を裏切ったこの香水は、きっと後に形になると信じたエレナによって、香りのコードネームとして「フェミナンH(アッシュ)」と名付けられました。

この「フェミナンH」の香りを表す言葉は、〝小悪魔的〟〝惚れ惚れする〟〝魅惑的〟けれども、〝少しだけ冷たい〟です。

ジャン=クロード・エレナ

2ヶ月後、エレナはより果汁を含ませることを閃き、そうすることによって、ささやかな調べを奏でているかのようなシプレを強調し、より官能性を際立たせることに成功したのでした。

しかし、まだまだ満足のいかないエレナは、ペアーへのこだわりを捨て、〝小悪魔的〟〝惚れ惚れする〟という言葉をイメージキーワードとして残し、それをブラックベリー、グレープ、グズベリーの酸味のあるノートに、パチョリの優雅さを加えたのでした。

ようやく、全体的にすっきり纏まったので、この方向性で作業を進めるべきだと確信したのでした。

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「エルメスの服にはドレスがない」ピエール・アルディ

サンドロ・ボッティチェッリ「プリマヴェーラ(春)」1477年〜1482年。

画家のポール・セザンヌは「リンゴ1つでパリを驚かせたい」と言ったらしいのですが、同じような野心を私ももっています。日常にある匂いの1つで、はっとさせたり、えっと思わせたりしたい。

ジャン=クロード・エレナ

エルメスのアーティスティック・ディレクターであるピエール=アレクシィ・デュマ(父親はエルメス5代目社長ジャン=ルイ・デュマ)と、ボトル・デザインを担当するピエール・アルディと共に、このフレグランスのコンセプトが固められていきました。

ピエール・アルディとは、元々はクリスチャン・ディオールなど、さまざまなラグジュアリー・ブランドのシューズ・デザインを手がけた人です。1999年には、自身の名を冠したブランドを設立し、2001年からエルメスのジュエリー・デザイナーとなりました。そして、このプロジェクトで、はじめてフレグランスのボトルをデザインすることになったのでした。

最初のミーティングで三人が出したイメージは、3つの絵画から沸き起こるイメージでした。

1つ目は、ボッティチェッリの「プリマヴェーラ」、そして、2つ目は、エレナが愛する日本美術の影響を強く受けたフランスの画家ピエール・ボナール(1867-1947)が描いた病的なまでに入浴好きな妻マルトの一連の絵画、最後に、3つ目は、テオドール・シャセリオー(1819-1856)が描くカーヴィーで健康的かつ美しいオリエンタルな風貌の女性画でした。

この3人の画家の世界観こそが、〝女性のためのエルメス〟の香りのイメージを沸き起こさせるという意見で合致した後で、アルディはエレナに「エルメスには夜のイメージが全くないね?」と問いかけました。

アルディは、エルメスの服にはドレスがないということを指摘しました。そして、エルメスが表現すべき女性らしさは、ドレスを着るまでの光溢れる時間帯であるという結論に達しました。

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「エルメスのプリマヴェーラ」を創れ!

ピエール・ボナール「逆光の裸婦」1908年。

香料の知識を持たない人が、香水の処方箋を見たところで面白くないはずです。そして、処方箋だけでは香りの想像なんてつかないでしょう。レシピを見ただけで、料理の味が想像できない時と似ているかもしれない。

その点、視覚的イメージに頼れば、もっと匂いのイメージを伝えること出来る気がします。映像で香水を表現することで、さらに相手の共感を呼び、相手の感覚に訴えることができるでしょう。

(中略)映像広告では香水の匂いを醸し出すことは決してできない。だが、その匂いを嗅いでみたいという気にさせることはできる。それが映像広告の力であり、また限界でもある。

ジャン=クロード・エレナ

さてここから、エレナの調香プロセスが開始されていきます。まずは、プリマベヴェーラで描かれている500種類もの花々から〝白い花〟である野外の花=スイートピーと、室内の花=ガーデニアの対比から調香をスタートしました。さらに、ウッディさとスパイシーというユニセックスな要素を消去してゆきました。

「カバリュス嬢の肖像」(1848年)テオドール・シャセリオー

私は、女性らしさとは○○の花だという香りを作りたくなかった。

ジャン=クロード・エレナ

そして、最後にプリマベヴェーラの500種類の花々から、女性らしさが引き立つ花のみをチョイスし、それがつける日によって、「私にはミモザが残っている」「私には百合が残っている」という〝楽しい〟気持ちになるように調香していったのでした。

最後に、ピエール・アルディがこの〝エルメスが生み出した光〟を閉じ込めるガラスの迷路を作り出し、閃光のように香りが飛び出すように工夫して、完成したのでした。

厳密に言うと、ローズの香りを作るのに2つ、ジャスミンの香りを作るのに5つ、ガーデニアの香りを作るのに5つ、スイートピーの香りを作るのに4つの香料が必要となります。

しかし、これらの花に共通する成分を探してみると、7つあります。つまり、共通の成分があり、ちょっとした割合や香料のバランスにより、どの花の香りかわからなくなってしまうのです。

ジャン=クロード・エレナ

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香水データ

香水名:ジュール ドゥ エルメス
原名:Jour d’Hermes
種類:オード・パルファム
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2013年
対象性別:女性
価格:30ml/11,770円、50ml/16,830円、85ml/23,870円
公式ホームページ:エルメス


トップノート:グレープフルーツ、レモン、ウォータリー・ノート
ミドルノート:ガーデニア、スイートピー、ペアー、ローズ、スズラン、ジャスミン、チューベローズ
ラストノート:ムスク、ウッディ・ノート

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