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イザベル・ユペール/ファニー・アルダン 『8人の女たち』3(3ページ)

    作品名:8人の女たち Huit Femmes (2002)
    監督:フランソワ・オゾン
    衣装:パスカリーヌ・シャヴァンヌ
    出演者:カトリーヌ・ドヌーヴ/イザベル・ユペール/エマニュエル・ベアール/ファニー・アルダン/ヴィルジニー・ルドワイヤン/リュディヴィーヌ・サニエ


    パスカリーヌ・シャヴァンヌ

    今のあなたは誰に共感できるだろうか?そういう見方もあります。

    本作の衣装を担当したのは、パスカリーヌ・シャヴァンヌです。1997年から映画の衣裳デザイナーをしている彼女は、本作でフランソワ・オゾン監督の信望を勝ち取り『スイミング・プール』(2003)、『しあわせの雨傘』(2010)等ほとんどの彼の作品の衣裳を担当することになります。

    さらに、2010年には話題作『ゲンスブールと女たち』の衣裳デザインも担当しました。この作品において、ブリジット・バルドーから電話で指示を仰ぎ、彼女を演じたレティシア・カスタのファッションを構築していったのでした。そして、その結果に大変満足したバルドーは後日パスカリーヌに、愛用していたブレスレットを贈ったのでした。

    2014年にパスカリーヌは、『ルノワール 陽だまりの裸婦』(2012)にてセザール賞衣裳デザイン賞を獲得しました。


    新品のタータンチェックの部屋着

    イザベル・ユペール・ルック1 部屋着
    • タータンチェックの部屋着
    • ダークグリーンのスリッパー

    イザベル・ユペール(1953-)の登場です。ヴィルジニー・ルドワイヤンに「ブリオッシュを食べてもいいわ」と勧められたと同時に、大きな二つを鷲掴みにして去っていきます。下品でありながらも手際のよさに唖然とさせられるのですが、オーギュスティーヌという役柄をただのザマス眼鏡をかけたおば様に終わらせないところがイザベル・ユペールという女優の真骨頂なのです。

    しかし、何よりも、この後に、ダニエル・ダリューとカトリーヌ・ドヌーヴがブリオッシュを食べる仕草の美しいこと美しいこと。結局のところ、いかに1950年代の魅力的な衣裳が用意されていようとも、それを着る人が、その服装に合った身のこなしをしてこそ、はじめて、衣裳は生命を与えられるというものなのです。

    この作品の衣裳は、全てが、極めて新品であり、アガサ・クリスティの物語に出てきそうなまでに、3回くらい着たら捨てていそうな贅沢さが漂っています。それはこのタータンチェックの部屋着しかりです。この空気感こそが、古き良き昔の映画の空気感であり、映画に求められる非現実的な要素なのです。


    最も危険な女「オーギュスティーヌ」

    オーギュスティーヌのスーツのラインの美しさ。

    ブルネットの髪の色に合わせたあずき色にわさび色という絶妙なバランス。

    女優にとっての武器が首の長さであることが理解できる写真。

    注射針を刺そうとするエマニュエル・ベアールの姿が嵌りすぎ。

    この時点からすでに美しいことが分かるオーギュスティーヌ。

    イザベル・ユペール・ルック2 ニュールックスーツ
    • あずき色のスカートスーツ、ショールカラー、くるみボタン、サーキュラースカート、
    • わさび色のブラウス、ホワイトポインテッドカラー
    • ダークブラウンのハイヒールのセパレーテッドパンプス

    この作品を10代から20代前半の若い男性が見て、最も印象的に残るのが、オーギュスティーヌでしょう。この中学や高校に一人はいそうな女性教師、もしくは保健室の女医のようなキビキビとしたおば様。イザベル・ユペールの演技は、若い男性の情欲に満ちた眼差しを、一切意識していないかのようなお堅い美人熟女の魔性を意識して演じているところにあります。

    それは、フランス人の男性と交際した経験のある女性ならば、一瞬でピンと来るように、その男性が、美男子であれば、あるほどに、強烈なまでのマザコンが多いのがフランス男子の特徴なのです。ここで好例を一つ。フランス人の男性とデートで京都の寺院を訪れた時に、まず美男子がするのは、自分の動画をスマホで撮らせ、それを祖国のママに送るのです。

    つまりは、イザベル・ユペールが演じるオーギュスティーヌから、若い男性にだけ理解できる禁断のテレパシーが発信されているのです。そう考えてみると、この女優は、8人の女優の中で、女性として一番危険なオンナなのかもしれません(それはある種、全盛期のジャンヌ・モローのような・・・)。


    フランソワーズ・アルディの「私小説」


    1973年にフランソワーズ・アルディが歌った「私小説」を歌うイザベル・ユペール。この曲の作詞・作曲を担当したのは、フランス・ギャルの夫でもあるミッシェル・ベルジェでした。


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