年代順に見る世界の名香
かつてルイ・ヴィトンのトップ・オブ・トップと呼ばれた女性フレグランス・スペシャリスト様と、日本で隆盛を誇る二つのニッチ・フレグランス・ブランドでトレーナー兼店長をつとめておられた神の監修を得て、香水接客をする上で知っておくべき香りをチョイスしてみました。
香水を愛する皆様にとっても、香水販売のプロ中のプロの方々が選ぶ、名香のセレクションは興味深いのでは。ヴィンテージ香水を楽しんでいく、参考にして頂ければ幸いです。
2ページ目年代順に見る世界の名香 1983年~現在
年代順(1533年~1882年)
1533年
アックア デッラ レジーナ(王妃の水)(サンタ・マリア・ノヴェッラ)
・オーデコロンの原点
・1221年に創業したサンタ・マリア・ノヴェッラは、世界中に現存する最古の薬局
・カトリーヌ ド メディシスが、1533年にフランス王家に嫁ぐ際、修道士に作らせたコロン
・三つのオーデコロンの母(ファリナ、ロジェ・ガレ、4711)
1709年
オーデコロン(ファリナ)
・〝オーデコロンの父〟
・ドイツ・ケルンから、世界で最初に発売されたオーデコロン
・ただし一般的には、1792年の「4711」が世界初のオーデコロンと呼ばれている
・マリー・アントワネットもナポレオン・ボナパルトもカサノヴァも愛用
1792年
4711 オーデコロン(4711)
・一般的に世界初のオーデコロンと呼ばれている
・カラーテレビ広告など巧みなPR戦略を駆使し、〝世界最古のオーデコロン伝説〟を生み出す
・実際に、オーデコロンの元祖であり、ネロリの教科書
・小説『ティファニーで朝食を』の中で、主人公ホリー・ゴライトリーが愛用
1853年
オーインペリアル(ゲラン)
1872年
ハマンブーケ(ペンハリガン)
1882年
フジェール ロワイヤル(ウビガン)
・天然香料と合成香料の融合による〝香りの芸術=近代香水〟のはじまり
・合成香料クマリンを初めて使用した香り
・この香りから男性用香水の定番であるフゼア調がはじまる
・そして、ゲランの「ジッキー」が誕生した
年代順(1889年~1921年)
1889年
ジッキー(ゲラン)
・当時15歳のジャック・ゲランも調香に参加したと言われている
・クマリンにリナロールとバニリンという三つの合成香料を組み合わせ誕生した
・天然香料と合成香料を組み合わせて作られた、現在も継続して販売されている最古の香り
・ゲルリナーデが誕生した瞬間
1905年
ロリガン(コティ)
・僅か一年の調香の勉強で名香を作り出した奇跡の男
・フローラル・オリエンタルの先駆的な香り
・イオノンと花々のアブソリュートをふんだんにブレンドし「ルールブルー」に影響を与えた香り
・女性が歩いた後に、火が吹くような、力強い美しさを持つ香り
1906年
アプレロンデ(ゲラン)
1911年
ナルシス ノワール(キャロン)
・〝黒水仙〟という存在しない花をテーマにした、身に纏う女性の人生に溶け込む香り
・男性が身を滅ぼしてもいいと思える女性が誕生する〝魔性の香水〟
・女性の最も美しい部分と醜い部分に同時に光と影を当てるように素肌に溶け込んでいく
・1960年の『女が階段を上る時』で、高峰秀子演じる主人公が愛用していた〝運命の香水〟
1912年
ルール ブルー(ゲラン)
・最愛の妻への香りのラブレター
・〝青の時間、ブルーアワー〟。一番星が目視できる寸前の〝太陽が盗まれたブルースカイ〟
・花々とスパイスをブレンドするというフローラル・オリエンタルの原型
・エリザベス女王が生涯愛し、カトリーヌ・ドヌーヴ、ロミー・シュナイダーが愛した香り
1919年
ミツコ(ゲラン)
1921年
N°5(シャネル)
・獅子座の女、ガブリエル・ココ・シャネルが最初に生み出した香り
・1から5、20から24のラベルをつけた10本の試作品からココが選んだ
・大量のアルデヒドを、天然のグラースローズ&ジャスミンにスペシャルブレンドした香り
・マリリン・モンローと峰不二子が愛用した香り
年代順(1922年~1944年)
1922年
ニュイ ド ノエル(キャロン)
・戦争が終わり、平和が訪れ、素肌に天使が舞い降りる〝クリスマスの夜、聖夜〟の香り
・たくさんの魔性の香りの中に存在する〝ムース ド サックス〟が初登場した香り
・フェルネット ブランカとマロングラッセを素肌で味わう
・上部のゴールド・バンドが印象的なアールデコ調の漆黒のバカラボトル
1925年
シャリマー(ゲラン)
1926年
ボワ デ ジル(シャネル)
1927年
アルページュ(ランバン)
・母から娘への永遠の愛を込めて、62種類の花の天然香料で作られた壮麗な香水のブーケ
・シャネルのN°5の6年後に誕生した、全く別物のフローラルアルデヒド
・自然そのものを超越し、自然が提供できる最高のものすべてを結集した、新しい花の香り
・グレース・ケリーやダイアナ妃、リタ・ヘイワースが愛用していた香り
1930年
ジョイ(ジャン・パトゥ)
・〝世界で一番高価な香水〟と呼ばれた香り
・商品化するにはあまりにも高価すぎる天然の原料で作った〝現実的ではない夢の香り〟
・アンリ・アルメラスはエルネスト・ボーの弟子
・ヴィヴィアン・リー、マリリン・モンロー、グレース・ケリー、ジャクリーン・ケネディが愛用
1932年
タブー(ダナ)
1933年
夜間飛行(ゲラン)
1944年
ロシャスファム(ロシャス)
年代順(1946年~1964年)
1946年
マ グリフ(カルヴェン)
1947年
ミス ディオール(ディオール)
1948年
フラカ(ロベール・ピゲ)
レールデュタン(ニナ・リッチ)
1956年
ディオリシモ(ディオール)
1959年
ベチバー(ゲラン)
カボシャール(グレ)
1960年
マダムロシャス(ロシャス)
1961年
カレーシュ(エルメス)
1964年
ZEN 禅(資生堂)
年代順(1965年~1976年)
1965年
アビルージュ(ゲラン)
アラミス(アラミス)
1966年
オー ソバージュ(ディオール)
フィジー(ギ・ラロッシュ)
1969年
シャマード(ゲラン)
カランドル(パコ・ラバンヌ)
1970年
N°19(シャネル)
1972年
ディオレラ(ディオール)
1973年
パコ ラバンヌ プールオム(パコ・ラバンヌ)
1976年
ファースト(ヴァンクリーフ&アーペル)
年代順(1977年~1982年)
1977年
オピウム(イヴ・サンローラン)
1978年
アナイスアナイス(キャシャレル)
マジー ノワール(ランコム)
・フランス語で〝黒い魔術〟の意味を持つ神秘的なグリーンシプレの香り
・身に纏うたびに寿命が短くなるような香り
・1970年のサンタナの名曲「ブラック・マジック・ウーマン」の影響を強く受ける
・『エクソシスト』『オーメン』といったオカルト&ホラー映画ブームの影響が強い世界観
ミュール エ ムスク(ラルチザン)
1979年
ナエマ(ゲラン)
オー ドランジュ ヴェルト(エルメス)
1981年
オーダドリアン(アニック・グタール)
マスト ドゥ カルティエ(カルティエ)
オンブルローズ(ジャン・シャルル・ブロッソー)
1982年
ノンブル ノワール(資生堂)
・セルジュ・ルタンスのいちばん最初の香り
・ルカ・トゥリン最愛の香りであり、世界中の香水愛好家にとって〝永遠の憧れ〟の香り
・静かに死神が背後に迫っているような〝黒薔薇〟の香り
・資生堂が『復活の日』に向けて最初にすべきこと、それはこの香りの復刻
2ページ目年代順に見る世界の名香 1983年~現在