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【ディオール】ディオリシモ(ディオリッシモ)(エドモン・ルドニツカ)

エドモン・ルドニツカ
@DIORBEAUTY
エドモン・ルドニツカクリスチャン・ディオールブランド調香師香りの美学
この記事は約11分で読めます。

ディオリシモ(ディオリッシモ)

原名:Diorissimo
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:エドモン・ルドニツカ
発表年:1956年
対象性別:女性
価格:50ml/11,660円、100ml/17,380円
販売代理店ホームページ:DEPACO(大丸松坂屋コスメオンラインストア)

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世界でいちばん有名なスズランの香り

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ポール・セザンヌの次のことばも、エドモン・ルドニツカの創造的なアプローチを簡潔に表している。「感覚を研ぎ澄まし、自然を読む」。

ジャン=クロード・エレナ

この香水が登場するまでの間に、香水の調香はすっかり複雑なものになっていました。合成香料の欠点をいかに克服するか試行錯誤していくうちにとんでもなく複雑な調香になり、ワインで言うところの〝コク〟と同様の〝ボリューム〟を求め、それが調香師としての腕の見せ所であるという考えが主流になりました。

そんな中、一人の革命児が現れたのでした。その人の名をエドモン・ルドニツカ(1905-1996)と申します。彼は、シンプルな調香を心がけ、天然香料や合成香料が持つ、それぞれの魅力を純粋に引き出し、結びつけあうことに集中したのでした。

それはまさにココ・シャネルが「たくさんの色を使えば使うほど、女はかえって醜くなるというのを女たちは気がつかない。」と言ってのけたことを、香りの世界に置き換えたかのようでした。

そんなルドニツカが、クリスチャン・ディオール(1905-1957)が愛した〝幸福を呼ぶ花〟スズランをテーマに、1955年から1年の歳月を費やし、その調香スタイルの極みとして、ムッシュ・ディオールと共に生み出したのが、現在において〝世界でいちばん有名なスズランの香り〟と呼ばれる「ディオリシモ(ディオリッシモ)」なのです。

それは、ムッシュ・ディオールがカブリにあるルドニツカの研究所を訪れ、スズランの香りの試作品を嗅いだ瞬間からはじまりました。

ディオリシモとは、音楽用語のピアニッシモからの造語であり、ルドニツカが、眠りに落ちて見た夢が源泉となって生まれた香りでした。

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クリスチャン・ディオールの最後の香り

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1957年10月29日、クリスチャン・ディオールの葬儀において、ムッシュの棺はスズランで覆われた。

クリスチャン・ディオールの1954年春夏コレクション「ミュゲ」からインスパイアされた香りであり、結果的にはムッシュ・ディオールにとって遺作となった「ディオリシモ」。それはルドニツカによる「自然は創造されたものではないので芸術には成り得ない」という持論を香りで表現した集大成でした。

まさに、50年代までに主流だったバニラや甘い花々のフレグランスを乗り越え、香水に対して、自然への回帰という新しい扉を開いたのでした。

ちなみにムッシュ・ディオールは、ファッションショーのランウェイにおいて、ラッキーチャームとして、ドレス、帽子、シューズの見えないところにスズランの小枝を忍ばせていました。そして、ムッシュの葬式においても、その棺はスズランで覆われていたのでした。

この香りは純粋なスズランの花だけを喚起するものではない。なぜならそこには森の匂いや春の時期の何とも言えない雰囲気も併せ持つ下草、露、田園の自然などの背景がそのまま調和してみられるからである。

自然のなかにはスズランから抽出されるエッセンスも、それに近いものもないので、スズランの香りとは直接の関係はまったくない、互いに異質な諸要素から、作り上げねばならない。それに、再現することよりも様式化することが問題なのである。

スズランの形態は、複雑な調和によって、酸味と爽やかさの花の香りの対位法を実現し、香料の場に置き換えるためのきっかけでしかないのである。この香りの対位法が喚起するのは、自然、春、青春とかである。

エドモン・ルドニツカ

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ディオールとフランス映画『幸福への招待』


1956年にクリスチャン・ディオールが衣装を提供したフランス映画『幸福への招待』は、当時のフランスのトップ女優フランソワーズ・アルヌールと往年の名優シャルル・ボワイエが競演したロマンティック・コメディでした。

ほんとうは金持ちでもなんでもない二人の若い女性と男性が、金持ちであると嘘をついて、豪華なクリスマス・イヴのデートを楽しむ。そして、その結末は…という今見てもとてもワクワクする映画です。

実は高級ホテルのマニキュア係にすぎない彼女が身分を偽るときに着るドレスが、ディオールのスズランの刺繍の入ったオートクチュールドレスなのです。

この映画が公開され、世界中の女性が、ディオールのスズランのイブニングドレスを夢に見た、その同じ年に「ディオリシモ」が発売され、世界中の女性が、ディオールのスズランの香りに心を奪われたのでした。

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オリジナルのディオリシモ

@DIORBEAUTY

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ディオリシモはスズランの印象が強いという人がある。花の香りの印象が強いという人はもっと大勢いるだろうが、むしろ爽快で緑の感じのする構成であり、より一般的には自然と同じような経過で、森の下草、小川のせせらぎなどを思い起こさせる。

その創作のきっかけは、スズランのかたちばかりではなく、自然の生み出す状況のすべてを付属してゆき、幻想的で個性的な枠組みをつくり、それでもって人間に見合った嗅覚の調和を構築することがここでなすべきことであった。

私は、スズランの理想像を中心テーマにして、抽象においてこの香水を正真正銘作り上げたのである。この花の精神的イメージが徐々に、純粋に花を思い起こさせるものから、むしろ一種の精神状態へと変化していったのである。

つまりは調香師とは、自然の思い出で仕事をするというよりは、「自然の思い出について調香師が考える」その考えで仕事をするのである。つまり抽象の抽象で働くのである。調香のひとつひとつがかくも個人的な性格を得るのはこのためである。嗅覚を失った調香師がすぐさま失業に追い込まれないと書けたのは同じ理由による。

エドモン・ルドニツカ

オリジナルのボトル・デザインは、バカラのクリスタル製のアンフォラ型であり、彫り細工と金彩を施し、湾曲したボディとブロンズの花束に覆われたキャップが据え付けられた、ルイ16世様式の枝を広げたシャンデリアを連想させるものでした。

そして、1960年代に、現在流通しているボトル・デザインの原型が出来上がりました。

「ディオリシモ」を作るためにルドニツカは、グラースの自宅の庭にスズランを植え、〝本物のスズランの香り〟だけでなく、〝本物のスズランを見たときに呼び覚まされる感情〟さえも、この香りを嗅いだときに、再現させようと考えました。

そんな壮大なルドニツカの構想により生み出されたこの香りのオリジナル・ヴァージョンは、魔法をかけるような美しさからはじまります。それは、ベルガモットと共にグリーンノートが運んでくるフレッシュグリーンな風が、スズランの香りではなく、スズランが咲く情景を香りで運んでくれるようにしてはじまるのです。

「ディオリシモ」とは、スズランの香りの前に、スズランの咲く姿を、想い出させる香りなのです。

すぐにグリーンとシトラスが円やかになる中、ジャスミンとイランイランが、スズランに花の生命を与えてゆくのです。さらに、まったく同じ瞬間に、アニマリックなシベットが注ぎ込まれてゆき、しばらく後に香り立つライラック、百合、アマリリス、そして、(スパイシーな)ローズマリーと共に、スズランの周りの透き通るような自然を、生き生きと再現してゆくのです。

やがて、ゆっくりとローズウッドとサンダルウッドが、春の陽光ときらめきでスズランを包み込んでゆく中、アニマリックなムスクの一吹きにより、はかなくも繊細な甘いスズランの余韻を残してくれるのです。

ルドニツカの素晴らしさは、この香りによって、シベットやムスクといったアニマリックな天然香料に官能的な言葉ではなく、洗練された美しい言葉を語らせたところにあります。

ダイアナ妃が愛用していた香り(ロイヤルウエディングでつけていた)でもあり、つまりは彼女の存在のすべてを体現したような香りとも言えます。それは、美脚を強調したファッションに身を包んでいようとも、どこか清楚で上品なムードを生み出すことができる香りなのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ディオリシモはミュゲ、すなわちスズランの香りだけを表現した香水のお手本である。天然のスズランからは香料を抽出することができないため、ミュゲ調の香水はどれも調合してつくられたものである。」

「1956年のディオリッシモのオリジナルによって、エドモン・ルドニツカは戦後のフランス香水界におけるモーツァルトとなった。そしてディオリッシモは実際にモーツァルト風の香水で、人受けする快活で駆け抜けるような旋律は「フィガロの結婚」序曲を思わせる。」

「オリジナルのアコードに欠かせない重要な素材は、香水に使われる数少ないヒドロキシアルデヒドのひとつである、ヒドロキシシトロネラールで、ミュゲの石鹸らしいフローラルの香りが強くある。ヒドロキシとよく呼び習わされるこの香料は、現在は使用が制限されているが、ディオリッシモの箱に記された「アレルゲンとなるものの一覧」の中に、まだこれが入っているのが見られる。」

「現在のディオリッシモは以前の物と比べて明らかに違っているが、それでもみごとな美しさを保っている。例えるならそれは、引退の近い偉大なソプラノ歌手の声に似ている。旋律と声質は変わらないが、高音にときどき無理がみられ、苦もなく軽々と昇っていく力は失われているものの、経験を積んだ滑らかな流麗さがある。」

「近くで嗅ぐと少々鼻につく。けれども驚くほど香りを放つ力があり、離れたところからだと、おそらく今まで作られた中でもっとも特徴的な香水らしく、いい香りがする。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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2009年以降のディオリシモ

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雪が降ると、ディオリシモに目がいく。

ルカ・トゥリン

21世紀に入りIFRAが、二種類の香料(合成香料ヒドロキシシトロネラール)の中に、潜在的アレルゲンが含まれるということで、大幅な再調香がかけられました。

それは厳密に言うと、2007年にディオールの専属調香師であるフランソワ・ドゥマシーにより行われ、2009年に最終的な再調香が行われ、今に至ります。

新鮮な瑞々しい香りは、濃厚なジャスミンが目立つ香りへと取って代わられました。そして、このジャスミンの香りが減退すると共に、きらめくようなスズランの香りがはっきりと認識できるようになるのです。

そんなニュー・ヴァージョンに対して、オリジナルへの追悼を捧げたのが、エルメスジャン=クロード・エレナの最後の作品「ミュゲ ポースレン」でした。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、2009年版に対して「ディオリッシモは急坂を転げ落ちている。ここまで粗悪になれるとは。」と2つ星(5段階評価)の評価をつけています。それだけ、ルカはオリジナルの香りを愛していたのでしょうが、私は現行版の「ディオリシモ」もオリジナルの持つ素晴らしさを一切失っていないと思います。

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香水データ

香水名:ディオリシモ(ディオリッシモ)
原名:Diorissimo
種類:オード・トワレ
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:エドモン・ルドニツカ
発表年:1956年
対象性別:女性
価格:50ml/11,660円、100ml/17,380円
販売代理店ホームページ:DEPACO(大丸松坂屋コスメオンラインストア)


トップノート:グリーン・リーブス、ベルガモット
ミドルノート:ローズマリー、百合、ライラック、エジプト産ジャスミン、ボロニア、アマリリス、コモロ産イランイラン、スズラン
ラストノート:サンダルウッド、シベット

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