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【ゲラン】シャリマー(ジャック・ゲラン)

ゲラン
ゲランジャック・ゲランブランド調香師香りの美学
この記事は約13分で読めます。

シャリマー

原名:Shalimar
種類:パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1925年
対象性別:女性
価格:7.5ml/18,260円、30ml/44,000円
販売代理店ホームページ:大丸松坂屋オンラインショッピング

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世界中で一時間に108本売れている香り

1935年。

1939年。

ルール ブルーで黄昏の香りを表現しえた男ジャック・ゲランは、シャリマーで女性すべてに敬意を表す香水をつくり出すことに成功した。心を奪われた男の女性へのオマージュである。きっと、これをまとう女性に出会えば男はふと立ち止まって声をかけずにはいられないはずだ。

ロジャ・ダブ

おおよそフレグランスの名前において、「シャリマー」ほど素晴らしい響きを持つフレグランスは無いでしょう。世界中で一時間に108本売れているというこの香りによってゲランは、狂騒の20年代に、アメリカ進出を果たし、ゲラン帝国の礎を築くことになるのでした。

「シャリマー」という香りは、すぐに脳内にインプットされる分かりやすい香りではなく、あくまでも重厚なクラシック音楽のような、心構えが必要な香りです。そして、この香りを通して、フレグランスとはおおまかに二種類に分類されると言うことを私たちは知ることになるのです。

1.軽く触れたい香り
2.本格的に溺れたい香り

そして、この2に該当する香りこそが、〝見えない宝石〟と呼ぶに値する香りなのです。

シャリマーとタージ・マハール伝説


インドのみならずイスラーム文化の代表的建築物であるタージ・マハール

ノーベル文学賞も受賞したインドの詩人タゴールが「それは時間という頬の上に留まる一粒の涙のごとくたたずむ」と称した、総大理石で作られたこの建築物は、一人の男性の亡き愛妻に対する深い愛情から生み出されたものでした。


その男の名を、シャー・ジャハーン(1592-1666)と申します。ムガール帝国の第五代皇帝(在位1628-1658)その人です。

1607年に、シャーがまだ15歳だったプリンス時代に、バザールで偶然見かけた一人の美少女アルジュマンド・バーヌー・ベーグム(1595-1631)に一目惚れしました。

彼女が15歳になるまで待ち、1612年に二人は結婚し、彼女は第三夫人となりました。アルジュマンドは、第四代皇帝ジャハーンギール(シャーの父)からペルシア語で「愛でられし王宮の光彩」「宮廷の選ばれし者」を意味するムムターズ・マハルの名を授けられました。

第三夫人でありながら彼女は夫に深く寵愛され、14人の子を得て、夫の転戦にも常に付き従い、病弱な父帝の妃ヌール・ジャハーンの専横に対する反発や、兄弟との皇位継承戦争において疲弊する夫の相談相手となり、彼が皇帝になるための支えになりました。

1628年2月14日に行われた即位式は、あらゆるインドの国王よりも遥かに豪華絢爛な式典が開かれました。ここにインド・イスラーム文化は黄金期を迎えることになるのでした。

しかし、不幸は、幸せの絶頂に突然やってくるものです。1631年に14人目の子を産んだ後に、ムムターズは急死したのでした。その後1年間シャーは喪に服し、白い服しか着ないようになりました。そして1年後、2万人の労働力を動員し、22年の年月を費やし、1653年に完成したのがタージ・マハール(=「宮殿の王冠」)でした(400kgの黄金が使用され、大理石に宝石がはめられたが、のちに英国軍が略奪した)。

国王の王妃がこれほどの霊廟に祭られたことは、歴史上どの国にもない稀なことです。

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形に残せる永遠の愛と、記憶を呼び覚ます永遠の愛

1976年。

1982年。

シャリマーをまとうことは、感覚の波に自らを任せることだ。

ジャック・ゲラン

戦争においても平和においても決して離れず、ムガール帝国の最盛期を作り上げた皇帝シャーとその愛妃ムムターズ。そんな二人のロマンスこそが、西欧の東洋に対する神秘を表現しうる題材だと感じ取った、ゲランの三代目専属調香師ジャック・ゲランにより、1921年に生み出された香りが、「シャリマー」でした。

シャリマーとはサンスクリット語で、〝愛の宮殿〟を意味します。そして、このフレグランスこそが、世界最初のオリエンタル・ノートの香水でした。

1925年4月28日から開催されたパリ万国博覧会(アール・デコ博覧会)において、アール・デコとシャリマーは誕生したのでした(この時、シャリマーははじめて公式の場で披露されました)。

アール・デコ博覧会の後、ニューヨークにシャリマーを紹介するために高級定期船で移動していた、レイモン・ゲラン(当時、まだ20代半ば。ボトル・デザインを担当)のマリー夫人(彼女自身も20代半ばでとても魅力的な人でした。)が身に着けていたこの香りが話題になり、1925年にアメリカでも発売されることになりました。この年、F・スコット・フィッツジェラルドが「華麗なるギャツビー」を出版し、時代は狂騒の20年代真っ盛りでした。

この香りは、アメリカのフラッパー達に瞬く間に人気が出て、アメリカではじめて成功した香りとなり、フランス本国よりも売れました。

しかし、1927年に英国のデュバリー社との商標闘争により、20年代から30年代はじめにかけて、英国に輸出される場合のみ、N°90とその名を変えました。

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孔雀のようなボトルデザイン

1986年。

1987年。ガブリエル・ラズール

私は時代を反映させたデザインを生み出すつもりはない。流行しているファッションを反映させたデザインには、永遠の生命は宿らないものだと考えています。

レイモン・ゲラン

ジャック・ゲランのいとこであるレイモン・ゲラン(1900-1969)が、バカラのデザイナーであるジョルジュ・シュヴァリエと共同で、〝ゲランの至宝の作品〟をアール・デコ博覧会で発表するためにボトル・デザインを担当しました(最高賞を受賞)。そして、その若さから生まれる創造性により香水ボトル史上はじめてシャリマーからキャップに色がつくようになりました。扇形の透明なサファイア色のキャップの誕生です。

1642年にシャー・ジャハーンが亡き愛妃ムムターズ・マハルのために建築したシャリマー庭園(シャーラマール庭園、現在のパキスタンにある)。この庭園は、1619年に父王によって建築され、愛妃との思い出が詰まっていたインドのシュリーナガルにあるシャリマール庭園の影響を受けて生み出されたものでした。

パキスタンにあるシャーラマール庭園とその噴水。

そのシャリマー庭園にある噴水と、ムガール帝国のストゥーパ(仏塔)をモチーフにして生み出されたのが、バカラ製のクリスタルガラスで作られた最初のシャリマーのボトルだったのです。そして、それが1925年にパリ万国博覧会(別名・アール・デコ博覧会)において最高賞を受賞したのでした。

それはイブニングドレスのドレープのようでもあり、下部は床に流れるドレスの裾のようでもあります。まるで孔雀の翼のようなそのボトルデザインは香水ボトル史上屈指の出来と言われています。

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バニラに、生命力を与えたゲラン。

モデル:シャローム・ハーロウ。1999年。フォトグラファー:パトリック・デマルシェリエ。

1999年。

これほど大量のバニラを使用したら、私ならシャーベットが出来てしまう程度だったろう。しかし、ジャック・ゲランはそれを傑作の香水にした。

エルネスト・ボー(シャネルN°5の調香師)

私の祖父ジャック・ゲランは、大量のバニラを使用することによって、シャリマーという胸元の開いたロングドレスを創造することに成功しました。

ジャン=ポール・ゲラン

ジッキー」(1889)にもっとたっぷりバニラを加えたらどんな香りがするだろうと考えたことから、この香りの不思議な魅力は生まれたのでした。

そして、ジャックは、1921年にジャスティン・デュポンから教えられたエチルバニリン(バニリンの2倍の香気を持つ)という合成香料を「ジッキー」のボトルに注ぎ込んだのでした。

ジャックは常々バニラには媚薬効果があると考えていました。ただし、この媚薬効果が生み出されるのは、グアイアコール(正露丸にも多く含まれるスモーキーな香りを放つ有機化合物)の残余物が残る不純なエチルバニリンにおいてのみと考えていたのです。

だからこそ、ゲランがバニリンを購入していたルール社の黄色っぽく汚れているバニリンが、ある時純度の高い素晴らしいバニリンになった時、ジャックは、昔のものに戻してくれと指摘したのでした。

ほとんどの女性用香水は、摂食障害からヒントを得ているように思える。それは高級フレンチの影響下にあり、ジャック・ゲランが成功したのは、女性に文字どおりよだれを出させられる能力があったからだ。

ミツコ」「シャリマー」「ルール ブルー」。どれも宙に漂う抽象的な匂いのデザートで、食べ物が関係していた。そこに選び抜いた花の香りとウッディな香りがいくらか加わっているのだ。

ルカ・トゥリン 『匂いの帝王』チャンドラー・バール(早川書房)

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ベルガモットがゲランを生み出した。

1962年。

1963年。

ジャック・ゲランの香りの特徴は、ベルガモットをはじめとする大量のシトラスがトップノートに使用されている所にあります。

それは「アプレロンデ」のアイリス・ヴァイオレット、「ミツコ」のシプレ、「シャリマー」のオリエンタルに対峙させることによって、香りの物語に〝勢い〟と〝生命力〟を与えることになるのです。

ティエリー・ワッサー

オリジナルのシャリマーには、30%のベルガモット、3%のエチルバニリン、9%のクマリンが使用されています。この大量に使用されたベルガモットがシャリマーをシャリマーたらんとしているのです。

ベルガモットをはじめとするフレッシュな(シダーの独特な甘さを伴う)シトラスシャワーからシャリマー伝説ははじまります。それはまるでシャリマー庭園の噴水から迸る「愛の水」のようです。

この香りには、ゲルリナーデの真髄とも言えるバニラの伴奏が、すでに香りの背景に流れています。かくしてシャリマーの象徴的なレモンカスタードのようなバニラの香りが生み出されるのです。

やがてベルガモットは、ベースのレザー、インセンス、オポポナックスのスモーキーさに溶け込んでいきます。そして、ローズとジャスミン、アイリスがゆっくりと開花していきます。それは、華やかにというよりも、透明感のある聖歌のような厳かさを湛えています。更に、絶え間ない伴奏を奏でていたバニラがついにベチバーとパチョリと結びつき始め、生命力を与えられるのです。

オリジナルに存在したシベット、アンバーグリス、レザー、ムスクの絶妙な調和は現在においては失われているのですが、パウダリーなアイリス、トンカビーンがバニラに溶け込んでゆき、ネオシャリマーの香りは、甘美なゲルリナーデのクライマックスへと導かれてゆくのです。

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五感を磨き上げる香り

1975年。

第一印象が良く作られた現代のフレグランスとは違い、シャリマーは肌につけてから30分間はいい香りがしません。それは静かにメロディアスなオーラを放ち、違和感さえも感じさせます。

しかし、第一幕の終わりにアリアがあることを見越して我慢して座っているように、1時間も待ち続けると至福のときを手にすることが出来るのです。

どうしてゲランの香りはこうも特別なのでしょうか?それは調香師の天才性も重要な要素なのですが、もっとも重要な要素は、ゲランだけが手に入れることが出来る原料にあります。そして、そんなバニラやシベットを調理する秘密のレシピを持っているのです。

ルカ・トゥリン

調香師のほとんど全ての人々が、シャリマーを溺愛しておりそう公言しています。そして、その理由が、ジャック・ゲランがこの香りを調香するにあたり、最重要視したテーマと合致しています。それは、彼が「シャリマーを通じて人間の五感が開発されていく香りを作りたい」と望んだからでした。

それは、肌に溶け込む香りではないということです。絶えず香りを身に纏っていることを忘れさせない香り。

この香りを、現在活躍中の調香師の多くが、母親の香りから好きになっているのも、そのためなのです。彼らはこの香りにより、知らず知らずのうちに視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚が鍛えられていたのです。

つまりシャリマーという香りの中にある物語は、血と汗と涙と幸せの絶頂のあらゆる人間模様を描き出す「毎日変化を遂げる香り」=毎日五感が研ぎ澄まされていく香りなのです。

だからこそ、ジャック・ゲランは、後継者のジャン=ポールに対しても誰に対しても、この香りを生み出すためにどれだけの試香を繰り返したか、決して明かすことはなかったのです。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「シャリマー」を「本物のオリエンタル」と呼び、「これを書くために椅子に座るまで、何年もの間シャリマーを手にして匂いを嗅いだことがなかった。そして、たいへんな衝撃を受けた。前回の記憶はアンバーバニラ調のドライダウンのまま色褪せてしまっていた。この豪華な赤紫色のベルベットのようなほのかな香りが、「パリの夜」を思わせる。目の前に新年にライトアップされるエッフェル塔が見えるかのようだ。」

「私がバニラを調香するとクレーム・アングレーズになるが、ゲランの場合はシャリマーになる」。エルネスト・ボー(シャネルNo.5の調香師)がいったこのジョークは、この秀逸な香水は実はシンプルなものであることに気づかせてくれる。」

「近寄ると強いウッディ・スモーキーな香りと強いアニマリックノートの香りで、一週間は長持ちしそうだ。しかし、遠く離れるひときわ広い範囲でバニラ調のアンバーが香るだけだ。」

「だからシャリマーは、適度な距離を置いたときにこそ効果的だ。香水をつけた後、すぐに男性と腕を組んでタクシーに乗りに行くのには適していない。かといって、食後のデザートの延長のような寝室用フレグランスにも適さない。この独特の甘さと身にしみるような旋律は、ディナーパーティでこそ巧妙に注目を集めることができる。香りを掻き消してしまうような騒々しいパーティには向かない。静か過ぎるのもいけない。供される素敵な料理と共鳴し合う適度なにぎやかさのあるパーティに最適だ。」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:シャリマー
原名:Shalimar
種類:パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1925年
対象性別:女性
価格:7.5ml/18,260円、30ml/44,000円
販売代理店ホームページ:大丸松坂屋オンラインショッピング


トップノート:シトラス、マンダリン・オレンジ、シダー、ベルガモット、レモン
ミドルノート:アイリス、パチョリ、ジャスミン、ベティバー、ローズ
ラストノート:レザー、サンダルウッド、オポポナックス、ムスク、シベット、バニラ、インセンス、トンカ・ビーン

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