究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

【ゲラン】アプレロンデ(ジャック・ゲラン)

ゲラン
ゲランジャック・ゲランブランド調香師香りの美学
この記事は約4分で読めます。

アプレロンデ

原名:Apres L’Ondee
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1906年
対象性別:女性
価格:100ml/14,600円

スポンサーリンク

香りで表現した印象派の香り


アプレロンデ」とは、フランス語で「にわか雨の後で」という意味です。それは1906年にゲランの三代目調香師ジャック・ゲランにより調香された香りであり、彼の印象派絵画への愛を香水に昇華させた意欲作でした(この年、ポール・セザンヌは雨に打たれて死去した)。

そして、1912年の「ルール ブルー」へと繋がっていくことになるのでした(アプレロンデの方が、より水彩画のタッチでありパステル調)。

にわか雨の後、庭園に日射しがきらきらと降り注ぎ、大地が生命感に満ち溢れる情景を連想させるヴァイオレット、アイリス、バニラのパウダリーブーケの魔法の香りです。

春に咲く紫の花々(ライラック、ヴァイオレット、アイリス、ヘリオトロープ、ヒヤシンス、藤)を連想させ、雨に濡れた草の上をはだしで歩きたくなるこの香りの素晴らしさを一言で表現すると、誰もが詩人になれる香りと言えます。

はじまりは、ベルガモットが気付け薬のように鼻を眠りから呼び覚ましてくれます。そこに、ほのかに甘くスパイシーなアニスとカーネーションがグリーンを基調に香り立ち、静かに水彩画のようなパウダリーなアイリスが包み込みます。どこか雨上がりの一瞬の静寂を感じさせるさせるアプレロンデの真骨頂のスタートです。

そして、アイリスに寄り添うように、ヴァイオレット(スミレ)とサンザシといった春の花々に、ヘリオトロープが混ざり合い、曇り空に陽光が射し、大地が眠りから覚め、鮮やかな色彩を取り戻していく情景が香り立ちます。

この香りの素晴らしさは、全てが見事なまでに繊細な低音で奏でられる所にあります。「アプレロンデ」が、躍動と低音の美学と称されるのはそのためなのです。残念ながら、日本のゲランにおいては、2020年に販売終了となりました(そして、2021年に復刻しています)。

ちなみに、この香りの中ではじめてカッシー・アブソリュート(ミモザのパウダリーな香り)が香料として使用されました。

スポンサーリンク

ささやかな喜びを忘れないために・・・


かつて発売されていたパルファムは、香料規制によりもはや今ではフランスでも手に入らなくなりました。2005年以降、オードトワレにおいても、オイゲノールに対する規制のため香調に変化があります。

マリオン・コティヤールが「私の香り」と呼び、ファッション界の帝王カール・ラガーフェルドが愛した香りがこのパルファムでした。

すばらしい名前を持つ、ひんやりとメランコリックなフレグランスの典型。この魅力的な作品は、神秘的な「ルール ブルー」「ゲラン」の片割れ<より明るくてフレッシュな弟分>だ。

「アプレロンデ」は時間がたっても香りがほとんど変化しない。中心をなす透明感のある香りは、かすかな悪意を秘めた愛撫で、桃の種の匂いを思わせる。香りの立ち上がりが早く、その神秘はいつまでも続く。単純さと胸を締めつけるノスタルジーと飾らない美しさを持ち、ゲランとしては型破り。

ルカ・トゥリン 『匂いの帝王』チャンドラー・バール 早川書房

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「アプレロンデ」を「至福のヘリオトロープ」と呼び、「まっさらな白紙を前にする喜びは、はかりしれない。」「最初の本格的ヘリオトロピン香水。そのアーモンド・フローラルなヘリオトロピンは春のように淡くパウダリーなミモザを思わせ、はかなげなきらめきの表現が必要だったが、アプレロンデはそれをみごとに体現している。」

「単純で安っぽいところのあるヘリオトロープに、憂鬱でパウダリーなアイリスを加えて補った。ここでやめて、4頭立ての馬車と灰色のオーストリッチの羽根でもそろえれば理想の葬式になるだろう。だがゲランは、クラシックな香水によく使う手として、シェフがいうところのプロバンスのブーケ、つまりローズマリー、タイム、セージをほんの少し使うことで、全体を明るい太陽の光で満たした。」

「このささやかな地上の喜びへの暗示によって、アプレロンデは涙ぐみながらも微笑む。数ある淡くロマンティックな香水の中で、アプレロンデだけが、なぜか湧き上がるようなみずみずしいピアノの和音の響きを感じさせ(イメージとしてはまさにモダーンだ)、ドビュッシーの楽曲も顔色なし。いつの時代をとっても20位までに入るすばらしい香水だ」と5つ星(5段階評価)の評価をつけています。

スポンサーリンク

香水データ

香水名:アプレロンデ
原名:Apres L’Ondee
種類:オード・トワレ
ブランド:ゲラン
調香師:ジャック・ゲラン
発表年:1906年
対象性別:女性
価格:100ml/14,600円


トップノート:カッシア、ネロリ、アニス、ベルガモット、レモン
ミドルノート:ミモザ、カーネーション、サンダルウッド、ヴァイオレット、ニオイイリスの根茎、ジャスミン、ベチバー、イランイラン、ローズ、サンザシ
ラストノート:アイリス、アンバー、ムスク、ベンゾイン、バニラ、ヘリオトロープ、スティラックス

タイトルとURLをコピーしました