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【ファリナ】オーデコロン(ヨハン・マリア・ファリナ)

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©FARINA1709
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オーデコロン

原名:Original Eau de Cologne
種類:オーデコロン
ブランド:ファリナ
調香師:ヨハン・マリア・ファリナ
発表年:1709年
対象性別:ユニセックス
価格:不明

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オーデコロンの起源は『王妃の水』からでした。

カトリーヌ・ド・メディシス

オーデコロンの起源は、現存する世界最古の薬局サンタ・マリア・ノヴェッラ(1221年)の「アックア・デッラ・レジーナ(王妃の水)」と言われています。

この香りは、現在も発売されている香りですが、カトリーヌ・ド・メディシスが、1533年にフランスのアンリ2世へ嫁いだ際に、特別に調合された香水でした。

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オーデコロンの父、ヨハン・マリア・ファリナ

ヨハン・マリア・ファリナ(ジャン=マリー・ファリナ)

世界で最初のオーデコロンが発売されたのは、1709年にドイツ・ケルンからと言われています。それは1685年にイタリアのサンタ・マリア・マジョーレ近くの村で生まれたヨハン・マリア・ファリナ(1685-1766)により調香されました。

ヨハン・マリアの一家は、アルコールを蒸留する工房を営んでいました。18世紀はじめに、ドイツのケルンで叔父の工房を手伝うようになります。

そして、1708年に23歳の時、出征中の兄ジョヴァンニに香水を作ったという手紙を送りました。「イタリアの春の朝、見事に咲いた水仙や雨上がりのオレンジフラワーを思わせる匂いが、さわやかな気分を運んでくれ、僕の感覚と想像力を刺激してくれます」という内容でした。

そして1709年7月13日に兄は、帰還後、ケルンで世界最古の香水製造会社であるファリナ社を設立し、その香水を「オーデコロン」(=ケルンの水)と名づけ、製造するようになったのでした。1714年からヨハン・マリアも会社に合流しました。さらに1740年以降、ヨハン・マリアは、フランスの上流階級との取引の利便性のためジャン=マリー・ファリナと名乗るようにしたのでした。

ロザリ

「オーデコロン」の最初の納品は1716年に、わずか12本という小さなスタートだったのですが、1730年から1739年の間に、ロザリと名付けられた特徴的な細長いボトルが約3,700本納品されたのでした。

ちなみに1760年に、フランスから逃亡したカサノヴァはケルンに滞在し、このコロンを初めて知り愛用するようになりました。さらにオーストリアのヨーゼフ二世は妹のマリー・アントワネットに、このコロンを大量にプレゼントしたと言われています。

このコロンに関する最も有名な逸話は、ナポレオン・ボナパルトに関するものです。潔癖症のナポレオンは、戦場でブーツの中にまでこのロザリを忍ばせていたと言われています。

しかし、この最初のオーデコロン誕生には、アナザーストーリーがあるのです。

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オーデコロン誕生のアナザーストーリー

デュ・バリー夫人

オーデコロン誕生のアナザーストーリーは、ジョヴァンニ=パオロ・フェミニスという、イタリア人の薬剤師が、旅の途中に立ち寄ったサンタ・マリア・ノヴェッラ修道院で、「王妃の水」のレシピを修道尼より手に入れたことからはじまります。

彼はこのレシピに触発され、ドイツのケルンに移住した後、1695年(1725年とも)に、ワインから得られた純度の高いアルコールと、ネロリやベルガモット、セドラ、シトロン、ラベンダー、ローズマリーのオイルを数種類のハーブで香りづけした〝Aqua Admirabilis(すばらしい水)〟を生み出したのでした。

この水は、瞬く間にヨーロッパ中で評判になり、多忙になったジャン・パオロは一族(甥あるいは姪の息子)のヨハン・マリア・ファリナをドイツに呼び寄せたのでした。1736年にヨハンは伯父の商売を引き継ぎ、肌にも身体にも良い飲むことの出来る万能薬としてこのコロンをさらに人気にしたのでした。そして、彼はジャン=マリー・ファリナと名乗るようになりました。

1734年にプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世に献上しました。やがて七年戦争(1756-63)が起こり、ルイ15世のフランス軍がライン川のほとりケルンを占領したとき、兵士の間でこの〝すばらしい水〟は評判になり「オーデコロン=〝ケルンの水〟」という呼び名と共に、母国に持ち帰られていったのでした。

1760年にこの水を手に入れたデュ・バリー夫人(のちにルイ15世の公妾となりフランス革命でギロチン台で処刑された)によりフランス宮廷に紹介されました。この当時の人々には入浴の習慣はなく、年に数回しか全身を洗うことがなかったため、不快な体臭を隠す役割を担っていました。

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1862年にロジェ・ガレへと引き継がれる。

©ROGER & GALLET

やがて、「オーデコロン」は三つの大きなブランドへと分かれてゆきます。ひとつは当然、本流であるファリナ社の「オーデコロン」です。

そして、もうひとつが、ナポレオン・ボナパルト(1769-1821)が愛用したと言われる創業一族の血を引く調香師ジャン=マリー・ファリーナ(1785年生まれ)による「オーデコロン」です。このオーデコロンは、ケルンの親会社に対して、オリジナルとは違うオーデコロンを作るという条件で1806年に生み出した、ネロリを基調としたものでした。

さらに彼は、パリでたくさん誕生していた亜流の競争相手に対し法的な闘いを挑み、正当なオーデコロンは、ワインから抽出した最高級のアルコールを使い、1年間は熟成させていると主張したのでした。

ナポレオンは一日数本(月に60本)消費するほど、ファリナの「オーデコロン」と共にこのコロンを愛用していました(イタリア遠征の頃にオーデコロンを知り、エジプト遠征の頃には浴びるほど使うようになりました)。ヴィクトリア女王1819-1901)にも愛用されました。1本のオーデコロンが使用人の給料6カ月分に相当したと言われています。

やがてジャン=マリーの店が1808年にパリ・フォブール・サントノーレ通りにオープンしました(ファリナ社の分家的存在)。そしてこの調香処方は、1840年に老年になったジャン=マリーがレオンス・コラスに売り、1862年に、二人の義兄弟アルマン・ロジェとシャルル・ガレが引き継ぎ、ロジェ・ガレを創業してコロンを発売したのでした。

この頃までオーデコロンは、最上級に高価なものだったのですが、香水産業の発達により、オーデコロンは一般的な製品となってゆき、1853年の「オーインペリアル」と共に、ゲラン帝国が台頭することになるのでした。

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一般的に、世界初のオーデコロンと呼ばれている「4711」

4711

さらにもうひとつの「オーデコロン」の遺伝子を引き継いだものとして上げられるのが「4711」です。一般的にこのコロンが、世界初のオーデコロンと呼ばれているのですが、それは真実ではありません。

すべてのはじまりは、1792年に30歳の銀行家の息子ウィルヘルム・ミューレンスがケルンで結婚式を挙げたとき、修道士から祝福の印として、〝Aqua Admirabilis(すばらしい水)〟の処方が記載された羊皮紙を贈られたことからはじまります。

この香りに触発され、自宅に小さな工場を建て、ミューレンス社を創業し、グロッケン通り4711番地に店を開き、「本物のオーデコロン、4711」として売り出すことにしたのでした。オーデコロンの正当性を生み出すためにファリナの名を持つ人をパートナーにして正当化しました。

こちらはロジェガレのコロンと柑橘系の匂いは同じですが、ラベンダー、ローズマリーなどを加え、ちょっぴり甘い爽快感を有している違いがあります。

「4711」は、1794年にフランス革命戦争の時に、ケルンに進駐したナポレオンの軍隊がパリに持ち帰り、ヨーロッパ中で評判となりました。そしてヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテも愛したコロンとして有名になりました。

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ファリナの「オーデコロン」の香りについて

©FARINA1709

©FARINA1709

さてファリナのオリジナルの「オーデコロン」について話を戻しましょう。〝赤いチューリップ〟のロゴはずっと同じなのですが、香り自体は、現在のものは、オリジナルとは全く違うものとなっています。

典型的なシトラスの爆発ではなく、爽やかなレモンとオレンジ、グレープフルーツの中から、フレッシュなジャスミンと、マリン調のグリーンなヴァイオレットがふんわりと広がるようにしてこの香りははじまります。

そして、ゆっくりとホワイトムスクが満ちひろがって、サンダルウッドとオリバナムのほのかにスパイシーウッディな温かさで包み込んでゆくのです。極めてモダンなオーデコロンの様子を見せておられます。

ちなみにこのブランドが最も大切にしている精神とは、イタリア人の血統を大切にするように、特にベルガモットをはじめとするイタリア産シトラスの品質へのこだわりです。ベルガモットはまだ実が緑色をしているときに収穫され、果皮だけを蒸留して精油にしたものが使用されています。

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香水データ

香水名:オーデコロン
原名:Original Eau de Cologne
種類:オーデコロン
ブランド:ファリナ
調香師:ヨハン・マリア・ファリナ
発表年:1709年
対象性別:ユニセックス
価格:不明


トップノート:ベルガモット、レモン
ミドルノート:ガルバナム、ジャスミン、ヴァイオレット
ラストノート:サンダルウッド、シダーウッド、オリバナム、ムスク