ミス ディオール シリーズ
Miss Dior クリスチャン・ディオールにとって最も重要なフレグランスは、「ミス ディオール」です。クリスチャン・ディオール(1905-1957)が存命中の1947年に生まれたこのフレグランスは、ディオール自身がこだわりを持って調香させた香りでした。
そして、時は過ぎ、ディオールが、20代から30代にアピールする香りとして2005年に蘇らせたのが、クリスティーヌ・ナジェルにより調香された「ミス ディオール シェリー」でした。この作品により、21世紀の新たなる「ミス ディオール」の歴史ははじまったのでした。
翌2006年、パルファン・クリスチャン・ディオール社は、シャネルで29年間ジャック・ポルジュの右腕として働いていたフランソワ・ドゥマシーをディオールの専属調香師として招聘したのでした。
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最後の一本から、最初の一本の「ミス ディオール」へ。
「ミス ディオール」は香水界の記念碑的な作品です。なぜなら、はじめて、シプレーにグリーンノートを見事な方法で取り入れることに成功したからです。かくして、この香りは、シプレーの効果を若返らせ、特にその時代の若い女性にとって、はるかにつけやすい香水になりました。技術的には、それは偉業でした。
フランソワ・ドゥマシー
ディオールというブランドにとって最も重要なフレグランスは、「ミス ディオール」です。それはクリスチャン・ディオール(1905-1957)が存命中の1947年に誕生し、ディオール自身がこだわりを持って調香させた香りでした。
1947年という年は、クリスチャン・ディオールが初めてコレクションを発表し、その「コロール(花冠)」ラインと「En 8(アン ユイット)」ラインのドレスが、ファッション界に「ニュールック」としてセンセーションを巻き起こした年でした。
そして、すぐにディオールは、第二次世界大戦後のフレンチ・モードの代名詞となりました。創立から5年間のディオール社の総売上高の50~60%はアメリカ市場の収益が占めました。つまり1947年10月に発売されたこの香水の名が英語なのも、アメリカ市場を意識して創られたものだからでした。
「ミス ディオール」発売後の1948年に、ディオールは、ニューヨークにパルファン・クリスチャン・ディオール社を設立しました。それは女性の頭の先から足の先までディオール・ファッションで飾って頂き、その締めくくりとして香水を振りかけることにより完成するという、ムッシュ・ディオールの理念を叶えるためでした。
この「ミス ディオール」のブランディング戦略が、結果的に、最後の一本から、最初の一本(ディオール・ブランドに憧れる人々が所有するはじめの一歩)の役割を果たすようになりました。そして最終的には、唯一の一本(ディオールに対する憧れをこの一本の所有で完結させる)としてのラグジュアリー・ブランドのフレグランスの役割を定着させることになりました。
かくして「ミス ディオール」は、21世紀に転生を遂げた。
「ディオリシモ」(1956)「オー ソバージュ」(1966)「プワゾン」(1985)「ファーレンハイト」(1988)といった名香がディオールから誕生し、21世紀を迎えんとする1999年に「ジャドール」が発売されました。そして、21世紀に入り、シャネルが2001年に「ココ マドモアゼル」を発表し、〝シャネルの魔性の若返り〟に香水界に激震が走ったのでした。
この時、ディオールは、当時の20代から30代にアピールする香りを作らねばならないと真剣に考えました。その危機感の中で、2005年にクリスティーヌ・ナジェルにより生み出されたのが、「ミス ディオール シェリー」でした。この作品こそが、現在の「ミス ディオール」シリーズの元祖なのです。
翌年、パルファン・クリスチャン・ディオール社は、シャネルで29年間ジャック・ポルジュの右腕として働いていたフランソワ・ドゥマシーをディオールの専属調香師として招聘しました。
そして、2010年代に入り、ディオールは、パンドラの箱を開けるが如く、ナタリー・ポートマンとシャーリーズ・セロンという二人のハリウッド女優をディオール・アイコンへと昇華させ、そのイメージを駆使して、フレグランスの内容よりも、イメージを重視することにより、フレグランス部門の世界覇権獲得に乗り出したのでした。
「ミス ディオール」のブランディングを見ていると、〝フレグランス界の天下布武〟の方法論が見えてきます。
- 〝香水は見えるもの〟ボトルはかわいらしくエレガントでなければならない
- 〝褒められやすい香水〟分かりやすく当たり障りなく。それが男性に褒められやすい香りの鉄則
- 〝お客様を広告塔に〟誇らしげに、ディオール・コスメのショッパーを持ち歩いて貰えるようにする
- 〝SNSを攻略する〟とにかくSNSとユーチューブを支配する
何よりも20代から30代の女性をターゲットにしたフレグランスでありながら、実際は、それ以上の年代の客層をも惹きつけることに成功しています。ただし、以下の二つの悪弊も抱えております。
- 販売員(BA)でさえも把握しきれないリネームとリニューアルを繰り返し、リニューアルを繰り返し
- 本格的なフレグランスの説明はせず、暗に、こだわってフレグランスを購入する層を突き放す
しかし、「ミス ディオール」シリーズには、だからといってダメだと言い切れないフレグランスを愛する者にとって突き放せない何かが存在するのです。
現在販売中のミス ディオール6作品
ミス ディオール ブルーミング ブーケ 2023年版
最も売れているミス ディオール。2023年にリニューアル発売されましたが中身はほぼ変わらず。柑橘系とフローラルのバランスが絶妙。〝心にいつも花束を〟持たせてくれる〝愛が心の中で咲き誇る香り〟。
ミス ディオール<2021年版>
2021年に発売されたミス ディオールのオード・パルファム。ローズを中心にスズラン、ピオニー、アイリスといった花々が、ムスキーなバニラと結びつき、あなたの肌の上に秘密の花園を生み出してゆく香り。
ミス ディオール アブソリュートリー ブルーミング
2016年に発売されたミス ディオール。ジューシーな甘酸っぱさと濃厚なフローラルが特徴。最も官能的なミス ディオール。
ミス ディオール ローズ&ローズ
2020年に発売されたローズに特化したミス ディオール。(ディオール社が契約している)スパイシーでフルーティなグラース産のメイローズとダマスクローズの華麗なる二重奏。最もムスキーローズな香り。
ミス ディオール オードゥ トワレ<2019>
2019年に発売されたミス ディオールのEDT。フローラル・シプレーだが、ネロリが抜かれ、スズランが投入され、若い女性にとってラグジュアリー感を演出できる香り。
ミス ディオール エクストレ ドゥ パルファン
2014年に発売されたミス ディオール唯一のパルファム。
現在販売中のオリジナル2作品
ミス ディオール オリジナル オードゥ トワレ
ミス ディオール オリジナル エクストレ ドゥ パルファン
過去のミス・ディオール10作品
ミス ディオール
ミス ディオール オードゥ パルファン<2012>
ミス ディオール オードゥ パルファン<2017>
ミス ディオール オードゥ トワレ
ミス ディオール シェリー
ミス ディオール シェリー(2011年)
ミス ディオール シェリー オー
ミス ディオール シェリー オードゥ トワレ
ミス ディオール ブルーミング ブーケ
ミス ディオール ル パルファン