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【ディオール】ジャドール シリーズの全て

クリスチャン・ディオール
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クリスチャン・ディオール
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ジャドール シリーズ

J’Adore 「ジャドール」とは、フランス語で、「大好き」という意味。それはもし「黄金」に香りがあるならばどんな香りなのだろう?という妄想をボトルに閉じ込めた香りであり、吐息混じりに官能的な香りを発つ「宿命の香り」とも言えます。「パルファン・ファタール」それが、この香りの別名なのです。

クリスチャン・ディオールというブランドにとって最も重要なフレグランス・シリーズは、二つあります。ひとつは「ミス ディオール」。そして、もうひとつは「ジャドール」。

それは世紀末、1999年7月に恐怖の大王の変わりに、世界を愛で満たすために舞い降りた「愛と宿命の香り」なのです。

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「香水に興味のない人に香水を売る方法」

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クリスチャン・ディオール(1905-1957)は、ファッションブランドにおけるフレグランスの重要性にいち早く気づいたデザイナーの一人でした。そんな彼が最初に生み出したフレグランスが「ミス ディオール」でした。それは1947年のことでした。そして、52年の時が流れ、20世紀末、香水産業は斜陽の兆候を見せ始めていました。

フランスの市場は、香水に興味を失い始め、アメリカの市場は、これ以上成長の見込みがなく、ドイツ・日本の市場は縮小傾向にありました。であるにもかかわらず、香水のための広告代は跳ね上がる一方でした。

ひとつの新しい香水の為に数千万ドル経費がかかる状況の中、どのブランドの香水部門も新作に対して、満足の行く売上を上げることができないでいました。

そんな中、シャネルN°5は、どれだけ新しい香水が販売されようともフランスにおいて年間売上No.1の地位に君臨していました。つまり、人々は香りに対して新しいものよりも、定番の香りを求めていました。そんな中、この「ジャドール」は産声をあげたのでした。

もし、ゴールドを香りにしたら、どんな香りになるのだろうか?

トッズの靴のようにとても快適な履き心地でありながら、セクシーなスティレットヒール

そんな香りを作ってほしいという要望が、パルファン・クリスチャン・ディオールより、女性調香師カリス・ベッカーに出されたのでした。

「ジャドール」とは、フランス語で、「大好き」という意味です。そんな大げさな名を冠した官能的なフローラルブーケのフレグランスは、ただその香りが魅力的なだけでなく、それ以外の要素に重点を置くことによって、12年後に、フランスで最も売れるウィメンズ・フレグランスの地位を獲得することになるのでした。

何よりも重要なのはボトル・デザインである!と考えたパルファン・クリスチャン・ディオールの商品開発部門は、フレグランスに興味がない人でも一度見たら記憶に残るエレガントなボトルシルエットを作り上げようと考えたのでした。

こうして生まれたのが、宝飾デザイナーのエルヴェ・ファン・デル・シュトレーテンによる、古代ギリシアのアンフォラ(陶器の器)のようなボトルデザインです。

それは、1947年にクリスチャン・ディオールによって生み出されたニュールックのドレス・ラインと、マサイ族のネックレス(当時のディオールのデザイナーであるジョン・ガリアーノのアイデア)からインスパイアされたデザインでした。

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世界一の香水の座に、駆け上ったジャドール

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「ジャドール」は、1999年に発売され、ディオールの主力フレグランス・シリーズになるが、シャネルNo.5以上の売り上げを上げることは出来ませんでした。

そんな状況に痺れを切らしたパルファン・クリスチャン・ディオールは、2010年代はじめより、フレグランスが爆発的な売れ行きを示すためには、フレグランスが嫌いな人にフレグランスを売るしかないと決意したのでした。

そして、この時期を境に、ディオールの香水は、顧客に混乱を与えるようになりました。2011年末、昔のハリウッド女優たち(グレース・ケリーやマリリン・モンロー)とシャーリーズ・セロンを競演させた「ジャドール」の新キャンペーン・フィルムとそれに付随する大掛かりなイメージ戦略により、ついにシャネルNo.5を追い抜き、フランスで最も売れているウィメンズ・フレグランスの地位を獲得するに至りました。

2020年現在、女優や著名人を積極的に起用し、ネーミングを頻繁に変え、顧客を混乱させてしまう「ディオール・マジック=攪乱戦略」は、依然効果を生み出しています。しかし、一方で、ブランドとしての信頼性が問われはじめています。

果たして、フレグランスの品質とは全く関係のない部分にあれだけのお金を投入しているブランドの製品自体の品質は如何なものなのだろうか?という疑念を人々は感じ始めているのです。更に今では、ほとんどのディオールのコスメカウンターは、どういうことかフレグランスの説明がろくに出来ないBAで溢れかえる状況になっているのです。

「ジャドール」シリーズとは、そんな、ディオールのフレグランスの光と影を象徴する「宿命の香り」=「パルファン・ファタール」。

現在のディオールの専属調香師フランソワ・ドゥマシーの存在はなくとも、このボトルデザインとシャーリーズ・セロンさえ居れば、売れ続けるであろう「奇跡の黄金水」、それが「ジャドール」シリーズなのです。

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現在販売中のジャドール7作品


ジャドール
1999年に発売された歴史的傑作。最初に頬を叩き、後から甘い言葉を囁くような煌きを持つ稀有な香りだった。2010年に再調香され、その効力は弱まるも、ピーチとローズをメインにした濃厚なフルーティ・フローラルシャワーは健在ではある。

ジャドール ロー 2023版
2023年に発売されたフランシス・クルジャンの手による「ジャドール」。ジャスミン、オレンジ・ブロッサム、ローズのアブソリュートの三重奏が織り成す〝黄金のジャドール〟。

ジャドール オー ルミエール
2016年に発売された別名「ジャドール オードトワレ」。2002年に発売され、今で三代目。最も日本では好まれているジャドール。

ジャドール イン ジョイ
2017年に発売された〝歓びのジャドール〟。それはマリンノートのジャドールであり、瑞々しいピーチが主役となる20代の上品なお嬢様の香り。


ジャドール アブソリュ<2018年版>
2018年に発売された〝究極のジャドール〟。全ての香料のグレードを上げて生み出しているだけあり、最も濃厚な香りがする。ただしマセラティのような走行するシーンに困る香り。

ジャドール トゥッシュ ドゥ パルファン
2015年に発売されたジャドール上級者のための魔法の棒。これを上手く飼いならすと、他ブランドのフレグランスにも、黄金の輝きを与えることが出来ます。

ジャドール エクストレ ドゥ パルファン
2014年に発売されたジャドール唯一のパルファム。

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販売が終了したジャドール3作品


ジャドール アブソリュ 2007年

ジャドール ヴォワル ドゥ パルファン 2013年

ジャドール ロー
2010年に発売された〝黄金のジャドール〟。黄金のバニラが煮詰められ掻き混ぜられている中に、大量の摘みたてのローズとジャスミンが投下されていくような贅沢極まりない香り。