マチルド・ローラン

マチルド・ローラン カルティエの専属美人調香師(2ページ)

    マチルド・ローラン
    Mathilde Laurent
    1970年、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。
    マチルド・ローランの全ての香水一覧

    <代表作>
    アクア・アレゴリア ハーバフレスカ(ゲラン)
    アクア・アレゴリア パンプルリューヌ(ゲラン)
    ベーゼ・ヴォレ(カルティエ)
    ラ・パンテール(カルティエ)
    ランヴォール・ドゥ・カルティエ(カルティエ)



    世界一美しい調香師。その名をマチルド・ローラン「様」と呼ぶ。

    「いつの時代にでも生まれることが出来るのなら、絶対にフランス革命前のフランスね。ただし、貴族階級で、ヴェルサイユで生まれるんじゃないと嫌だけど」

    現在、6つのラグジュアリー・ブランドが、独自に専属調香師を持っています。ここに羅列していくと

    1. ジャック・キャヴァリエ ルイ・ヴィトン
    2. ティエリー・ワッサー ゲラン
    3. クリスティーヌ・ナジェル エルメス
    4. フランソワ・ドゥマシー ディオール
    5. オリヴィエ・ポルジュ シャネル
    6. マチルド・ローラン カルティエ

    という具合です。そして、2018年9月現在、それらの中で唯一、日本でのブランディングに失敗しているのが、カルティエなのです。マチルド・ローランというナタリー・ポートマンを彷彿させる美貌を持ち、今では、「女王」の貫禄も兼ね備える、反逆と孤高の調香師がそこには存在するのです。ここに彼女の性格を一瞬で理解させる発言を引用しよう。

    今ではヨーロッパの香水は、ほとんど物真似になってしまっています。それらには芸術性の欠片も存在しません。私たちは、そろそろ香水に対する考えを改めなければなりません。香料は絵の具なのです。その絵の具を使い、人々に第二の肌を創造してもらうのです。真の香水とは、調香師と使用者の共犯関係によって生み出される身に纏う芸術(アート)なのです。

    ちなみに彼女が最も尊敬する調香師は、ジャン=クロード・エレナ(有名な一言「香水の広告は、決して信じるな!」)です。そして、双方に共通しているのは、香水はアートなのだという姿勢です。



    ジャン=ポール・ゲランの弟子になる。

    私は光を愛する!だからカルティエにいる。

    1994年にオープンしたガラス張りのカルティエ現代美術財団のペントハウスにマチルド様のアトリエがあります。それはジャン・ヌーヴェルのデザインしたものです。

    マチルド・ローランは、1970年4月18日にフランスのパリで芸術家の両親の下に生まれます。最初は、父親のように建築家になりたかったのですが、すぐにカメラに熱中するようになり、フォトグラファーになろうと考えていました。一方で、友人の香水収集に感化され、香水にも興味を持ち、17歳の時には、両親の親友が調香師になる学校があると教えてくれました。

    「私は大学ではかなり成績が悪かったのよ」と言いながらも、科学と物理学の学位を取得後、1992年に調香師養成機関の最高峰といわれるヴェルサイユのイジプカ(ISIPCA)に入学します。そして、2年後の卒業パーティで、シャンパンの力を借り、ゲランの4代目調香師ジャン=ポール・ゲランにインターンシップを直談判します。誰一人、そのことを尋ねる者はいなかったので、ジャン=ポールは、喜んで承諾しました。そして、1994年2月14日から3ヶ月のインターンシップの後、ジャン=ポールの助手としてゲランに正式に雇われることになります。

    ジャン=ポールは、私に新しいことに挑戦する勇気と、その気持ちを持続することの大切さを教えてくれました。そして、常に「ライオン」のように立ち振る舞うことと、創造の自由をお金のために手放すべきではないということを教えてくれました。

    マチルドは、1994年から2005年まで11年間ゲランで働くことになります。



    そして、カルティエ初の専属調香師になる。

    48歳にしてこの美貌。20~30代の彼女はどれほど美しかったのでしょうか?

    マルジェラのブロンズ・ジャケット。ファッション・デザイナーのようなパフューマー。

    そして、カルティエのCEOベルナール・フォーナス(1984年から94年にかけてゲランにいた)に、オーダーメイドでジュエリーを作るように、香水を作って欲しいという要請を受け、2005年にカルティエに入社します。5万ユーロという破格の値段で作られるカスタム・フレグランス・サービスが、2005年12月にパリでリニューアル・オープンされた本店でスタートしました。

    5万ユーロ(約660万円)の香水とは?まず最初に、カルティエ本店の特別室でマチルドは顧客から2時間~3時間かけてリサーチします(子供時代、旅行における嗅覚の記憶など・・・)。そして、1年間の月日をかけて、世界でたったひとつの香水を作り上げていきます。その間も何度か顧客と会い、香料等を選択していきながら、最終的に2つのプロトタイプを示し、気に入った方を選んでもらいます。

    150mlのゴールドとクリスタルのボトルが2本製作され、レザーボックスの中に収納されます。そのボックスの下の引き出しには、50mlのスプレータイプのクリスタル・ボトルが3本入っています。さらに残りの1000mlは、カルティエ社に保存され、いつでも好きな時に引き出せるのです。

    私は、ゲランとカルティでしか香水を作っていません。それは理由があってのことです。私は、香水業界が、とても不透明だと考えています。そこには秘密主義が蔓延っています。それは、多くのファッション・ブランドが、多大なる情熱をファッションに注ぎ込むのとは対照的に、香水には情熱がゼロの状態で、安上がりのプロモーションの材料として猫も杓子も香水を作る傾向が示しています。そういった香水に限って、秘密が多く、そこには、本当に良いものを生み出そうという姿勢すらありません。

    かつて、ポール・ポワレやココ・シャネルが、ファッション・ブランドでありながら香水を創ったのは、明確な香水に対しての愛情と敬意が存在した上でのことでした。しかし、今では全てのファッション・ブランドが必要もないのに、香水を創っています(そして、ブティックの片隅にお荷物のように置かれています)。

    今、世界中の香水のほとんどは、顧客が払う価格の1/50の価値しかありません。私はそんなことが許されている香水業界が嫌いです。そして、その傾向に対して、何も言わない調香師たちを軽蔑します。ピカソの絵画は本物は恐ろしく高価なのですが、同じ絵でもポスタルカードは安いものです。これがアートなのです。しかし、香水の場合は、そのポスタルカードのようなものを、情報を隠し、高額で販売していたりするのです。私は、香水業界に威厳はないのか?と怒りさえ感じています。

    マチルドは現在の香水業界に対して実に辛辣であり、他の調香師に対する見解にも遠慮がありません。そんなマチルド・ローランの香水が販売されていない日本はまだまだフレグランス後進国なのでしょう。



    世界一美しい調香師が愛するものとは?

    5万ユーロ(約660万円)の笑顔を持つ女。

    薬指には、パンテールの結婚指輪。しかし、どこかナタリー・ポートマンに似ています。

    6歳の頃、ミツコの匂いをはじめて嗅いだ時から私の運命は決定づけられた気がします。しかし、その時に、香水に興味を持ったわけではありませんでした。ただひとつ言える事は、今でもその時の香りを思い出すことが出来るのです。

    最後に、マチルド様の愛するものを羅列していこう。〝香りを芸術する〟女性の感性は非常に気になるものです。

    「好きなものは、コンバースよ、20足以上持っているの」と言いながら、カルティエのパンテールとジュスト アン クル・ブレスレットをキラつかせるマチルド様。そのギャップが素晴らしいです。「リーバイスのボーイフレンドジーンズが好き」という彼女は、決してスカートを履かないことでも有名です。

    お茶とコーヒーとチョコレートを愛するマチルド様は、特に「Jukro」と呼ばれる韓国の黒茶を愛しています。そして、コーヒーは、酸味が強く、フルーティーなケニア産のコーヒーを愛好。

    クリスチャン・トルチュのキャンドルと、ディプティックのフドブワのキャンドルを愛し、好きな花(調香師の好きは花は、大変気になります)は、スズラン、チューリップ、ピオニー。一方、「つねに私を魅了する香り」はパチュリとオークモスです。

    私は決して香水をつけません。それは、肉を調理している時に、ストロベリー・ケーキを食べないのと一緒です。私は四六時中香りについて考えているので、香りを身に纏わないのです。

    最後に、マチルド・ローランが愛する香りは、シプレ・ド・コティ、ヘルムート・ラングのオード・パルファム、ロシャス・ファム、グレのカボシャール、ゲランのミツコ夜間飛行ミュグレー・コロン、エルメスのナイルの庭、モンタナのパルファン・ド・ポーです。



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