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【ゲラン】アクア アレゴリア シリーズの全て

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アクア アレゴリア

Aqua Allegoria 1999年にゲランが創造した「アクア・アレゴリア」シリーズは、「ゲランが愛する5つの庭」というコンセプトで生み出されました。しかし、2003年に、エルメスが、地中海の庭を発表し、「庭園のフレグランス」シリーズを大成功させたことにより、「庭」という香りのキーワードは、エルメスのフレグランスを象徴するものとして定着していきました。

そんな苦難の時期を経て、23年の時が経ち、今では、エルメスの「庭園のフレグランス」に匹敵する、どこでも・どんなときでも使用しやすい、ラグジュアリー・ブランドの〝等身大〟フレグランス・シリーズとしての不動の地位を築き上げたのでした。

このシリーズをより良く理解する場合、「自然の美しさと、魅惑的な数々の天然素材へのオマージュとして捧げられた・・・」という公式の説明よりも、このシリーズの影の立役者について知る方がより良いです。

その人は、1999年当時、20代半ばの女性でした。そして、彼女とジャン=ポール・ゲランの師弟の間柄と、1994年にゲランがLVMHの傘下に入ったという状況が、このシリーズの誕生のきっかけになったのでした。

その女性の名をマチルド・ローランと申します。現在カルティエの専属調香師をつとめる人です。

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感想(10件)

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マチルド・ローランのゲラン革命

マチルド・ローラン様。©Cartier

1994年、LVMH(ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー)の傘下に入ったゲランは、香水のクリエイションに関して大きな決断を迫られていました。2年前に誕生していた「ロー ドゥ イッセイ」そして、94年に発売された「CK ONE」により、時代は明確に、軽い香りを望むようになっていたからです。

そんなこともあり、新しい感性を求め、4代目ゲラン専属調香師ジャン=ポール・ゲラン(1937-)は、一人の女性・マチルド・ローランを弟子にしたのでした。そして、助手として4年の月日を経た1998年はじめに、「アクア・アレゴリア(水の寓話)」プロジェクトは極秘裏にスタートしたのでした。

テーマは、20代から30代のライト層をゲランの新しい顧客にするということでした。そして、1999年に生み出されたのが、5本の「アクア・アレゴリア」だったのです。

ボトル・デザインも、ゴールドのハチの巣をイメージした<大人のファンタジー>を感じさせるロベール・グラネによるデザインで統一されました。

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アクア・アレゴリアのコンセプトについて

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キーワードは庭。私が愛する5つの庭を香りにしました。都会にいながら、まるでガーデンの中で癒されている自分を感じとることが出来るのです。ひとつひとつが素晴らしい庭をイメージさせながら、たとえふたつ以上の香りを重ねても、その香水の描く世界は、どこまでも大自然の庭。

好きなとき、好きなように、好きなだけ使えばいいのです。いくつもの顔を使い分けなくてはならない現代女性にとっては、その人の本質を変えずに印象を自在に操れる香りのチェンジは、まさに理想。「アクア・アレゴリア」は、時代が求めている香りのかたちであったといえるのではないでしょうか。

ジャン=ポール・ゲラン、1999年

全て、このジャン=ポールの言葉に「アクア・アレゴリア」の不変の精神は凝縮されています。そして、2018年から「ミクソロジー」という、ジョー・マローンの「フレグランス・コンバイニング」のパクリのような概念を前面に打ち出しているのですが、実は、この概念が、1999年スタート当時から存在したことを私たちは再認識できるのです。

マチルド・ローランの若い女性の感性を前面に押し出し、老獪なジャンーポール・ゲランのサポートにより生み出された「アクア・アレゴリア」は、一番最初に生み出された作品を今だに超えることが出来ません(「パンプルリューヌ」と「ハーバフレスカ」)。

しかし、ライト層をターゲットにしているにも関わらず化け物のようなクオリティの作品群が存在したからこそ、このシリーズは今も存在するのでした。

こうして、2005年までのアクア・アレゴリア・シリーズには、マチルド・ローランの精神が多分に反映されたものとなりました(2002年にジャン=ポール・ゲランは引退しており、以後の彼名義の作品は、ごく一部を除きゲラン内の調香師により作られたものである)。

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ティエリー・ワッサー朝のアクア・アレゴリア

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5つの中から違う香りをまとった人と人とが触れ合うことで、新たなる香りの世界を生み出す。これもひとつの特徴です。

たとえば、恋人同士で違う香りをつけたとしても、ふたつの香りはある美しいハーモニーを作り出し、ひとつの完成された香りの空間を作り出すのです。個性を持ちつつも、共存している心地よさを味わえるというまったく新しい香りのあり方です。

ジャン=ポール・ゲラン、1999年

2005年12月にマチルド・ローランはゲランを去り、カルティエの初代専属調香師に就任します。そして、この時期以降、オーレリアン・ギシャール、モーリス・ルーセル、カリン・デュブルイユ・セレーニ、ソニア・コンスタン、そして、マリー・サラマーニュが調香を行うことになりました。

中でも、マリー・サラマーニュによる「マンダリン バジリック」は、「第三のアクア・アレゴリア」と呼ばれるほどの名香として、ロングセラーを記録し、ずっと販売され続けている3つの香りのひとつとして定着しています。

そして、2010年、満を持して、ゲランの五代目調香師ティエリー・ワッサーによる「アクア・アレゴリア」の新たなる扉は開かれたわけなのです。現在は、ティエリーのサポートを受け、デルフィーヌ・ジェルクという新たなるスター調香師が育ちつつあります。

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2022年に完全に生まれ変わったアクア・アレゴリア

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2022年5月1日にシリーズ全12作品が、最大95%の天然由来成分を配合したナチュラルフォーミュラに加え、ゲラン初の試みとして、有機栽培のビーツから抽出されたアルコールのみ配合するという、2つのサステナブルな革新を迎え、生まれ変わりました。ただし、それぞれの品質や香りの軌跡はそのままです。

ちなみにこのオーガニック・アルコールが始めて使用されたのは、「シャリマー ミレジム ヴァニラ プラニフォリア」からでした。

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アクア アレゴリア フォルテとアクア アレゴリア ハーベスト

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2022年5月に完全に生まれ変わったアクア・アレゴリアは、決して立ち止まりません。同年8月に、シリーズの中で最も人気のある2作品が、デルフィーヌ・ジェルクの手によりオード・パルファムとして転生したのでした、「アクア アレゴリア フォルテ」の誕生です。

以降、合計6作品が『究極のアクア・アレゴリア』として発売されています。

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さらに2023年5月に、新たなる世代に向けて、新たなるゲラン帝国のはじまりとして、シリーズを代表する3種の香りを、〝環境に配慮した栽培と収穫、素材へのこだわり〟として誕生させた〝究極のサステナビリティ〟フレグランス・コレクションが〈ハーベスト〉です。

こちらは今年だけの香りとして数量限定で発売されています(2023年12月31日までの販売)。