オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン31 『尼僧物語』1(3ページ)

    作品名:尼僧物語 The Nun’s Story (1959)
    監督:フレッド・ジンネマン
    衣装:マージョリー・ベスト
    出演者:オードリー・ヘプバーン/ピーター・フィンチ/ペギー・アシュクロフト



    尼僧の美学

    これが「聖母」かと見間違えるほどに、聖なる美しさに溢れたオードリー。

    オードリーの美しさの秘密は、こうしたシンプルな装いさえも、絵になるところにあります。

    イングリッド・バーグマンを除いて、その当時オードリーのように光り輝くスターはいなかった。彼女は内気で、子馬のようで、知的な女性だった。繊細に見えるが、顎の線に頑固な意志を示す不屈さが見て取れた。私は彼女ならこの役に理想的だと思った。そして、現在ではみんながそう思っている。

    フレッド・ジンネマン

    本作の中には、ジバンシィをはじめとするモード服は一切登場しません。オードリー・ヘプバーンが、時代の最先端をいくファッションではなく、尼僧服という伝統的な装いに身を包み、最後の数分まで物語は進んでいきます。ということは、オードリー・ファッションを堪能するにおいて、この作品は、相応しくないのでしょうか?いいえ、私はそう思いません。むしろ、この作品こそが、オードリーのファッション・センスの本質を垣間見ることのできる貴重な作品だと思います。

    オードリーと尼僧服。彼女がそれを着ると、なぜかどんなドレスよりもハイセンスな装いに見えてしまいます。肌の露出も、女性的な色使いもないのですが、だからこそ、女性を美しく魅せる3つの要素が剥き出しになっています。その3つとは、

    1.ヘアスタイル
    2.メイクアップ
    3.物腰(所作)

    です。この3点が揃っていたからこそ、オードリーは、「処女性」の極みである尼僧服を、最高峰のモードの位置にまで高めることができたのです。この作品を見ていて、オードリーのオール・ブラック・スタイル及びオール・ホワイト・スタイルに、ファッションに関わる仕事をするものならば、容易に感じ取ることの出来る装いのヒントを見つけることができるはずです。



    オードリーのテーラード・スーツ・スタイル

    ベルギーの〝運河の町〟ブルッヘにかかる橋に佇むオードリーのスカートスーツ・スタイル。

    20年代風テーラード・スーツ・スタイル。

    シスター・ルーク・ルック1 テーラード・スーツ
    • グレーのウールのテーラード・スーツ
    • 白のブラウス
    • 白手袋
    • 白のクローシュ、黒リボン
    • ブラウンのローヒールパンプス

    ローマの休日』(1953)『麗しのサブリナ』(1954)『昼下がりの情事』(1957)『パリの恋人』(1957)といったファッション史に残る名作に出演した後に、1950年代最後の作品として、オードリーが選んだのが本作です。29歳を迎えようとしていたオードリーは、それらの作品で培われた、華やかなモード感溢れる〝パリの恋人〟イメージから、次の階段に駆け上っていくためのきっかけとなる役柄として尼僧の役柄を選んだのでした。

    この作品は、その後の、『ティファニーで朝食を』(1961)と『シャレード』(1963)というオードリーの30代前半のファッション史に残る名作を生み出すための「大人への階段」の役割を果たしたと言えます。その階段の第一歩は、モードな色彩ではないテーラード・スーツを着ることによって、示されたのでした。



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