オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン32 『尼僧物語』2(3ページ)

    作品名:尼僧物語 The Nun’s Story (1959)
    監督:フレッド・ジンネマン
    衣装:マージョリー・ベスト
    出演者:オードリー・ヘプバーン/ピーター・フィンチ/ペギー・アシュクロフト



    1950年代だからこそ再現できた尼僧の美学。

    尼僧の美学とは、一言で言うと、白と黒の美学です。

    現実的ではない、コスメと尼僧の関係性が生み出す〝神聖モード〟。

    ワードローブ・テストの写真。

    シスター・ルーク・ルック5 修道女ルック
    • 修道女服
    • ウィンプル(頭巾)
    • 白のヴェール(修行用)
    • ロザリオ

    フランスの修道会の一つが、ついに主要女優それぞれが数日間修道院で過ごし、朝五時半の最初の祈祷から始まる1日の全ての儀式に参加できる許可を出してくれた。私は私の尼僧たちを、オードリー・ヘプバーンは一つの修道院、エディス・エヴァンスは別の修道院、ペギー・アシュクロフトは三番目の修道院・・・というように別々の修道院にわけて送り込んだ。彼女らがどうやっているかを見るために、朝の10時に巡回するのだが、暖房の効いたタクシーで到着すると(1月なかばのパリで、冬の寒さが厳しく、修道院はほとんど暖房されていなかった)、彼女らは全員寒さのために見事な紫色になって回廊から出てきたが、自分たちが参加したものに魅せられており、自分たちのキャラクターの準備をするための方法にとても感動していた。

    フレッド・ジンネマン

    本作のオードリー・ヘプバーンが、尼僧としての神々しさに満ち溢れていたのは、監督フレッド・ジンネマンのその徹底した世界観の作りこみ方にありました。イタリアのチネチッタに、助監督として参加したセルジオ・レオーネが〝ベルギー中の教会を分析して、天才的なセンスで〟修道院と聖堂を再現したとまで言わしめたセットを作らせました。

    尼僧を演じる女優たちには、英国を代表する舞台女優エディス・エヴァンス(1888-1976)を修道院長に、『インドへの道』でアカデミー助演女優賞を受賞することになるシェイクスピア劇の名手ペギー・アシュクロフト(1907-1991)をコンゴの修道院長に、30代半ばまで本当に教師だったミルドレッド・ダンノック(1901-1991)を、修道院の学校の校長に配し、物語に格式を与えました。

    エディス・エヴァンスは「彼女の背中は自分が座っている椅子の背に決して触れなかった」という原作の一行から修道院長のキャラクターを作ったのだ。

    フレッド・ジンネマン

    映画の中での主人公が生きているからこそ、彼女のファッションは輝きはじめます。それはどれだけ美しい女優が、忠実に再現された尼僧姿で現れようとも、そこに時代の精神がなければ、映像は空回りします。この作品の中のオードリーが、本当に聖女であるかのように感じるのは、まさに50年代という時代のみが生み出しえる最後の〝神聖〟性によってなのです。

    聖堂での儀式のシーンにおいては、本物の尼僧が使えないため、ローマ・オペラのバレエ団から20名のダンサーを借り、列を作り、膝まづき、頭を下げ、ひれ伏す動作を合図に従って一斉に行いました。そして、アップで写る尼僧の顔は、エキストラとして参加した王女や伯爵夫人らの気品ある表情に置き換えられました。

    現在、ハイテク化された世界において、再現不可能なもの。それはこの作品の中に漂う空気です。



    マリー・ルイーズ・アベ

    シスター・ルークのモデルになったマリー・ルイーズ・アベと。

    私はこれまでのどんなテーマよりもこの映画のテーマに惹かれました。・・・この物語に心から感動して困難な決断をしたシスター・ルークに強い連帯感をもちました。

    オードリー・ヘプバーン

    マリー・ルイーズ・アベ(1905-1986)は、本作のシスター・ルークのモデルになった人であり、オードリーは彼女の人柄に惹きつけられました。そして、本作の後に撮影された『許されざる者』(1960)の撮影中に、オードリーが落馬して大怪我をした時に、友人として、その看護技術を駆使して彼女の完治の手助けをしました。

    30年間の介護経験のなかで、オードリーのような患者は見たことがありません。彼女はお腹の子のために、あらゆる鎮静剤を断り、あれほどの苦痛にもかかわらず、ひとことも泣き言を言いませんでした。

    マリー・ルイーズ・アベ




    オードリー自身の一番のお気に入り作品。

    尼僧ルックとは、顔面部以外は全て布地に包まれたスタイルです。

    だからこそ、姿勢の美しさが問われるスタイルです。

    シスター・ルーク・ルック6
    • 修道女服
    • ウィンプル(頭巾)
    • 黒のヴェール
    • ロザリオ

    私はオードリー以上に鍛錬され、優雅で、自分の仕事に献身的な人に会ったことがない。エゴはなく、余計な世話を求めず、一緒に働く人たちに対して思いやりがあった。彼女がコンゴで要求したものは僅か一つだった。それはエアコンでした。

    フレッド・ジンネマン

    当初、ゲーリー・クーパー(『真昼の決闘』1952年、フレッド・ジンネマン監督、ゲーリーがアカデミー主演男優賞受賞)が、原作をフレッドに送ってきたときには、その映画化について、どの映画会社も「どうやって尼僧になるかというドキュメンタリーを誰が見に来るものか」と冷たくあしらっていました。

    しかし、オードリー・ヘプバーンがそれをやりたいと言い出すと、全てが変わりました。フレッドは当初、イングリッド・バーグマンを主役に映画化しようと考えていたが、バーグマンは年齢を理由に辞退したのでした。本作は、オードリー・ヘプバーン自身のお気に入りの作品の一つであり、彼女の映画の中で最高の興行収入をあげた作品でした。



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