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エンジェル (オリヴィエ・クレスプ/イヴ・ド・チリン)

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香水名:エンジェル Angel オード・パルファム
ブランド:ティエリー・ミュグレー
調香師:オリヴィエ・クレスプ、イヴ・ド・チリン
発表年:1992年
対象性別:女性
価格:日本未発売

ティエリー ミュグレー THIERRY MUGLER エンジェル 25ml EDP SP fs 【あす楽】【香水 レディース】

価格:5,400円
(2019/8/2 14:27時点)
感想(17件)

エステル・ルフェビュール。1992年。ニューヨークでミュグレー自身によって撮影されました。

ジェリー・ホール。1995年。ニューメキシコ州の砂漠で、ミュグレー自身によって撮影されました。

エイミー・ウェッソン。1998年。テーマは、生きるクリスタル。

エイミー・ウェッソン。1998年。

エイミー・ウェッソン。1998年。

アンナ・マリア・チェー。2003年。『ブレードランナー』からインスパイアされた。東京と香港の夜景が合成されています。

ビアンカ・バルティ。2006年。エイミー・ウェッソンが着ていたドレスを着用。

ナオミ・ワッツ。2008年。撮影当時、ナオミは妊娠を隠していたので、ドレスのフィッティングにとても苦労したと言われています。

ナオミ・ワッツ。2008年。

ナオミ・ワッツ。2008年。

ナオミ・ワッツ。2008年。

ナオミ・ワッツ。2008年。

ナオミ・ワッツ。2010年。

エヴァ・メンデス。2011年。撮影は、イネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディン

エヴァ・メンデス。2011年。僅か3~4時間で撮影は終了した。

ジョージア・メイ・ジャガー。2014年。






★★★★★ フルーティ・パチョリ

はじめてエンジェルを試したとき、水色のズートスーツを着た派手な大男の店員が、カウンター越しに囲みこんでスプレーしてくれたけれど、思わず飛びのいた。「ジョークのつもり?」長年の経験の中でいちばんひどい香り。なぜってそれまで女の人の香りは花かキャンディのどちらか片方だという、いってみれば無邪気な思い込みがあった。でもエンジェルはつむじ曲がりなことに、その両方の匂いがする。ふつうの花の香水にくらべて、暖炉でいくつものマシュマロと、ゴーストバスターに出てくる巨大で魔力のあるマシュマロマンほども違っている。

その意味ではエンジェルは確かにジョーク。数え切れないほどの香水が部分的にまねをしている(→ユーフォリア、フラワーボム、プラダなど)が、少しストレート過ぎる。エンジェルは、チョコレートやミルクや砂糖に浸したフルーツのお菓子のように、女の子向けのグルメっぽく並べられ、許されてもいるが、それは真っ赤なウソ。エンジェルの喉ぼとけを見てほしい。パイプや革の上靴など男性用のフレグランスの領域からまっすぐ届いたような、立派で樹脂っぽいウッディパチョリが大胆な黒スグリや(化学合成)、けたたましいホワイトフローラルといきなり衝突。これらの男性的な部分と女性的な部分が、カンファー風の匂いを共有し、ベースにある熟れ過ぎた香りを(「腐った」と表現する人もいる)、無機質な冷たい輝きで覆っている。結果として、ふんだんに使われている綿あめの香り(エチルマルトール)も甘くなり過ぎず、エンジェルは矛盾を内包したまま高いエネルギーレベルを保つことになった。美しい香水もたくさんある中で、エキサイティングな香水って、どのくらいあるだろう?まるで映画のヒロインが「なんて厄介な人なの!」などと怒りつつ最後にはその男と結婚してしまうように、私はエンジェルの匂いを嗅ぎに何度も戻り、ついに買うはめになった。

この画期的なアイデアの成功を見て、調香師たちはシプレとの組み合わせをヒントに、そのからくりを隠したまま、いろいろなやり方で新しい効果を生み出そうとした。でも、いくらやってもむずかしい。フルーティシプレ、レザーシプレ、フローラルシプレ、グリーンシプレなどなど。でもエンジェル式に男性的な香りと女性的な香りを混ぜると、何を使ったとしても結局エンジェルのようになってしまう。だったらそっくりさんは放っておいて、奇抜ですばらしいオリジナルを買ったらいかが?でもこれをつけるときは、ジョークの使い方をよく考えて。― タニア・サンチェス

『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房

トップノート:ベルガモット、メロン、ココナッツ、マンダリン・オレンジ、ジャスミン、カシス、綿菓子、パイナップル
ミドルノート:キャラウェイ、ナツメグ、蜂蜜、アプリコット、ブラックベリー、プラム、オーキッド、ピーチ、ジャスミン、スズラン、ローズ、レッドベリー
ラストノート:トンカビーン、バニラ、パチョリ、サンダルウッド、アンバー、ムスク、チョコレート、キャラメル

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史上初のグルマンノート

まさにそれはハレー彗星のように現れたフレグランスでした。

歴史上最も重要な香りのひとつでありながら、日本中のどこにも販売されていない香り、それが史上初のグルマンノートであるティエリー・ミュグレーの「エンジェル」です。この作品以後、香りに対する評価の基準として、「おいしそう」という表現が加わることになりました。

1992年に発売されたこのオリエンタル・バニラの香りは、オリヴィエ・クレスプイヴ・ド・チリンにより調香されました。発売当初その斬新な香りにより、多くの代理店が取り扱いを渋り、すぐにはヒットしなかったのですが、じわじわと愛好家が広がり、21世紀に入り、世界で3本の指に入るベストセラー・フレグランスの地位に登りつめたのでした。

「エンジェル」誕生の裏側

はじまりは、クラランス・グループが、ティエリー・ミュグレーと共に彼のフレグランス・ラインを創造するために、数々のブランドでフレグランスをプロデュースしてきた女傑ヴェラ・ストルビ(1943-)に、ミュグレーのファースト・フレグランスの創造を依頼したことから始まりました。

当初、ミュグレー自身は、別のサンプルと四角いデザインの香水ボトルを持参した上で、自分自身の名前をフレグランス名に冠して、これを発売してくれと彼女に進言しました。しかし、ヴェラは、「あなたの名は発音しにくい。そして、香りは、もっと独創的であるべきだ」と拒否したのでした。

1989年の出来事でした。そして、彼女はオリヴィエ・クレスプという調香師を選び、彼にミュグレーに会い、そこから得た話から香りを創造してくださいという提案をしたのでした。ミュグレーが愛している遊園地で遊んだ幼き日の思い出と、祖母がいつも作ってくれたホットチョコレートにレーズンケーキを浸して食べていたという思い出を元に、この香りのコンセプトは形作られていったのでした。

ミュグレーの幼き日の思い出を体現する=「誰もが幼年期の思い出」を蘇させる香りを作るために、620回もの試作を経て史上初のグルマンノートは生み出されたのでした。グルマンノートとは、バニラ、チョコレート、キャラメルといったフランス菓子のような香りがするフレグランスを指します。

マンダリン・オレンジやメロンに、綿菓子のマシュマロのような甘さ(エチルマルトール)とクマリンが絡み合うトップノートから、唐突にパチョリが現れ、まるでそれが号令であるかのように、ラストのグルマンの大行進へと突き進んでいくのです。

まさにこの香りが象徴的なのは、甘い香りのオンパレードの中に、30%という高い濃度のパチョリがブレンドされている点にあります。しかし、恐るべき事実として、この香りほど、ジャスミンとバラの存在感を感じることが出来ない香りはありません。しかし、ジャスミンとバラは、このグルマンの創造の偉大なる影の立役者なのです。それはパチョリの影響により、男らしい香りだと感じたヴェラの提案により、何回もの失敗を重ね追加されたフローラル・レシピでした。

この香りによって、、史上初めてキャラメルを焦がしたような甘い香りのもととなる有機化合物エチルマルトールが使用されたのでした。

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「エンジェル」は、日本にはいない。

香りが完成し、ヴェラ・ストルビは、空をイメージさせるネーミングをつけようと考えていました。そして、見つかった言葉が「ガーディアン・エンジェル」=「エンジェル」だったのです。

ティエリー・ミュグレーは、かつてデザイナーとして有名になる前に手相占い師に会い、その時、全てのデザインに一番星を絡めたならあなたは大成するだろうと予言されました。そんなミュグレー自身によりデザインされたボトル・デザインは、一番星をモチーフにしたものでした。この複雑な形をボトルにすることが出来る会社を見つけるために1年半の月日が費やされ、ブロス・グラスワークスによって、流れ星のようなブルーダイアモンド・スターのボトルデザインが完成したのでした。

ちなみに、エンジェルは、世界で初めてリフィルの概念を生み出したフレグランスでした。それはヴェラが、キャロンの量り売りのアイデアからインスパイアされた試みでした。今では、環境に優しいこの概念が、フレグランスの世界で主流になりつつあります。

さてこの香りが、日本で発売されていない理由について語りましょう。その理由はただひとつです。それは、エンジェルが、「愛と憎しみの香り」だからです。ある人が、どれだけこの香りを愛そうとも、多くの人が、この香りを憎悪する可能性があると知っている香りを、日本人は使用することが出来るのでしょうか?

歴代の「エンジェル」たち。

エイミー・ウェッソンのアイスドレス。

エンジェルのミューズの歴史も実に興味深いです。

初代エンジェル(1992~)は、エステル・ルフェビュールでした。そして、二代目エンジェル(1995~)が、ジェリー・ホール、三代目エンジェル(1998~)が、エイミー・ウェッソン、四代目エンジェル(2008~)が、ナオミ・ワッツ、五代目エンジェル(2011~)が、エヴァ・メンデス、そして、現在六代目エンジェルが、ジェリー・ホールとミック・ジャガーの娘ジョージア・メイ・ジャガーとなります。

ちなみに海外におけるこの香りの人気の高さは、スカーレット・ヨハンソンが10歳からこの香りを愛用していると発言したことをはじめ、ビヨンセ、ニコール・キッドマン、ケイティ・ペリー、ヒラリー・クリントン、ダイアナ・ロス、ミラ・ジョヴォヴィッチといった面々が愛好していることからも伺えます。

つまりは、他人の意見には左右されずに、自分の生き方を貫ける女性にのみ身に纏うことが許される〝カースト・フレグランス〟なのです。

この香りに影響を受けた香りとしてロリータ・レンピカの「ロリータ レンピカ」(1997)、ディオールの「ヒプノティック プワゾン」(1998)、シャネルの「ココ・マドモアゼル」(2001)、カルバン・クラインの「ユーフォリア」(2005)、ディオールの「ミス・ディオール・シェリー」(2005)、トム・フォードの「ブラックオーキッド」(2006)、ニナ・リッチの「ニナ」(2006)、キリアンの「ラブ」(2007)の名が挙げられます。

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