オリエンタル パフューム
Oriental Perfumes 2016年9月に、ルイ・ヴィトンが、70年ぶりのフレグランスであるレ パルファン ルイ ヴィトン(一挙、7種類の香り)を、ルイ・ヴィトンの専属調香師に就任したジャック・キャヴァリエの調香により発表しました。
そして、2018年5月31日に、ブランド初のメンズ・フレグランスを5種類同時に発表しました。その少し前の同年5月4日からドバイ限定で一本の香りが発売されていました。中東向けに作られたウードの香り「オンブレ ノマド」です。同年8月より世界中で販売されることとなり、「オリエンタル パフューム」として、シリーズ化されることになります。
ところでこのウード・コレクション、機を見るに敏なルイ・ヴィトンが、世界的なウード・ブームに便乗したのではという見方をされがちなのですが、それは見当違いです。ジャック・キャヴァリエこそが、このブームの立役者の一人であり、つまりは彼の10数年のウード・フレグランス研究の集大成として生み出されたのが、このコレクションなのです。
それはまさに、ラグジュアリー・ブランドだからこそ実現できる、一切の制約なしに生み出された『究極のウードの旅』へと誘いなのです(ウード好きが避けては通れぬコレクションと言い切って良いでしょう)。
私はルイ・ヴィトンで、中東の人々が賛同しないウードの香りを作るつもりはありません。つまり西洋のブランドから見たウードではなく、本当に中東から来たウードの香りを作りたいと思いました。
ジャック・キャヴァリエ
ウード・フレグランスの第一人者=ジャック・キャヴァリエ
ルイ・ヴィトンの香水の種類はかなり多いのですが、それはお客様に選択肢を提供したいと思っているからです。フローラル系の香りが苦手なお客様もいらっしゃいますし、オリエンタル系が苦手なお客様もいらっしゃいますので、フレッシュなノートを用意することもできます。
日常生活において、感情を生み出すことはとても難しいことですが、私はそれが大好きです。私が作った香水を嗅いだ人が、笑顔で目を輝かせるのを見るのは、私の喜びです。
ジャック・キャヴァリエ
西欧にウード・フレウグランスをもたらした功労者として必ず挙がる名前はこの3人です。トム・フォードとジャック・キャヴァリエとアルベルト・モリヤス。
二人の調香師は、トム・フォード時代のイヴ・サンローランにおいて、2002年に西欧社会におけるはじめてのウード・フレグランスである「M7」を生み出しました。そして、人々にはまったく受け入れられませんでした。
時代を先駆け、失敗できる人こそが真の天才なのかもしれません。つまりは、ルイ・ヴィトンのウードの香りは、ウードブームに便乗して生み出された香りなのではなく、ウードブームを生み出した第一人者が生み出す〝新しいウードの旅〟であり〝ウードとあなたのものがたり〟なのです。
ルイ・ヴィトンの『究極のウードの旅』
ルイ・ヴィトンから本格的なウードの香りを生み出す前に、ジャック・キャヴァリエは二つの旅を行いました。
最初の旅は、ルイ・ヴィトンのウードを探す旅でした。そして、3年かけて探し出したのが、インド北部アッサムが原産地のウード、ウード・アッサムでした。その中でも最高級のものを自分自身の足でさらに数ヶ月かけて探し求め、ついにバングラデシュにある、理想のウード・アッサム農園を探し出したのでした。
かくしてこの家族経営の農園で、何百年もかけて栽培されたアガーウッドを、ルイ・ヴィトンが独占的に伐採することになりました。
そして、二つ目の旅がはじまるのでした。それはルイ・ヴィトンというラグジュアリー・ブランドとウードの親和性を確かめる旅です。そのためにまず最初に生み出されたのが2016年9月に発売された「マティエール ノワール」でした。さらに2018年8月に発売されたメンズ・コレクションのうちのひとつである「ヌーボー モンド」により、『ルイ・ヴィトンの究極のウードの旅』はスタート地点に立つことになりました。
そしてまず中東で発売されたのが、「オンブレ ノマド」でした。2024年1月現在まで、日本未上陸の「ピュールウード」(100ml/約33万円)を含め5つの香りが発表されています。