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【ルイ ヴィトン】フルール ドュ デゼール(ジャック・キャヴァリエ)

ルイ・ヴィトン
©LOUIS VUITTON
ルイ・ヴィトン
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フルール ドュ デゼール(フルール デュ デゼール)

原名:Fleur du Désert
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/53,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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パンデミックが生み出した〝心の砂漠〟に咲かせる花

©LOUIS VUITTON

〝砂漠の花〟という名前に込められた想いをお伝えさせてください。それは、とても乾燥した世界に、生命や新鮮さをもたらすことを意味する〝砂漠の花束〟を見つけたいという思いから生まれた香りです。つまりは、COVID-19が生み出した〝心の砂漠〟に咲かせる花という意味でもあるのです。

ジャック・キャヴァリエ(以下、すべての引用は彼のお言葉です)

2016年9月に、ルイ・ヴィトンが、70年ぶりのフレグランスであるレ パルファン ルイ ヴィトン(一挙、7種類の香り)を、ルイ・ヴィトンの専属調香師に就任したジャック・キャヴァリエの調香により発表しました。

そして、2018年5月31日に、ブランド初のメンズ・フレグランスを5種類同時に発表しました。

そのすぐ後の、同年8月3日より、松屋銀座&表参道店限定で発売されたのが「幻のルイ・ヴィトン」と呼ばれる中東向けに作られた「オンブレ ノマド」でした(ちなみに5月4日から7月末までドバイでのみ販売されていた)。このコレクションは、後に『オリエンタル・パフューム』と呼ばれ、シリーズ化されることになりました。

このシリーズ第五弾として2022年6月30日に発売される新作が「フルール ドュ デゼール(フルール デュ デゼール)」です。〝砂漠の花〟という名のこの香りの主役は、ウードの砂漠に咲く二酸化炭素抽出されたローズとジャスミン、そして、オレンジブロッサムです。

今日、フレグランス・ラインを持つ多くのラグジュアリー・ブランドが犯している最大の過ちは、香水を商品であるかのように製造していることです。香水は商品ではなく、感情です。服を脱いだときに香水だけが残り、あなたのパーソナリティの秘密の部分が現れるのです。そして、部屋を出るときにも、香水はあなたの痕跡を残すのです。

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〝旅に対する純粋な憧れ〟を呼び覚ます香り

©LOUIS VUITTON

〝砂漠の花〟を生み出すために最も重要視したのは、花々とアラブを連想させる香りのバランスについてです。フレンチ・パフュームすぎても良くないが、アラブすぎても消費者を限定してしまうのでよくありません。

実際、中東の人たちが重厚な香りやウードを使った香りだけを好むと考えるのは間違っています。

ジャック・キャヴァリエ

パンデミックの期間中に生み出されたこの香りは、ジャック・キャヴァリエにとってはじめての経験とも言える環境の下で生み出された香りだと回想しておられます。

「何よりも、私の調香師の仲間でCOVID-19にかかった人がいるのですが、彼らは何週間も嗅覚の感覚がなくなり、さらに香りの感じ方も変わってしまったと言っていたので、私は、すべての作業をグラースの自宅のラボで行うことにしました。」

2017年から正式にキャヴァリエのアシスタントを務めている娘のカミーユたちの協力の下、一日20分程度の外出しかしない生活を送る中、この香りは生み出されたのでした。

〝砂漠の花〟とは、実際にサウジアラビアの砂漠を訪れた思い出をもとに生み出した香りでありながら、一方で、誰もが、旅を拒まれていた時期に生み出された〝旅に対する純粋な憧れ〟を〝砂漠の花〟に託した香りなのです。

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〝砂漠の中にいて、手を伸ばせば空に届くような感覚〟

©LOUIS VUITTON

©LOUIS VUITTON

私は、天然のウードを少量ではなく、贅沢に使用しながら、花々とブレンドし、お互いがお互いを尊重し合うバランスをどうすれば生み出せるかをずっと夢見て考えていました。そして、ウードと花々を結びつける香料としてアンバーを選択したのでした。

〝砂漠の花〟において私が作りたかった感覚、それは〝砂漠の中にいて、手を伸ばせば空に届くような感覚〟でした。〝ついさっき、この世界が生まれたという、あの感覚です〟。

そこで、ジャスミン、ローズ、オレンジフラワーなどの花々を加えることにしました。すべてが砂漠が原産地の花です。祖母がオレンジフラワーの水で料理を作っていたので、その時のことを思い出すのです。だから、この香水には自分自身の気持ちが込められているんです。

官能的でありながら、ミステリアスで、でも重すぎず、暗すぎないものを作りたかったのです。私にとってこの香りは、通常のウードの香りよりも、より完成度が高く、より多面的な香りなのです。

ジャック・キャヴァリエ

サウジアラビアの砂漠の真ん中にある青々と植物が茂るオアシス(紅海に臨む都市ジッダ近郊)で感じたジャック・キャヴァリエの思い出から生み出されたこの香りは、オアシスに到達した情景からはじまります。

温かな風に吹かれながら、ジャスミン、ローズ、オレンジフラワーがふんわりと、びっくりするほど柔らかく肌に到来します。すぐに、ウードが花々の蜜に輝きを与えるように、身に纏う人それぞれの〝ものがたり〟を紡ぎだしてゆくのです。

香水とは、〝ものがたり〟そのものなんです。それは愛情表現とも言えます。私は、魔法の薬のようにボトルの中に感情を込めるのが好きなんです。

本当に素晴らしい香りとは、その人の肌に千夜一夜物語=毎日違ったものがたりを囁いてくれるものなのかもしれません。つまりウードが支配する重い空気ではなく、だからと言って軽くもなく、〝一瞬で世界を変えてくれる私だけの〝ものがたり〟を生み出してくれる香り〟なのです。

ちなみにこの香りで使用されているウード・アッサムは、インド北部アッサムが原産のウードです。その中でも最高級のものをジャック・キャヴァリエ自身が数ヶ月かけて探し、ついにバングラデシュにあるウード・アッサム農園を探し出したのでした。この家族経営の農園で、何百年もかけて栽培されたアガーウッドが使用されています。

ルイ・ヴィトンだけが使うことのできる二酸化炭素抽出法で抽出されたグラース産のメイローズとジャスミンに、溶剤抽出法で抽出されたオレンジ・ブロッサムがブレンドされているだけでなく、ジャスミン・サンバック・アブソリュートとブルガリアン・ローズ・エッセンスが〝砂漠の花〟に多面性を与えています。

パンデミックにより人々の心の中に生み出された砂漠。そこに生み出されるオアシスになるような香りを作りたいという調香師の想いそのままに、自然にあるがままの心地よさに身も心も委ねたくなります。

やがて、砂漠の花に、ハニーの雨が優しく降り注ぎます。太陽をそのまま残したまま、煌くようなシャワーを浴びて、花々はより活き活きと輝いてゆくのです。そこに加わるシナモンがウードの頬を優しく愛撫するように、香り全体を円やかにかき混ぜてゆきます。

そして、官能的なアンブロックスと二酸化炭素で抽出された植物性ムスクであるアンブレットシードが、乾いた心が、花々の水で満たされように〝ふたたび、新たなる旅の予感〟を与えてくれるのです。

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ウード・フレグランスの第一人者=ジャック・キャヴァリエ

©LOUIS VUITTON

西欧にウード・フレウグランスをもたらした功労者として必ず挙がる名前はこの3人です。トム・フォードとジャック・キャヴァリエとアルベルト・モリヤス

二人の調香師は、トム・フォード時代のイヴ・サンローランにおいて、2002年に西欧社会におけるはじめてのウード・フレグランスである「M7」を生み出しました。そして、人々にはまったく受け入れられませんでした。

時代を先駆け、失敗できる人こそが真の天才なのかもしれません。つまりは、ルイ・ヴィトンのウードの香りは、ウードブームに便乗して生み出された香りなのではなく、ウードブームを生み出した第一人者が生み出す〝新しいウードの旅〟であり〝ウードとあなたのものがたり〟なのです。

ラグジュアリーとマスの境界線とは、とてもシンプルで、マクドナルドとミシュランの三ツ星レストランを比較するようなものです。マクドナルドは最高の食材を使っていても、しっかりジャンクフード/ファーストフードであり続けるのです。

誤解を恐れずに言えば、私もマクドナルドには時々行きますが、この2つを比較してはいけないということです。

そして、ラグジュアリーの世界観の体現こそが、私がルイ・ヴィトンでやりたいことであり、それを実現するための自由があるのです。マーケティングやビジネスのプレッシャーもなく、ディレクター兼エグゼクティブ・バイスプレジデントであるデルフィーヌ・アルノーやルイ・ヴィトンのCEOであるマイケル・バークと直接仕事をすることができ、好きなものを自由に作ることができるのです。

マイケルは天才で、私を全面的にサポートしてくれ、信じてくれているので、自分がやっていることにとても責任を感じています。香水の原点にオマージュを捧げるコレクションを作ることは、私にとってずっとやりたかったことなのです。最高の素材を使い、それ以上の感動を生み出すことは、本当に素晴らしいことで、これこそがルイ・ヴィトンのビジョンなのです。

ルイ・ヴィトンの香水の種類はかなり多いのですが、それはお客様に選択肢を提供したいと思っているからです。フローラル系の香りが苦手なお客様もいらっしゃいますし、オリエンタル系が苦手なお客様もいらっしゃいますので、フレッシュなノートを用意することもできます。

日常生活において、感情を生み出すことはとても難しいことですが、私はそれが大好きです。私が作った香水を嗅いだ人が、笑顔で目を輝かせるのを見るのは、私の喜びです。

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ミッション・インポッシブルする香り

©2011 PARAMOUNT PICTURES.

あくまでカイエデモードがこの香りを嗅いで感じた強烈な印象は、〝世界でもっとも天国にちかい建造物〟と呼ばれるドバイのブルジュ・ハリファ(828m)でアクションを繰り広げる『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)のドバイのシーンの世界観を感じさせます。

つまりはドレスアップした殺し屋を演じるレア・セドゥの存在感も含むゴージャスな大人がミッション・インポッシブルする香りというイメージです。これほどスケールの大きさを感じさせるウードの香りとはなかなか出会えない気がします。

アフター・コロナに向かって、いよいよ冒険に乗り出す〝不可能を可能にする〟香りだと思います。

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香水データ

香水名:フルール ドュ デゼール(フルール デュ デゼール)
原名:Fleur du Désert
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2022年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/53,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


シングルノート:グラース産ジャスミン、グラース産メイローズ、ジャスミン・サンバック・アブソリュート、ブルガリアン・ローズ・エッセンス、オレンジブロッサム・アブソリュート、ウード・アブソリュート、アンブレットシード

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