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【ルイ ヴィトン】レ パルファン ルイ ヴィトンの全て

ジャック・キャヴァリエ
ジャック・キャヴァリエ ブランド ルイ・ヴィトン 調香師 香りの美学
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レ パルファン ルイ ヴィトン

Les Parfums Louis Vuitton 2016年に、70年ぶりにフレグランスを発売したルイ ヴィトンの7種類の香りは、お世辞抜きにどの香りも素晴らしいものでした。すべての香りに、(二酸化炭素抽出法をはじめとする)最上級の天然香料が使用されているこれらの香りを調香したのは、2012年にルイ・ヴィトンの専属調香師に就任したジャック・キャヴァリエでした。

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究極のフレグランスを目指す香り

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キャンペーン・モデルは『007 スペクター』のボンドガール・レア・セドゥ。

Behind the Scenes with Léa Seydoux and Louis Vuitton

4年の製作期間は、この業界においてはごく普通の期間です。もっと短期間で開発する人もいますが、そのクリエーションも短期間で忘れ去られてしまうことが多いです。フレグランスとは時間をかけて熟成させていくものでなければならず、テストを繰り返しながら完成させる必要があります。今日においてラグジュアリーの持つ意味とは、物事を作り出す時間を取ることなのです。

ジャック・キャヴァリエ

2016年最大のフレグランス業界の話題といえば、ルイ・ヴィトンが70年ぶりに香水を販売したことでした。

このためにルイ・ヴィトンは、2012年にふたつのことを決定していました。一つ目は、専属調香師。二つ目は、専用の畑と研究所を作ることでした。

すべては、2011年4月にルイ・ヴィトンに新設されたパルファン部門の責任者にローレンス・セミチョンがパルファム・ジバンシイ(2000-2011)から移籍したときからはじまっていました(2019年9月にディプティックの副社長に就任)。

そして、2012年1月2日に、ジャック・キャヴァリエがルイ・ヴィトンの専属調香師に就任したのでした。彼は早速、新たなる香料を求める五大陸の旅に出かけたのでした(当初は2014年に発売する予定でプロジェクトは始動されました。しかし、キャヴァリエが中国旅行で受けた強烈なインスピレーションを反映させるために、スケジュールは変更されました。ちなみにこの中国旅行により、中国産のマグノリア、キンモクセイ、ジャスミン・サンバックの使用が決定したのでした)。

さらにルイ・ヴィトンは、南仏のグラースに、クリスチャン・ディオールと共同のアトリエ『レ フォンテーヌ パルフュメ』を創設しました。これは、1640年に建築され、1960年に閉鎖されていたアトリエを、最新のテクノロジーを導入して復活させたものでした(2013年に買収され、350種類もの希少な香料のもとになる木、花、ハーブが揃えられました)。

こうした準備期間を経て、2016年9月1日(日本は15日)、わずか一日の間に、一挙に7種類もの香水「レ パルファン ルイ ヴィトン」が、発売開始されたのでした。それは、香水のプレタポルテ・コレクションという史上初の試みでした。

ルイ・ヴィトンの香水は、正確には1980年に限定香水が販売されているので、36年ぶりなのですが、新作の発表ということにおいては、70年ぶりになります。

そして、販売にあたり、パリ、ロンドン、ソウル、ドバイ、東京が、最重要販売拠点に定められました。「真の女性らしさを身にまとう、見えないファッション」として、「レ パルファン ルイ ヴィトン」は、日本においては、当初、ルイ・ヴィトンの松屋銀座店と阪急梅田店の2Fの2店舗のみでの販売となりました(2019年11月現在においては販売店舗は拡大しています)。

90の試作品の中から選ばれし7つの香り

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はじまりは2012年のプレス発表からでした。それはルイ・ヴィトンがフレグランス事業をスタートするという発表でした。そして、ルイ・ヴィトンの専属調香師として迎えられたのは、22年間、フィルメニッヒ社を代表する調香師として活躍していたジャック・キャヴァリエでした。全ての香水は、香水産業が盛んなコートダジュールのグラース(フランスの香水・香料の2/3がここで作られている)で製造されることになりました。

それから2016年まで沈黙の季節が始まります。もはや、夢幻の如くかと人々が感じ始めていました。そんな中、ルイ・ヴィトンの販売員に9月の香水販売が内示されたのは2016年6月(一般発表が販売直前の8月)のことでした。一方、調香師のキャヴァリエは、90近くの試作品を完成していました。今回の香水のテーマは「旅」「レザー」「女性らしさ」。そこから、10以上の完成品を生み出し、更に厳選されたものが、今回発表されたコレクションの7つの香りです。

7種類の香水の販売を決めたのは私です。それは7が私のラッキーナンバーだからです。そして、すべて、花々を賛美する香りとなっています。

ジャック・キャヴァリエ

天然原料からの香料の抽出は、通常、水蒸気蒸留法、溶剤抽出法により抽出されてきました。しかし、これらの方法により抽出された香料は、熱により香りが変化したり、抽出物より溶剤を除去する過程で、一部の香気成分が失われるといった問題点がありました。

そのためキャヴァリエは、フィルメニッヒ在籍当時より、自然な状態にかなり近い形で植物の精油を抽出できる低温での超臨界流体抽出を実現する二酸化炭素抽出法を使用していました。この方法を使うと素晴らしい香料が生産できます(ただし、膨大な生産コストを食う方法)。

今まで乾燥材料(ホップ、スパイス、フルーツ果皮)にのみ実用化されていた二酸化炭素抽出法を、ルイ・ヴィトンは、新たに新鮮な花からも香料を抽出できるように開発し、グラース産のジャスミンとメイローズに使用したのでした(通常よりも更なる低温である25度を実現!)。こうして、史上はじめて、グラースで収穫したばかりの花々に対して、その日のうちに二酸化炭素抽出法が使われるようになったのでした。

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日本においては、東西二店舗のみの展開

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非常に面白い実情が見えてきました。日本において、ルイ・ヴィトンは現在56店舗あります。その中で、この香水を販売することになった二店舗の選択に対して、最も販売力のある店舗である松屋銀座店が選ばれたのは当然なのですが、大阪がなぜ阪急梅田店になったのかが、不思議でした。なぜ大阪の旗艦店とも言える、心斎橋店、もしくは梅田ヒルトンプラザ店にしなかったのか?

ここに、ルイ・ヴィトンの西日本における戦略の迷いが明確に見えてきます。阪急梅田店は2階と5階に分かれており、この2階のルイ・ヴィトンが実に分かりにくい場所に位置します。そして、もちろん初日の売り上げも記録的売り上げを上げた松屋銀座店に対して、阪急梅田店は半分にも及びませんでいた。これは、商品の問題ではなく、マーケティング戦略のミスだと言えるでしょう。

大阪ならば、心斎橋店でするべきでした。ここには阪急梅田店よりもゆっくりと腰を落ち着けて香水を楽しめる空間があり、関西人の気風に合う、大きな店舗でラグジュアリーな商品をゆっくり見たいという願望に叶う店舗でした。もちろんお得意様にお声がけをして、松屋銀座店と同じ人員で対処すれば、間違いなく同じ位の売り上げを上げたことでしょう。いずれにしても、ルイ・ヴィトンの好きな若い女性層は、梅田阪急よりも、心斎橋大丸に行く傾向があります。

恐らく、人材と、売り上げ状況における問題で、阪急梅田店での販売になったのかもしれませんが、ごく一部のスペシャリストを除き、香水を販売するという本質が、理解できていない販売員が今のルイ・ヴィトンの販売員の大多数を占めている事実を改善することが、今後の課題だと言えるでしょう。

香水とは、レザーのバッグを売るよりも、どちらかというとプレタポルテ・ファッションを売る感覚に近いものなのです。だからこそ、知識量と見識眼を持たぬものには、買う予定のお客様にしか販売できないのです。

<追記>2019年11月現在、ルイ・ヴィトン・フレグランスを販売するブティックは拡大する一方ですが、それを紹介する販売員の知識レベルの低下は歯止めが利かない状況になっています。フレグランス・スペシャリストの肩書を持つ販売員様からの接客を受けることをオススメいたします。俄仕立ての知識で販売するには、ルイ・ヴィトンのフレグランスはあまりにも高度なフレグランスIQを要求するものだからです。

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想像以上に素晴らしいヴィトンの香り

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私が危惧していたジャック・キャヴァリエの調香。それは、スーパーラグジュアリー向けの価格帯の香水をほとんど作った事のない事実でした。しかし、そんな危惧をする必要はありませんでした。7種類それぞれが驚異的なまでにステキな香りなのです。

購入にあたっての目安は単純明快なもので、レギュラー香水を変えたいと考えている、もしくは、一種類のレギュラー香水のみを持ちたい人は、一種類買いでいいでしょう。一方、何種類もレギュラーを持っている人は、100mlも使い切れないので、7種類コンプリートバージョンの購入を強くお勧めします(恐らく売り切れている可能性があるでしょうが)。そして、まだ香水と呼ぶに値するものをお持ちではない方にも、私は、このコンプリートバージョンこそが、香水のなんたるかを知るスタートセットになると思います。

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ミニチュア セット 7x10mL 41,800円。

私は、ルイ・ヴィトンのフレグランスに関しては、ネットで購入することをおすすめしません。是非フレグランス・スペシャリストに予約を入れて接客してもらいましょう。香水には、物語が必要です。でもその物語には、本物の香料が必要です。そして、そういったモノの価値を説明できるストーリーテーラーの存在もまたとても重要なのです。そういったルイ・ヴィトンのブティックでのフレグランスの説明も含めて、真のラグジュアリー・フレグランスに接する喜びを体感しましょう。

最後にもう一点、本コレクションのボトルデザインは、オーストラリア人プロダクトデザイナーのマーク・ニューソンが手掛けました。ミニマルの極致のようなデザインです。

そして、保管用のパッケージのデザインは、1928年に発売された香水「ジュ・チュ・イル」からインスパイアされたホワイトとゴールドの円筒型ものです。広告ビジュアルキャンペーンにはフランス人女優のレア・セドゥが起用され、ファッション・フォトグラファーのパトリック・デマルシェリエによって、南アフリカのサビータウンにあるローンクリークの滝で撮影されました。

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アジアの顔は、女帝ファン・ビンビン。





2016年7月13日に上海にて、アジア・マーケット向けのローンチパーティが、女優ファン・ビンビンを招待し、専属調香師のジャック・キャヴァリエを交え行われました。

ここにルイ・ヴィトンの狡猾さを感じ取ることが出来ます。マーケティングというものがただのイベントではないと知るものたちのプロフェッショナルの仕事っぷりです。

たとえば、これが日本だと、GINZA SIXのイベントに、女優としての実績がほとんどない、ただ今だけ話題性のある20代の女優の卵(女優とは10年以上キャリアを積んでからはじめて名乗れるものでは)を招聘し、実際の客層にほとんど影響を与えない、ただの薄っぺらなイベントで終わらせてしまうのです(最近の百貨店や商業ビルにはこういった無駄なイベントが溢れ返っています。一見賑やかに見えて、お金を生まないマーケティング戦略なぞ、ただの浪費に過ぎないのです。)。

このファン・ビンビンの写真を見ると、ルイ・ヴィトンの顧客層のみならず、ルイ・ヴィトンに憧れる潜在的顧客を開拓していく説得力に満ち溢れていることが良くわかります。キャヴァリエの前で肩肘をついてエラソ~に香りを試香する姿が様になる人なぞ、この世の中にどれだけ存在するのでしょうか?そして、手から伝わる年相応の加齢があるからこそ、キャヴァリエの原料の説明を理解しているんだなと感じ取ることが出来るのです。

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