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キリアン

【キリアン】ムスク ウード(アルベルト・モリヤス)

キリアン
©KILIAN PARIS
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ムスク ウード

【特別監修】Le Chercheur de Parfum様

原名:Musk Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売

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西洋初のウード・フレグランスを生み出した男

©KILIAN PARIS

キリアンからオリエンタル・ゴールドと呼ばれるウード(沈香)とゴールドをテーマに発表された「千夜一夜物語(アラビアン ナイト)」コレクションの第五弾(最終章)として、2013年に発売されたのが「ムスク ウード」です。アルベルト・モリヤスにより調香されました(ただし、この後もキリアンは沢山のウード・フレグランスを生み出している)。

前四作品は、カリス・ベッカーシドニー・ランセスールによるものでしたが、最終章においてついに皇帝の登場と相成りました。この人こそ、ジャック・キャヴァリエと西洋におけるはじめてのウード・フレグランス「M7」を2002年に生み出した人でした(フィルメニッヒ社のムスクのすごさを活用するために同社の調香師が起用された)。

つまりは「グッド ガール ゴーン バッド」で、キリアン・ヘネシーのメンターであったキャヴァリエを調香師として迎え、共に作り上げていったように、このウードの香りも彼と共同作業していた可能性が高いです。

そして、2012年1月2日にキャヴァリエがルイ・ヴィトンの専属調香師として雇われたため、アルベルト・モリヤスが後任調香師として全てを引継いだのかもしれません。

〝官能的な女性らしさを持った動物的なウード〟の香りを生み出したいというキリアン・ヘネシーの願いが、アニマリックなムスクの充満した空気の中に、ブルガリアン・ローズの花びらを舞い散らせ、ウードを通して伝染していくのです。

日本の香水市場に流通するウード香水のうち9割以上が本物のウードを使用していません(パチョリと他のウッドを組み合わせれば近い香りができる)。そのため、本物のウードの香りを知る人はほとんどいません。香水市場において、明確にウードを〇〇%入れていますと公開しているのはフレデリック・マルのウードくらいです。
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アニマリックなムスキーローズとウード

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そんな「ムスク ウード」の香りは、フレッシュなレモンとオレンジを、スパイシーなカルダモンが引き立てていくような滑らかな甘酸っぱさからはじまります。

すぐに二酸化炭素抽出法により抽出されたラム酒エキスに酔いしれる甘くジャミーなブルガリアン・ローズが、芳醇な香りを放ち始めます。そこにダバナが混ざり合い、よりワインのようなリキュール感に包まれてゆきます。

やがて、遠くからアニマリックなムスキーウードが漂ってきます。この香りにはシベット、ムセノン、ムスコンが大量にブレンドされています。

だんだんとパチョリの静謐さを湛えたサイプレスの涼しげな香りが、インセンスと煙草のスモーキーさに運ばれて加わります。そして、仄かなレモンの芳香を漂わせながら、スモーキーローズとムスキーウードは渾然一体となり肌の上に柔らかな官能性を与えてくれるのです。

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香水データ

香水名:ムスク ウード
原名:Musk Oud
種類:オード・パルファム
ブランド:キリアン
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2013年
対象性別:ユニセックス
価格:日本未発売


トップノート:レモン、カルダモン、コリアンダー
ミドルノート:ブルガリアン・ローズ、ゼラニウム、サイプレス、ダバナ
ラストノート:アガーウッド(ウード)、ムスク、ラム、インセンス、インドネシア産パチョリ