ジェームズ・ボンド

ショーン・コネリー7 『007は二度死ぬ』1(2ページ)

    作品名:007は二度死ぬ You Only Live Twice(1967)
    監督:ルイス・ギルバート
    衣装:アイリーン・サリバン
    出演者:ショーン・コネリー/若林映子/浜美枝/丹波哲郎/カリン・ドール/ドナルド・プレザンス



    60年代のイギリス人が見た「日本」の魅力とは?

    007映画史上最高の主題歌の一つ。フランク・シナトラの娘ナンシー・シナトラ(1940-)の哀愁溢れるヴォイスと、オリエンタルなメロディライン、そして、モーリス・ビンダー様による〝アメリカ人から日本をイメージした〟タイトル・デザインが素晴らしい。この日本人から見たら全く異質な〝ニッポン〟を体現するタイトル・ムービーが、時を経て、世紀を超え、不思議な情緒に溢れる存在感(味)を生み出しています。

    この空気感はまさに60年代そのものであり、そこに日本人が一人も出演していない着物姿の女性のシルエットが重なることにより、スインギング・ニッポン(別名スインギング・ゲイシャ)と呼ぶべき不思議なクールを生み出すに至っているのです。かつて日本をでたらめに描いた国辱的映画とまで言われた本作が、今では、日本人自身が、これから兼ね備えるべき日本のクールさを学ぶ教材へと昇格しているのです。

    初代ジェームズ・ボンド=ショーン・コネリーの五作品目にして、卒業試験。勿論その後にすぐに復帰します。

    カレン・ドールと浜美枝のブロフェルド・ガールではなく、ボンド・ガール二人と、ブロフェルドを演じたドナルド・プレザンス(この素晴らしい表情)。

    1967年公開当時。映画館がイラストに包まれた華やかだった時代。

    2017年現在、007シリーズにおいて唯一本格的に日本オールロケを敢行したのが、本作です。この作品には、イギリス人から見た60年代のニッポンが濃縮されています。

    1966年7月30日(ビートルズ来日の翌日)から6週間かけて行われた日本でのロケ撮影。この作品を最後に、ショーン・コネリーは一度ボンド役を退くことになります。『最後のブルース・リー』ならぬ『最後のジェームズ・ボンド』か?と当時心配された本作は、全てにおいてバランスの取れた作品として、ボンド・ムービーの中でも圧倒的な人気を誇ります。

    監督のルイス・ギルバートは後に『私を愛したスパイ』(1977)『ムーンレイカー』(1979)という海中基地や宇宙基地というスケールの大きな悪党をボンドムービーの中で描くことにより、テレンス・ヤングのリアル・ボンド像とは正反対な破天荒なボンド像を生み出しました。リアルなアクションのボンドムービーに退屈したときに見る〝スインギング・ジェームズ〟が楽しめるボンドムービーの代表作3作品としてこれらの作品はあげられます。

    日本の九州の火山口に秘密基地があり、英国人が日本人に変装するという無茶苦茶なストーリーであるにも関わらず、21世紀においては、その当時を知る人々も少なくなり、「古き良き日本」を体現する誇るべきスパイ・アクションとして日本史の一ページを飾るほどの再評価を受けることでしょう。この時代の銀座と、ギンザ・シックスが出来た銀座。どちらの銀座があなたは好きですか?この当時の不思議な和洋折衷の日本の雰囲気に、斬新さを感じるクリエイターは少なくないはずです。なぜ、この作品に出てくるものが、いちいちカッコよく見えるのでしょうか?

    それは間違いなく本作の撮影監督イギリス人のフレディ・ヤング(1902-1998)による功績だと言えます。デビッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』(1962)『ドクトル・ジバゴ』(1965)『ライアンの娘』(1970)で三度のアカデミー撮影賞を受賞したのもさるものながら、かつて『モガンボ』(1953)においてもアフリカとグレース・ケリーの美を的確にスクリーンに写し取ったその映像センスがあったればこそ、“スインギング・ニッポン”の奇跡の映像はここに生み出されたのでした。



    最高の初代ジェームズ・ボンド・スーツ。

    なかなか日本人には着こなせないソリッド・グレーの〝コンジット・カット〟のボンド・スーツ。

    日本家屋にもボンド・スーツが映えるのは、プロダクト・デザイナーのケン・アダムのデザイン・センスの良さによるもの。

    1966年9月。蔵前国技館を貸切り、8000人のエキストラを動員し、4人の横綱が、撮影も兼ね『007場所』を行いました。スーツ姿のショーン・コネリーには、狭い客席スペースでの撮影が大変厳しかったようです。

    ジェームズ・ボンド・スタイル1 日本上陸スタイル
    • アンソニー・シンクレア
    • ソリッド・グレイに見える〝コンジット・カット〟の白×黒のヘリンボーンスーツ。2ボタン
    • ターンブル&アッサーの白シャツ

    初代ジェームズ・ボンド・ショーン・コネリーのスーツ・スタイルの中でも一二を争う美しいシルエットを誇るのが、日本上陸直後のグレー・スタイルです。それまでのボンド・スーツよりもすっきりしたシルエットになっており、かなり筋骨隆々な肉体を誇示するようになっています。結果的には、このスーツのシルエットが、小柄な日本人を更に小柄に感じさせ、銀座徘徊シーンにおいて、ガリバー旅行記にも似た未開の地への到達感を生み出すことになりました。



    トレンチコートが似合わないボンド

    敵にロックボトムを食らわした後、ピーター・メイビアの運転する車に乗り込むJB。

    なんともコメントのしようがない悪趣味なドブネズミ色のトレンチコート。

    そして、ゼットンを思い出させる悪趣味なシューズ。

    ジェームズ・ボンド・スタイル2 トレンチコート・スタイル
    • オリーブ色のトレンチコート。ライナーは赤×黒のウインドウ・ペン。エポレット付き、10ボタン、ラグラン・スリーブ
    • 黒のフェドーラ帽
    • 白×黒の奇妙なレザーシューズ

    このスタイルは、いつも洗練されているボンドが、殺し屋の悪趣味な服を着て、変装するといういわばコメディ・スタイルです。そして、ボンドがバイカラーのシューズを履くのは本作が最初で最後でした。



    ページ:

    1

    2

    関連記事

    1. ジェイソン・ステイサム3 『スナッチ』3(2 ページ)
    2. ピーター・フォンダ/デニス・ホッパー1 『イージー・ライダー』1…
    3. アラン・ドロン3 『冒険者たち』4(2ページ)
    4. ブルース・リー1 『死亡遊戯』(2ページ)
    5. ピーター・フォンダ/デニス・ホッパー2 『イージー・ライダー』2…
    6. フィル・ダニエルズ1 『さらば青春の光』1(3ページ)
    7. ショーン・コネリー4 『007/ゴールドフィンガー』2(2ページ…
    8. ダニエル・クレイグ7 『007 慰めの報酬』2(2ページ)

    スポンサーリンク

    スポンサーリンク

    女性目線の男磨き

    PAGE TOP