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グレース・ケリー8 『モガンボ』4(3ページ)

グレース・ケリー
グレース・ケリー
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作品名:モガンボ Mogambo(1953)
監督:ジョン・フォード
衣装:ヘレン・ローズ
出演者:クラーク・ゲーブル/エヴァ・ガードナー/グレース・ケリー

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グレース・ケリー2作目の映画出演作。

「野生ゴリラ生け捕りのスリル!!」1954年日本初公開時のポスター。

サファリ・ルックで決めたグレース・ケリー。

グレース・ケリー(1929-1982)が、デビュー作とも言える『真昼の決闘』(1952)に続いて出演した作品が、クラーク・ゲーブル主演、エヴァ・ガードナー共演の三番手の役柄で出演した『モガンボ』でした。

ハリウッドにおいて、1950年代前半に、世界各地をロケーションして撮影する観光映画的なものが、大流行していました。『モガンボ』も、そんな時代の流れに乗って、ベルギー領コンゴ・タンガニーカ・英領ケニア・ウガンダといった暗黒大陸アフリカで一大ロケーションを行い製作された作品でした。

アフリカに対する憧れが少女の頃から私にはありました。だから、もしアリゾナ州でこの作品を作るのだったら、MGMと契約しなかったでしょう。

グレース・ケリー

元々リンダ役は、ジーン・ティアニーで決定していました。しかし、1952年に、オレグ・カッシーニ(衣裳デザイナー)と離婚し、うつ病を悪化させ、精神を病み突如降板したのでした。このオレグ・カッシーニという男性こそが、後にグレース・ケリーの恋人になる人であり、彼女のファッション感度を飛躍的に高めた人でした。そして、さらに後に、ジャクリーン・ケネディ・オナシスのパーソナル・スタイリストとして活躍する人でした。

ジーン・ティアニーの降板により、グレース・ケリーにチャンスが回ってきました。1952年秋に、MGMスタジオのタレント部門の責任者ルシール・ライマン・キャロルのオフィスに、グレースがやって来た時、彼女は、他のどの女優志望者たちとも何かが違うと感じました。「私のところに来る女の子の中で、しっかりとした信念を持っている子はほとんどいませんでした」。高価なソファにツンと気どった感じで、腰を下ろす他の女優達とは違い、グレースはキャロル女史の机の目の前にある小さな椅子に腰掛け、背中をまっすぐに伸ばし、白い手袋をしっかり握って、3年間ずっと断っていたMGMとの長期契約をするかどうか決めかねていたのでした。

キャロル女史のアドバイスもあり、グレースはMGMと7年契約することになりました。契約内容は、一年間に3本の映画出演までということと、3年後に1年休んでブロードウェイに出てもいいということ、さらにニューヨークに住むというグレースの条件が認められたものでした。ただひとつだけ、自分の役は自分で見つけたいということは却下されました。こうして、グレースのアフリカ行きは決定したのでした。

一方、ジョン・フォード監督は、グレース・ケリーの『真昼の決闘』に関して「彼女は背後から男を一人撃ち殺しただけじゃないか」とだけ言い放ちました。グレースを全く評価していない名監督の下で、グレース・ケリー初のカラー(テクニカラー)作品は作られたのでした。

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サファリ・スーツで登場するグレース・ケリー。

圧倒的な存在感で右に控えるのは、エヴァ・ガードナー様。グレース・ケリーは、白い手袋に象徴されるフィラデルフィア上流階級の出身である。

アフリカ大陸に、ラペルレス・シャツが見事にマッチしています。

クラーク・ゲーブルとグレース・ケリー。

グレース・ケリー・ルック1 サファリ・スーツ
  • サファリ・スーツ。同色のベージュのベルト付きスカートスーツ、ノッチ・ラペル
  • ピスヘルメット(サファリヘルメット)
  • 白のラペルレス・シャツ
  • 白のグローブ
  • ブラウンのサッチェルバッグ
  • ブラウンのパテントレザーのハイヒールパンプス

本作が撮影された1952年に、ケニアでは、マウマウ団が独立のために蜂起し、白人に脅威を与えていました。そんな中でアフリカ撮影は行われていました。しかし、グレース・ケリーは、そんなことは大して気にせず、アフリカ大陸や原住民に関する本を何十冊も読み、真剣にスワヒリ語を学びました。一行の中でスワヒリ語を学んだのはグレースだけでした。

私は、ずっとアフリカに憧れていました。そして驚いたことに、実際にアフリカの地を踏んで、一切失望しなかったのです。

グレース・ケリー

ある日、グレースの姿がキャンプから見えなくなったので、何かあったのではと心配したクラーク・ゲーブルが、一人湖畔の岩の上で泣いている彼女の姿を見つけたのでした。そして、泣いている理由を尋ねるとグレースは答えたのでした。「今、この世で一番美しいものを見たのよ。だって『キリマンジャロの雪』を読んでいて、ちょうど雪の中のヒョウのところに来てふと顔をあげたら、湖畔を本当のライオンが歩いているのが見えたんですもの」。ゲーブルは、ライオンを見ても、怖がらなかった彼女に感心したのでした。