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『007は二度死ぬ』Vol.3|丹波哲郎とドナルド・プレザンス

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『ボンド君の永遠の宿敵』ドナルド・プレザンス

本当に素晴らしい悪役というものは、最初から最後までダラダラと出演する必要はなく、最後の最後に姿を現し圧倒的な存在感を見せつけるだけで十分なのです。しかし、このパターンは否応なしに観客の期待を煽り立てることになるので、演じる俳優にとって、僅かな時間で、最大限の効果を要求される〝本物かどうかが試される仕事〟なのです。

特に世界征服を企む犯罪組織スペクターの首領ブロフェルド(この作品でついに姿を現した!)を演じるとなると、ただ恐ろしいのではなく、ただ強面なのでもなく、シェイクスピア劇を演じるような狂気をはらんでいる俳優が演じるという、手がおえないほどに大きな存在感が要求されるのです。

そして、そんな男が「生きていたんだね。ボンド君。ではもう一度死んでもらおう」と言うからこそ、ボンドムービーは最高に盛り上がるのです。

このブロフェルドを演じた俳優の名を、ドナルド・プレザンスと申します。彼がいたからこそ、007は二度死ぬことが出来たのでした。

『オースティン・パワーズ』においても引用された名ポーズ。

『オースティン・パワーズ』(1997)のDr.イーブル。

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ドナルド・プレザンスとは?

次作『女王陛下の007』でブロフェルドを演じたテリー・サバラスも、完全に食われてしまう圧倒的な存在感。

この人が画面に登場すれば、場の空気をさらってしまうインパクトがあります。

ドナルド・プレザンス(1919-1995)で最も有名な映画といえば『大脱走』(1963)でしょう。彼はこの作品で、脱走寸前に目がほとんど見えなくなるコリン・ブライスを演じ、人々の記憶に残る存在感を示しました(実際に、第二次世界大戦中に英国空軍の爆撃機の無線オペレーターとして撃墜され、ナチス・ドイツの捕虜になった経験を持つ)。

そして、もうひとつ忘れてはならないのが『ハロウィン』(1978)のサム・ルーミスです。彼は元々、ローレンス・オリヴィエにも認められるほどのシェイクスピア劇における名悪役でした(オリヴィエとヴィヴィアン・リーがブロードウェイで演じた「シーザーとクレオパトラ」と「アンソニーとクレオパトラ」にも出演している)。

これが伝説のブロフェルド・スタイルだ!

ブロフェルド・スタイル
  • マオスーツ。この当時、西側諸国の最大の敵だった共産圏=中国の毛沢東が愛用したスーツからインスパイアーされたスーツ。しかし、その形状は、ウール素材の極めて西洋的なしっかりしたボディラインであり、通常のマオスーツとは違う。他にも、通常はポケットが4つあるのに対し、2つしかなく、かなりモード感漂うすっきりしたシルエットが特徴的。ポケットはパッチポケット。ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の衣装などを作ったコスチューム会社Mベルマン・リミテッドによる。
  • ストライプの入った白シャツ
  • ブラウンのサイドゴアショートブーツ

きょとんとした表情で、ペルシャ猫を抱きしめる。ボンドの宿敵・不動のNo.1その名も、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルド。

印象的な顔面部の傷。後に『スペクター』において、忠実にこの傷の原因が解明されました。

「私はこの役を嬉々と演じた」と1988年にプレザンスか回想しています。

物語の100分目ではじめて姿を現します。

悪党であるにもかかわらず、ちょこんと座るその姿が、かわいいのがポイントです。

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世界のタンバ

ショーン・コネリーを相手にしても丹波哲郎は相変わらずタンバだった(褒め言葉)。

丹波哲郎(1922-2006)こそ、これから再評価を受けるであろう日本を代表する伝説の映画俳優でしょう。

『恋と太陽とギャング』(1962)『暗殺』(1964)『軍旗はためく下に』(1972)『砂の器』(1974)といった代表作と本作における丹波哲郎の存在感は、今の日本人には存在しない「大人の男のダンディズム」を感じさせます。

アメリカにスティーブ・マックイーン、イギリスにショーン・コネリーがいるのならば、我々には丹波哲郎がいるではないか?そういう再評価の時代が今まさにやって来ようとしています!

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タイガー田中のテーラード・スーツ

タイガー・スーツその一。チャコールグレイのスーツ。

本作において丹波哲郎扮するタイガー田中は2着のスーツを着ています。一着目はチャコールグレイのウールのスーツです。

  • 低めの位置に2ボタン、ナローラペル、シングルベント
  • ネイビータイにバーガンディーのプリント、ウィンザーノット
  • 白シャツ
  • ブラック・スリッポンシューズ

タイガー・スーツそのニ。ライトグレイのスーツ。

そして、二つ目はライトグレイのウールのスーツです。

  • 低めの位置に2ボタン、ナローラペル、ベントなし。両方ともボンドスーツがソフトショルダーに対してストロング・ショルダー
  • 白シャツ
  • シルバー・タイに幾何学模様、ハーフ・ウィンザーノット
  • ブラック・スリッポンシューズ
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日本男児に今必要なのはタンバイズムだ!

当初、タイガーは三船敏郎にオファーされました。しかし、『グラン・プリ』の撮影のため実現しませんでした。

しかし、丹波哲郎の凄さは、和装も易々と着こなすところにあります。さすがだてに、本作の漁村の撮影時期において、待機している海女の休憩所に乗り込んで行き、手当たり次第に、松岡きっこをはじめとする海女役の女性たちに、催眠術をかけて悦に浸っていただけあります。

そして、思う事・・・果たして、タイガーは本当に、二人のボンドガールの間で通訳のような役割もしていたのだろうか?それともただ単に「英語が話せるよ~~にな~る」と二人に催眠術をかけていただけなのだろうか?

しかし、このいかがわしさもまた丹波哲郎の魅力なのです。スケールのデカい男が今の時代減っているような気がします。

前門の虎、後門の丹波。どこまでも堂々とした日本男児。匹敵する男は〝世界のミフネ〟しかいないその堂々とした男っぷり。ちなみにこのシーンは、今では絶対に再現できないトルコ風呂のシーンである。

私、丹波さんって大好きなんです。霊界の話とか霊魂の話をよくされていまして・・・非常にユーモラスで。ウソもいっぱいあるんですよ。人を喜ばせようとする人でしたから。「ウソでしょ、それ」って言うと、「あ、どうしてわかった」って。実に天真爛漫でした。

仲代達矢

『007は二度死ぬ』という作品は、最初で最後のボンドの相棒の日本男児タイガー・タナカを演じた丹波哲郎を通じて、「男のダンディズム」を学ぶ教科書でもあるのです。

作品データ

作品名:007は二度死ぬ You Only Live Twice(1967)
監督:ルイス・ギルバート
衣装:アイリーン・サリバン
出演者:ショーン・コネリー/若林映子/浜美枝/丹波哲郎/カリン・ドール/ドナルド・プレザンス

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