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【セルジュ ルタンス】フェミニテ デュ ボワ(木のフェミニティ)(ピエール・ブルドン/クリストファー・シェルドレイク)

セルジュ・ルタンス
©Shiseido
セルジュ・ルタンス
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フェミニテ デュ ボワ(木のフェミニティ)

原名:Feminite du Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:ピエール・ブルドン、クリストファー・シェルドレイク
発表年:1992年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/14,300円、100ml/22,000円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス

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価格:900円
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すべては1968年にはじまりました。

©Serge Lutens

私はモロッコを訪れるまで特に香水に興味はありませんでした。いいえ、むしろ、香水を嫌っていたと言ったほうが正確でしょう。1968年にディオールの仕事でモロッコを訪れ、スークの近くから香ってきたシダーに夢中になりました。これが私の香りの原点です。

セルジュ・ルタンス

すべてのはじまりは、1968年に、セルジュ・ルタンスがモロッコ・マラケッシュで見つけたある木片でした。とてもかぐわしい香りのするこの木片に惚れ込み、いつか〝シダーの香水〟を作りたいと考えるようになったのでした。

それは、丁度一年前の1967年にクリスチャン・ディオールのメイクアップラインの開発のため初代アーティスティック・ディレクターとして雇用されたセルジュが、ディオールの仕事で初めてモロッコに行った時でした。

ちなみに、彼は1968年にメイクアップラインを発表し、そのスモーキーなアイシャドウは一世を風靡することになりました(そのすぐ後に、エスティローダーも同じようなメイクアップラインを発売した)。

彼は、80年代後半にクエストと資生堂のチームをマラケッシュに呼び、フルーティな木の香りをベースにした香水を作る準備に取り掛かりました。

そして、ピエール・ブルドンと出会い、革命は始動したのでした(のちにディオールの「ドルチェ ヴィータ」でブルドンはこのアイデアを昇華させた)。そして、その構想をクリストファー・シェルドレイクが引き継ぎ、1992年に「フェミニテ デュ ボワ」は完成したのでした。

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1992年の香りの革命

©Shiseido

それは1992年に勃発した4つの香りの革命のひとつでした。1つはジャック・キャヴァリエの「ロー ドゥ イッセイ」によるオゾン革命。もう1つはオリヴィエ・クレスプの「エンジェル」によるグルマン革命。さらにもう1つがジャン=クロード・エレナの「オ パフメ オー テヴェール」によるティー革命。そして、4つ目がこの香りによるウッディ革命なのです。

「フェミニテ デュ ボワ」とはフランス語で〝木のフェミニティ(女らしさ)〟という意味です。この香りは60%のウッディで構成されています。そのことにより、男性の香りとされていたウッディ(正確にはシダーウッド)を、女性の肌を通して〝洗練された香り〟へと昇華させたのでした。

それは丁度、男性のファッションとされていたトレンチコートを女性が着た瞬間、トレンチコートが〝モード化〟されたのと同じ感覚でした。

つまりは、女性のための木ではなく、男性にとってのフェミニンさ、女性にとってのメンズライクなクールネスといった、90年代初頭のユニセックスな感覚を〝シダーウッド〟によって表現させた香りなのです。

セルジュ・ルタンス自身がデザインしたオリジナル・ボトル。

1992年当時、セルジュ・ルタンスというブランドは存在しませんでした。同年オープンした資生堂のパリの本拠地であるレ・サロン・デュ・パレロワイヤル・シセイドーでのみ発売されました。そして、何を隠そうこの香りこそが、ルタンスのはじめてのユニセックス・フレグランスだったのです。

ちなみに同時に発売された4つの香りは、シダーウッドにそれぞれ新しいパートナーを見つけ、木の魅力を昇華させた香りです。

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史上はじめて、木に〝女性らしさ〟を与えた香り

©Serge Lutens

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シダーウッドがこの香りの中心にいます。このシダーウッドから「女らしさ」を呼び覚まさんと、スパイス、フローラル、フルーツが入れ替わり立ち替わり、優雅に美しくゆっくりと登場し、その女心を掻き乱していきます。それはまるで静謐なる森林の中に漂う悦びであり哀しみのようです。

最初からアトラスシダーが蜂蜜のように甘やかなアンバーにより(素晴らしいクミンもそこにある)、きらめく質感を感じさせる中、ジンジャーに甘やかされたシナモンが注ぎ込まれ、エレガントに発泡するスパイシーウッドの香りに包まれてゆきます。

すぐにフルーティなプラムとピーチ、そして、ハーバルなクローブが、アンバリーなシダーの心を揺り動かしてゆきます。

この香りの醍醐味は、そんなシダーがインセンスの風に乗り、アメジストの如く、透き通るように輝くヴァイオレットを中心にダマスクローズ、オレンジブロッサム、イランイランが追加され、スパイシーなシダーの上に、花の甘みを蕩けさせていくところにあるのです。

スパイシーなシダーとプラム、ダマスクローズが見事に溶け合い、梅酒のような赤ワインの熟成された香りとなります。

シダーウッドは森林浴のような心を癒す〝背景的〟な使われ方をせず、主役として扱われながら、クリーミーなサンダルウッドとパウダリーなバニラに心奪われ、官能的な余韻を肌に残してゆきます。

2009年に「フェミニテ デュ ボワ」は、資生堂からセルジュ・ルタンスのラインナップに加わり、「ブラック&ベージュ コレクション」のひとつとして発売されることになりました。残念ながらその時にセルジュ・ルタンスがデザインしたボトルは廃盤になりました。

2018年3月21日に「コレクションノワール」に変更され、歴史的名香であるこの香りも、その中に組み込まれました。

新しく再調整されたものは、天然のサンダルウッドを使用することを断念しており、シダーウッドを構成するイソEスーパーの濃度(40%)も薄くなっているのですが、ヴァイオレットとうまく調和されており、オリジナルに忠実な香り立ちはしっかりと継承されています。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「新しい処方は非常によくできていて、すぐ近くで嗅いだときにトップノートが違うのとドライダウンが薄めなのを除けば、オリジナルの形を保っている。」「キャロンの「パルファム サクレ」もそういう方向性だったが、フェミニテデュボワこそ名前の意味(森の女性らしさ)を的確に表現した初めての香水だった。」

「砂糖漬けのフルーツとウッドの構成は、澄み切っていて豊かに温かく、ほとんどけばけばしいほど。天才のひらめきを感じさせる。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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セルジュ・ルタンスの資生堂のミューズ、エレナ・クドゥラ様

©Shiseido



1992年の資生堂の「フェミニテ デュ ボワ」の広告キャンペーンのミューズをつとめているギリシア出身のファッション・モデル、エレナ・クドゥラ様(1962-)は、山口小夜子様に並ぶセルジュ・ルタンスのミューズでした。

元々ギリシャ陸上界のトップアスリートとして、走高跳びと100mハードル競技で活躍し、1984年から1997年にかけてギリシャ初のトップモデルとして、1990年にCNNによって〝世界で最も美しい10のモデル〟の一人に選ばれました。

さらに、その類稀なる身体能力から生み出される表現力をセルジュ・ルタンスに買われ、ルタンスの資生堂のミューズとなったのでした。1997年にモデルを引退してからは、政治家として活躍しています。

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香水データ

香水名:フェミニテデュボワ(木のフェミニティ)
原名:Feminite du Bois
種類:オード・パルファム
ブランド:セルジュ・ルタンス
調香師:ピエール・ブルドン、クリストファー・シェルドレイク
発表年:1992年
対象性別:ユニセックス
価格:50ml/14,300円、100ml/22,000円
公式ホームページ:セルジュ・ルタンス


トップノート:ヴァージニア産シダー、シナモン、プラム、ピーチ
ミドルノート:クローブ、イランイラン、ヴァイオレット、モロッコ産オレンジフラワー、ジンジャー、ターキッシュローズ
ラストノート:バニラ、ムスク、サンダルウッド、ベンゾイン

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