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ペンハリガン

【ペンハリガン】ハルフェティ(クリスチャン・プロヴェンザーノ)

ペンハリガン
©Penhaligon's
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ハルフェティ

原名:Halfeti
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリスチャン・プロヴェンザーノ
発表年:2015年
対象性別:女性
価格:30ml/21,120円、100ml/41,250円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム

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『ウードの魔術師』クリスチャン・プロヴェンザーノ

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私にとって最も大切な創造物のひとつは、ペンハリガンの「ハルフェティ」です。2015年に誕生した香水ですが、現在もペンハリガンでNo.1の売り上げを誇っています。

クリスチャン・プロベンザーノ(2022年のインタビューより)

2007年にペンハリガンのジェネラル・マネージャーに就任し、ブランド復興の舵取り役を見事に果たしていたサラ・ロザラムが、右腕のクリエイティブ・ディレクター、ナタリー・ヴィンチグェッラと2008年に生み出した最初の香り「エリクシール」により、オリヴィア・ジャコベッティがペンハリガン初登場となりました。

それ以降、実力派調香師を起用する流れがはじまりました。そんな中、2014年に(19世紀末の)ロンドンと植民地とを結ぶ大英帝国の貿易ルートから想起された「トレードルート コレクション」として、4種類(うち1種類は限定品)の香りが発表されたのでした(日本では2015年2月25日から全国発売されました)。

そして、2015年に発売された第五弾が「ハルフェティ」でした。クリスチャン・プロベンザーノにより調香されました。

あまり知られていないことなのですが、プロベンザーノは15年前(2008年ごろ)からドバイに定住しており、調香師界においても〝ウードの魔術師〟としての評価の高い調香師なのです。この香りは、そんな彼が、本格的にペンハリガンのために生み出したウードローズです。

ドバイに住んでいる特権は、ヨーロッパでは出会えない様々な天然のウードに出会えることです。インド産、カンボジア産、ラオス産、バングラデシュ産などさまざまな原産地からたくさんの種類があり、どれも香りが違います。

スモーキーな香りもあれば、レザーのような香りもある。はたまた動物のような香りもあります。重要なのは、適切なウードを適切なフレグランスに使うことです。

クリスチャン・プロベンザーノ

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まぼろしのブラックローズを探して

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ハルフェティ

この香りのテーマは、大英帝国のトルコとの交易です。トルコにあるユーフラテス川沿いの村ハルフェティ(一部がユーフラテス川の下に沈んいる。そして、村人の大半はクルド人)では、どうやらまぼろしのバラと言われるブラックローズ=黒薔薇が生育されているらしいという情報が、2013年頃から流れていました。

つぼみの時点では濃い赤色の薔薇ですが、そのつぼみが開くにつれてだんだんと黒色になるという別名「アラブの花嫁」と呼ばれるトルコ産のブラックローズ。

それはフランスから移植されたルイ14世(濃い黒赤色のローズ)が、ユーフラテス川の独特な土のph値により更に黒味を増したものという、実際のところ真実であるかどうか分からない『黒薔薇伝説』。

そうです。香りの世界の面白いところは、真実よりも心を打つ魅力的なストーリーである方が大切なのです。この香りは、ハルフェティの『黒薔薇伝説』を、ボトルの中に封印しようと試みた『史上初めてのブラックローズの香り』なのです。

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決して摘んではならない黒いバラの花びら

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「ハルフェティ」は、トルコで取引されていた豪奢な品々を想起させる香りを生み出すことを目指しました。ハルフェティ村で栽培されている極めて希少な花であるブラックローズにインスピレーションを得て、私は闇と神秘をもたらす原料を使用しました。

トルコ産のローズ・アブソリュートを使用し、スパイスをブレンドして、豊かな森、官能的なアンバー、バルサミコの香りを重ねました。力強さと複雑さが「ハルフェティ」のすべてです。一度香りに身を置けば忘れられないだろう。

クリスチャン・プロベンザーノ

この世に存在するあらゆる邪悪なものを吸収するという言い伝えのある失われた黒薔薇伝説を追い求めて、進んでいった先に、ついに到達した伝説の地を、素肌と心で感じ取っていくこの香りは、太陽の祝福からはじまります。

贅沢に太陽の光に甘やかされたベルガモットとグレープフルーツが弾けだすように、苦みと酸味を迸らせてゆきます。すぐに幻想的な森の囁き=新鮮なサイプレスとシダーウッドと(アブサンのような)アルモワーズが、コールドスパイス=カルダモンと共に溶け込んでゆき、ひとまとめになり素肌に着地するのです。

この香りは、ブラックローズからはじまりません。まずは、トルコの空気を素肌に生み出すようにはじまります。サフラン(とクミン、ナツメグ)のオレンジ色のシャワーを浴び、いよいよ闇夜へと導かれてゆきます。

いよいよブラックローズの登場です。まるで月の光で照らし出された真夜中の閨房に、妖艶に輝く美しき女の裸体のように、しづやかに、揺れるようにその黒い花びらを広げてゆくのです。さらにウードとアンバーがうっとりするようなレザーのものうげな煙を生み出し、彼女を包み込んでゆきます。

やがて、彼女の白魚のような細い指があなたの素肌を捉えた瞬間、ブラックローズが、素肌の上に花を咲かせてゆくのです。酔わせるようなフルーティなウードローズがクリーミーなサンダルウッドとバニラ、トンカビーンととろけて甘やかに匂い立ち、媚薬のように全身をうれしがらせてくれるのです。

本当のクライマックスは、黒い花びらがしずかに散った余韻に満たされるところにあります。それはまるで涙が生み出す心の海に、この黒い花びらが浮かんで遠くに流れていくようです。素晴らしい香りには、スケールがあります。そして、身に置く人を詩人に変えてしまう力があるのです(=心が豊かになる)。

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どこか謎めいた、離れがたい洗練された温もりを持つ香り

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この香りの謎めいた深みは、シダーウッドとパチョリによって生み出されています。

シダーウッドは、アトラス産とテキサス産を2種類使用しています。どちらも香りはまったく違います。アトラス産はとてもドライで、削った鉛筆のような香りです。一方、テキサス産はより滑らかです。

パチョリは、その不純物を取り除いたクリーン・バージョンであるパチョリ・ハートを使用しています。この2つの要素に、アンバーとカシュメランが組み合わさることにより、香りに深みが与えられていくのです。

クリスチャン・プロベンザーノ

この〝ブラックローズ〟が、ペンハリガンで世界的に最も売れている理由は何でしょうか?それは素肌の上で、身も心も翻弄するように、クリーミーなウードローズと豪奢で豊かなスパイスブレンドが生み出す、なめらかに肌に溶け込む、どこか謎めいた、離れがたい洗練された温もりからでしょう。

この香りを人肌を通して香ると、ぱっと脳裏に浮かぶ言葉がいくつかあります。〝まぼろしの黒薔薇に命が吹き込まれた〟〝近づけない〟〝決して摘んではいけないバラ〟〝耽溺する〟といった言葉です。

かつて存在したGINZA SIXの「サロン デ パルファム」限定で発売されていましたが、2021年1月6日より、ジェイアール名古屋高島屋店、ジェイアール京都伊勢丹店、阪急メンズ大阪でも販売されています。

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香水データ

香水名:ハルフェティ
原名:Halfeti
種類:オード・パルファム
ブランド:ペンハリガン
調香師:クリスチャン・プロヴェンザーノ
発表年:2015年
対象性別:女性
価格:30ml/21,120円、100ml/41,250円
販売代理店ホームページ:ラトリエ デ パルファム


トップノート:ベルガモット、グレープフルーツ、カルダモン、サイプレス、アルモワーズ(ヨモギ)
ミドルノート:クミン、ナツメグ、ヴァイオレット、サフラン、ブルガリアン・ローズ、ジャスミン、スズラン
ラストノート:レザー、ウード、サンダルウッド、アンバー、ムスク、トンカビーン、バニラ