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【フレデリック マル】リス メディテラネ(エドゥアール・フレシェ)

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その他フレデリック・マルブランド調香師香りの美学
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リス メディテラネ(地中海の百合)

原名:Lys Mediterranee
種類:オード・パルファム
ブランド:フレデリック・マル
調香師:エドゥアール・フレシェ
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:10ml/6,820円、30ml/18,150円、50ml/23,650円、100ml/34,100円
販売代理店ホームページ:ベルコスメ

フレデリック マル リス メディテラネ 50ml FREDERIC MALLE LYS MEDITERRANEE [2845]

価格:24,221円
(2021/5/27 14:47時点)
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『プワゾン』を作った男が生み出した「百合の香り」


百合(リリー)香水の傑作のひとつと言われる「リス メディテラネ(=地中海の百合)」は、2000年にフレデリック・マルが創業したとき、9種類の香りのひとつとして発売されました。エドゥアール・フレシェにより調香されました。

フレデリック・マルがルール・ベルトラン・デュポン社(現ジボダン)に入社した1988年においてすでに議論の余地のないスター・パフューマーだったフレシェ。この頃の彼はディオールの「プワゾン」(1985)とクロード・モンタナの「パルファン ド ポー」(1986)といった大ヒットの香りを創造したばかりでした。

しかし、すごく謙虚な性格の持ち主のため、業界外では無名に等しい人でした。当時、新人のマルのフレシェに対する印象は、どんな質問をしようとも懇切丁寧に答えてくれる誠実な人でした。そして、ほとんどの調香師たちの机がボトル等で散らかっているのに対して、彼の机はいつもきちんと整理整頓されている几帳面な人という印象でした。

最も不思議なことは、マルが彼のオフィスのドアを開けて中を覗いてみても、活発に仕事をしている姿を一度も見たことがないということでした。そして、決して誰にも試香している姿を見せることはなかったのでした。

つまりは、手当たり次第に試香するのではなく、頭の中でシュミレートしてから数回で香りを創造することの出来る天才肌の調香師でした。

そんなルール社時代の思い出を胸にマルは、フレシェに自由に香りのテーマを選んでくださいと言って、調香を依頼したのでした。

そして、フレシェから出てきた答えが、アイリスの香りを作りたいということでした。しかし、実は数ヶ月前にピエール・ブルドンが「イリス プードゥル」を既に完成していため、マルから逆に提案されたのがジンジャー・リリーの香りを作るということでした。

それは以前、フレシェが地中海の海辺からやってくる潮風とジンジャー・リリーに共通する成分が、ベンジルサリシレートであることを発見したということを受けてのことでした。

クノッソス宮殿の壁画「百合の王子」


「リス メディテラネ(=地中海の百合)」は、明らかに、クノッソス宮殿の壁画「百合の王子」からインスパイアーされた香りとも言えます。ミノア文明とは地中海にあるクレタ島の古代文明なのですが、この「百合の王子」は、孔雀の羽と百合の装飾が施された冠を被り、百合の首飾りをつけています。

紀元前1700年から1450年の間に作られた壁画に描かれた百合。一説によれば、実はこの王子は王女かもしれないという神秘性。古来から百合は、貴人に愛され、地中海の潮風をたっぷりと浴びて逞しく花咲かせていたのです。

この香りの真の名は「古代の百合の花」、もしくは、「神話の中の百合の花」なのかもしれません。だからこそ、この香りからは、生命力に満ち溢れた力強い百合の香りがするのです。

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清楚な百合が、鈴蘭に唆され、快楽に溺れる。

私のこの香りのイメージは、仮面舞踏会を連想させ、快楽主義的です。それはサントロペの真夏の夜の情欲を夢想させる海辺のリリーです。

フレデリック・マル

香りを調香するにあたり、エドゥアール・フレシェは、潮風のような香りと太陽のような明るく温かい側面を強調するために、グリーンフレッシュな側面を強化し、ジンジャー・リリー固有のスパイスノートを追加し、更にトップノートにラグジュアリーなムードを生み出すために規格外とも言える大量のオレンジ・ブロッサムを加えました。

ちなみに、オレンジ・ブロッサムとは、ネロリと同じビターオレンジの花から抽出されるのですが、水蒸気蒸留ではなく、溶剤抽出法で抽出された精油を指します。新鮮な花からただよう酔わせるような甘さと深みのある香りがするため、官能的なイメージを生み出します。一方、ネロリはグリーン調のアロマティックでピュアなイメージを生み出してくれます。

さらにサリチル酸(天然の百合に含まれる)を強化し、マリンノート(カロン)を追加し、数回のトライアルで完成させました(隠し味として、着用者の肌にほんのりと香り立つ程度のムスクを加えた)。

ジンジャー・リリーとは、食用の生姜(ジンジャー)ともリリーとも全く関係ないのですが、根の部分の香りが、ジンジャーのようであり、花の香りがリリーのようであることからこの名がつけられています。夕方から夜にかけてフルーティーかつスパイシーな甘い香りを強く放ちます。

ベルガモットの芳香に導かれるように、真夏の夕陽のようなオレンジ・ブロッサムに甘く照らされながら、地中海の沿岸に咲くクリーミーな白いリリー(百合)に、彷徨する荒波から弾け飛ぶ、潮の霧が大量に降り注ぎます。

健気にそのすらっとした清楚な美しさを保ちながら、歯を食いしばり耐える百合の美学。それは大地に根を張る緑の茎、その大地の土の感触といった要素まで感じさせる、荘厳ささえも感じさせる香りのはじまりです。

やがて、だんだんと太陽が沈むように、オレンジ・ブロッサムの甘さが減退すると共に、スパイシーなジンジャーとマリンノートが加わります。そして、さらに加えて、可憐なるスズランのようなグリーンノートが強くなり、クリーミーな白い百合は仄かなローズとジャスミン、チューベローズに包まれながらそれらの香りとシンクロするように香り立ちます。

どうやら、隠し味として、ジンジャーと共に、苦味のあるアンジェリカをそっと忍ばせているようです。それはまるで、清楚な女性が、何気なく色香を発する仕草を見せるような妖艶さを秘めています。

ついにジンジャーとマリンノートが減退する中、スズランに唆され、一気に、百合のリミッターが振り切られるのです。そして、快楽主義の中に溺れていくように、バニラと交じり合うムスクの風に包まれながら、これ以上なく甘くロマンティックな百合の香りを解き放つのです。

この香りは、ペンハリガンの「リリー&スパイス」や、グタールの「デ リス」、セルジュ・ルタンスの「アン リス」、ジョー・マローンの「ダークアンバー&ジンジャーリリー」、ルラボの「リス41」とよく比較される香りです。

さらには、同じホワイトフローラル系の、ガーデニア、チューベローズ、ジャスミンの香りとも比較対象されやすく、特にチューベローズは百合と同じく植物的なグリーンな側面があるので、フレデリック・マルの「カーナル フラワー」が好きな人は、たいていこの香りに魅了されます。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「リス メディテラネ」を「シンギング・リリー」と呼び、「ユリは密室の中で香りの叫び声をあげていた。それがあまりにも強烈だったので何か別のものへとねじ曲げられ、何に変化したのかわかるまでにしばらくかかった。そして突然ひらめいた。サラミだ。ユリの生花には塩辛い、ハムのような風味がある。」

「今現在、傑出したユリの香水といえば「メディタレニアンリリー」と「ダナキャラン ゴールド」の2つがある。「地中海の百合」はより生花に近い上品な香りに、紙やすりでこすったようなパウダー調、そして今にも香りの構成成分がばらばらになりそうな奇妙な感覚がともなう。」と4つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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香水データ

香水名:リス メディテラネ(地中海の百合)
原名:Lys Mediterranee
種類:オード・パルファム
ブランド:フレデリック・マル
調香師:エドゥアール・フレシェ
発表年:2000年
対象性別:ユニセックス
価格:10ml/6,820円、30ml/18,150円、50ml/23,650円、100ml/34,100円
販売代理店ホームページ:ベルコスメ


トップノート:塩水、ジンジャー
ミドルノート:アンジェリカ、オレンジ・ブロッサム、ロータス、リリー
ラストノート:バニラ、ムスク

フレデリック マル リス メディテラネ 50ml FREDERIC MALLE LYS MEDITERRANEE [2845]

価格:24,221円
(2020/4/8 08:48時点)
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