究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

【ステラ マッカートニー】ステラ ピオニー(アルベルト・モリヤス)

その他のブランド
©Stella McCartney
その他のブランド
この記事は約7分で読めます。
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

ステラ ピオニー

原名:Stella Peony
種類:オード・トワレ
ブランド:ステラ・マッカートニー
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/9,800円、100ml/13,000円

スポンサーリンク

2006年に誕生し、2017年に復活した『ステラ ピオニー』

©Stella McCartney

©Stella McCartney

ピオニーは世界でもっとも美しい花のひとつです。私も含め、たくさんの女性に愛されています。その香りはバラを思わせるものの、より新鮮で、どこか土っぽく、軽やかな官能性を感じさせるところがあります。それはフレッシュで、身に着けやすく、独特の個性を備えた花なのです。

ステラ・マッカートニー(彼女はイギリスのカントリーサイドのオーガニック農場育ち)

2001年に自身のファッション・ブランドを創立したステラ・マッカートニー(1971-)が、ファースト・フレグランス「ステラ」を発表したのは2003年のことでした。

ジャック・キャヴァリエが生み出した「ステラ」を自分が求めていた究極の香りだと大満足したマッカートニーは、その香りの魅力をさらに押し広げるために、二つに分けることをキャヴァリエに提案しました。

そして、2006年に発売されたのが、「ステラ」の香料を二分割して生み出した「ステラ イン トゥ アンバー」「ステラ イン トゥ ピオニー」でした(「アンバー」はソリッド・パフューム)。

このオリジナルの「ステラ ピオニー(正式名称:ステラ イン トゥ ピオニー)」は、2011年に一旦発売終了していました。

それから6年の月日が流れ、マッカートニーへの再販希望の声に応え、当時すでに、ルイ・ヴィトンの専属調香師になっていたキャヴァリエの仕事を引き継ぐ形で、2017年11月(日本発売は2018年2月11日)にコティ社と共に、アルベルト・モリヤスの調香によって復活することになりました(ステラ曰く、微調整しただけとのこと)。

スポンサーリンク

ジャック・キャヴァリエのオリジナル『ステラ ピオニー』とは?

ステラ イン トゥ ピオニー ©Stella McCartney

ステラ イン トゥ ピオニー ©Stella McCartney

ステラ イン トゥ アンバー ©Stella McCartney

この「ステラ ピオニー」は「ステラ」からの旅立ちとステップアップのようなもので、私たちは、ローズの要素とアンバーの要素を取り入れ、ソリッドとリキッドの2種類のフレグランスに分けました。

それは発売当時、とても興味深いものでした。しかし、残念ながら当時も今も、二つをレイヤリングして使用している人はほとんど見かけませんでした。

ステラ・マッカートニー

まず最初に、2006年に発売された「ステラ イン トゥ アンバー」=オリジナル版「ステラ ピオニー」について軽く解説させていただきます。

トップノート:ピオニー、ローズ
ミドルノート:ペッパー
ラストノート:アンバー、パチョリ、ヴァージニア・シダー

薔薇の花びらが、静かに散る少し前に、この花びらを照らす太陽の光彩が、透き通るようなアンバーのヴェールで包み込む、そんな最も薔薇が美しい最後の季節に、スパイスを加え、レトロ調の懐かしさと温かな余韻を残してくれる「ステラ」。

この「ステラ」の中に、秘められた〝ピオニーの小さな吐息〟を香りにしたのが、オリジナル版「ステラ ピオニー」です。

ピオニーのようなティーローズのグリーンの煌めきとさっぱりした甘さからこの香りははじまります。すぐにスパイシー感を加えながら、透き通るようなローズは、パチョリとシダーにより、肌を愛撫するようにアーシィーで温かな余韻で包み込んでくれます。

瑞々しいピオニーですが、可愛らしさだけでなく凛としたカッコ良さ=都会的なイメージも兼ね備えた香りで、当時は「ステラ」の妹的な立ち位置でした。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「ステラ イン トゥ ピオニー」を「ウッディ・フローラル」と呼び、「これは変わった着想だ。ウェブサイトによると、調香師のジャック・キャヴァリエはオリジナルの「ステラ」のフレグランスを2つに分け、それぞれにピオニーとアンバーという名前ををつけたそうだ。」

「フレグランスは笑えるほど公式路線から外れているが、実際のところ、なかなかよい。騒々しいトップノートにもかかわらず、微かに酸味があり男性的で「ロー ブルー」と似ていなくもない(ウェブサイトでもその点を認めており、「男性的でありつつ、セクシーな特徴を備えている」と書いてある)。」

「この香水を身にまとうのは誰だろう?女の子たちはつけないし、男たちもあえてつけたりはしないだろう。残念なことだ。いまやいつ来てもおかしくない、男性向けフローラルの新たな復活へのよい提起になり得たかもしれないのに。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

スポンサーリンク

アルベルト・モリヤスが蘇らせた『ステラ ピオニー』

©Stella McCartney

©Stella McCartney

©Stella McCartney

オリジナルの「ステラ ピオニー」の香りにおいて、私のブランドの精神が見事に捉えられていました。しかし、廃盤になりずっとそのユニークな香りを復活させたいと望んでいました。この香りはまさにオリジナルの「ステラ」の妹であり、私のブランドを愛する人々が求めている香りだと思います。

ステラ・マッカートニー

花が咲き誇る英国庭園に、疾風のようなフレッシュでスパイスの風が吹いたならどんな香りがするだろうか?という発想で生み出された「ステラ ピオニー」。

マンダリンとフリージアの爽やかな風に乗って現って、フレッシュグリーンなピオニーが到来するところからこの香りははじまります。すぐにペッパーが注ぎ込まれ、可憐なるみずみずしさが解き放たれ、ピオニーにいきいきとした生命力が与えられてゆきます。

そして、だんだんとウォータリーなロータスとゼラニウムが、スパイシーなピオニーをソーピィーかつエアリーな余韻で包み込んでゆきます。

すごく爽やかで心が清らかになるピオニーがそこにあります。そして、ピリっとアクセントになるペッパーがどこまでも心地よいのです。

ピオニー、ペッパー、シダー、パチョリ、アンバーグリスなどの香料がフローラルを生み出すのではなく、ハーブのように溶け合うのがこのピオニーの香りの特徴です。だからこそアロマティックに生命力にあふれ、エアリーな活気に満ちているのです。

私のフレグランスは、すべて以下の点で共通のテーマを持っています。それは、私がファッションをデザインする上で重要視している、マスキュリンとフェミニンの衝突や、ローズとアンバーといった二つの世界の衝突。そして、あるものの儚さとあるものの強さなどなど…

ステラ・マッカートニー

ボトルデザインは、赤みのあるピンクにブラックキャップとゴールドカラーを合わせ、アクティブなエレガントさが溢れるモダンな印象に。フローラルノートの中にピリッとアクセントを効かせた香りのように、この色彩のコントラストが官能的で遊び心に満ちた女性を表現しています。

キャンペーン・モデルはファッション・モデルのアリゾナ・ミューズです。動画を撮影したのは、ステラの姉であるメアリー・マッカートニーでした。

私のブランドの香りは、誰かからプレゼントされるのを待つのではなく、自分へのプレゼントとして購入するような女性のためにあると思います。それは、他の人のための嗜好品としてではなく、自分の魂への本当の贈り物としてです。つまり自己愛です。

ステラ・マッカートニー

スポンサーリンク

香水データ

香水名:ステラ ピオニー
原名:Stella Peony
種類:オード・トワレ
ブランド:ステラ・マッカートニー
調香師:アルベルト・モリヤス
発表年:2017年
対象性別:女性
価格:50ml/9,800円、100ml/13,000円


トップノート:マンダリン・オレンジ、フリージア、ロータス
ミドルノート:ゼラニウム、ピンクピオニー、ペッパー
ラストノート:アンバーグリス、パチョリ、シダー