ジェームズ・ボンド

ジョージ・レーゼンビー1 『女王陛下の007』1(2ページ)

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作品名:女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service(1969)
監督:ピーター・ハント
衣装:マージョリー・コーネリアス
出演者:ジョージ・レーゼンビー/ダイアナ・リグ/テリー・サバラス/アンジェラ・スコーラー/カトリーヌ・シェル



ジョージ・レゼンビーこそ、本当のジェームズ・ボンドだ!

スウィンギング・ロンドンなニュー・ボンド・スタイル。

撮影当時29歳という最も若い007。

監督のピーター・ハントとの打ち合わせ。

それまでの全てのボンドムービーの編集を務め、本作が初監督作品となったピーター・ハント(1925-2002)はこう断言しました。「本物のジェームズ・ボンドはショーン・コネリーやロジャー・ムーアじゃない。ジョージ・レーゼンビーこそボンドそのものなんだ」と。

一方、撮影終了後すぐにボンド役の降板を宣言した当時の心境をジョージ・レーゼンビー(1939-)はこう語っています。「シリーズも潮時だと思っていた。イージー・ライダーの時代にスーツに短髪の主人公は流行らないとね。あと一本してれば良かったね。そしたら、あと7本はやってたかもしれないね」。

だからと言って、レーゼンビーは、この作品に対して投げやりな態度で臨んだわけではありませんでした。身長188㎝の抜群のスタイルに、ハンサムなルックスとあらゆるスポーツが万能で、生まれてこの方、ずっと女性に追いかけられてきて生きてきたこの男にとって、演技経験はないものの、「オレこそが、リアル・ボンドなんだ」という自負がありました。だからこそ、自信家の彼は、オーディションのためにショーン・コネリー=ジェームズ・ボンドのスーツを担当していたアンソニー・シンクレアの店舗に行き、オーディション用のスーツを仕立てようとしたほどでした(6週間かかると言われ、ショーン・コネリーが使用しなかったスーツを購入する)。

ちなみに、テームズ川の向こうにビッグ・ベンを背景にランプポストの前でポーズを取っている有名な写真のスーツこそが、その時にアンソニー・シンクレアから購入したスーツです。そして、ヘアカットも、コネリーが通っていたドーチェスターホテルの美容室で同じ髪型にカットしたのでした。



ニュー・ボンドは、タキシード姿で誕生した。

オープニングは、ポルトガル、カスカイスのギンショビーチ。

タキシードはかなりスリムなシルエット。

そして、ドレスシャツの異様なまでの透け具合。

かなりスリムな60年代モードなトラウザーです。

ジェームズ・ボンド・スタイル1 カジノ・スタイル
  • テーラー:ディミ・メイジャー
  • ブラック・タキシード
  • フランク・フォスターの白のフロント・プリーツディナーシャツ、ダブルカフス、コットン
  • スリムなゴールドバー・カフスリンクス
  • ブラック・タキシード・パンツ
  • フェルト帽

オープニングは、ポルトガルの漁村の砂浜で自殺を図るトレーシーを、ニュー・ボンドが救助するシーンから始まります。5作品でボンドを務めたショーン・コネリーの絶対的なボンド・イメージから脱却するための、二代目ボンドのお披露目シーンです。

そして、水にぬれたディナーシャツ越しの筋骨隆々で逞しくも若々しいボンド・ボディが披露されます。ここで観客はひとつ違和感を感じることでしょう。そうです。このニューボンドには、コネリーのような胸毛や轟々とした体毛が存在しないのです。だからこそ、透け感の強いディナーシャツを着てもまた様になるのですが、こういったシャツは、女性に対しての受けはあまりよくありません。

本作においてシャツを提供しているフランク・フォスター(1923-)は1957年に創業したイギリスのシャツメーカーです。ショーン・コネリーとロジャー・ムーア、ビートルズの4人、ゲイリー・クーパー、フランク・シナトラ、ケイリー・グラント、ヴィダル・サスーン、チャールズ皇太子といった多くの著名人のためのシャツを作ってきた人です。



ボンドスーツのテーラーは、ディミ・メイジャー

タイムレスなスリム・シルエットのタキシード。

この作品において、意図的にパープル・カラーが多用されています。

ホテル・パラシオにて。1957年のドン・ペリニヨン・ヴィンテージをカッコよくオーダーするが、実際は、57年は存在せず、1955年か59年が正しい。

公開当時は酷評され、現在では大絶賛されている二代目ボンド。

『オースティン・パワーズ』を連想させます。

他のボンドには決して着こなすことの出来ないシャツ。

ジェームズ・ボンド・スタイル2 タキシード・スタイル
  • テーラー:ディミ・メイジャー
  • ブラック・タキシード、サテンシルク・ピークドラペル、ダブルベンツ、くるみボタンはひとつ
  • 白のフロントラッフル・ディナーシャツ、パール・ボタン、ダブルカフス、コットン
  • ゴールド・サークル・カフスリンクス
  • ボウタイ
  • ブラック・レザーのキャップトゥ・オックスフォード
  • ロレックスサブマリナー5513

当時29歳のジョージ・レーゼンビーの若々しさを象徴するようなピークドラペルのスリム・タキシード。後にこのシルエットのタキシードを着たのは、ピアース・ブロスナンの『ゴールデンアイ』(1997)においてのみです。ジャケットは少し短めにカットされており、60年代後半の空気を反映させたものになっています。何よりも、通常はベントなしのディナージャケットを、ダブルベンツにしているところが特徴です。

本作のスーツは、前作までのアンソニー・シンクレアではなく、監督のピーター・ハント御用達のディミ・メイジャーによるものです。ロンドンの南西部フラムのビスポーク・テーラーで、元々は『おしゃれ(秘)探偵』(ダイアナ・リグ主演)のパトリック・マクニー御用達のベイリー・アンド・ウェザリルでカッターとして修行し、1959年独立し、創業しました(2004年に81歳で死去、現在は子息のアンドリューが引き継いでいる)。60年代のスター・テーラーのダグ・ヘイワードは、サヴィル・ロウやオックスフォード・ストリートでカッターの仕事を得ることが出来ない中、ディミに拾われ、一流のカッターへと叩き上げられたのでした(1966年にフランク・フォスターの下で働くことになり、68年に独立する)。



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