作品名:オーシャンズ13 Ocean’s Thirteen (2007)
監督:スティーブン・ソダーバーグ
衣装:ルイーズ・フログリー
出演者:ジョージ・クルーニー/ブラッド・ピット/アル・パチーノ/マット・デイモン/エレン・バーキン/アンディ・ガルシア/ドン・チードル/エリオット・グールド/カール・ライナー/ヴァンサン・カッセル
「オーシャンズ」三部作・最大の敵アル・パチーノ
ダニー・オーシャンズと対決するウィリー・バンクを演じるのは、アル・パチーノ(1940-)です(僅か3週間で撮影された)。彼の身に着けているファッションは、全て彼自身のお気に入りで固められています。スーツ・シャツ・ネクタイは、イタリアの高級ブランド・バッタリアで仕立てられたものでした。
バッタリアとは、アルド・グッチに続いて、アメリカにイタリア製の上質なファッション・アイテムを持ち込んだジュゼッペ・バッタリアによってネクタイ販売から1947年にスタートしたブランドです。ビバリーヒルズのロデオ・ドライブに店舗を構えており、フレッド・アステアからドナルド・トランプまで愛用しているラグジュアリー・ブランドです。
ストライプスーツを着るときにしてはいけないこと
ウィリー・バンク・スタイル1 シャドウストライプ・ネイビースーツ
- 光沢のあるネイビーのシャドウストライプ・スーツ、ノッチラペル、2つボタン、シングル、ダブルベンツ
- クレリックシャツ、ブルーのロンドンストライプ
- ローズ・ゴールドのロレックス・プリンス
- ブルーとスカイブルーのシルクのレジメンタルタイ
- スカイブルーのポケットチーフ
- ドルチェ&ガッバーナ1104 眼鏡
「シナトラと握手した仲間には掟がある。」ルーベン・ティシュコフ
「シナトラなんかクソくらえだ!」ウィリー・バンク
アル・パチーノの本作のファッションは、狙っているのか少し奇妙な点があります。例えば、シャドウストライプのスーツに、同じ幅のロンドンストライプのシャツを合わせている所がそうなのですが、メンズ・ファッションにおける〝やってはいけないコト〟をしているのは、彼が他人の意見を聞かずに、自分が良いと思う感性で突き進む人だという印象を与えるためなのでしょう。
後半で自滅するきっかけになるサムソンのゴールデン・モバイルフォンにしても、どう見てもただの悪趣味としか思えない代物なのですが、こんなものに固執するところが、どう見ても悪趣味な高級スニーカーに浮かれ騒ぐ人々を連想させます。
趣味が良いのか?悪趣味なのか?
ウィリー・バンク・スタイル2 シャンパングレー・スーツ
- 1と同じスーツ
- 水色のロンドンストライプシャツ
- パープルとイエローのレジメンタルタイ
- ローズ・ゴールドのロレックス・プリンス
- ドルチェ&ガッバーナ1104 眼鏡
本作におけるアル・パチーノのストライプ・オン・ストライプはともかくとして、光沢のあるカラフルなネクタイのセンスに対しては、そのセンスを悪趣味に感じるのか?趣味が良く感じるのか?これだけは鑑賞者の自由です。ただひとつ言えるのは、60代の男性が〝かわいい〟カラフルなネクタイを身につけることは、いわば〝老いの特権〟であるということです。