作品名:007/ゴールドフィンガー Goldfinger (1964)
監督:ガイ・ハミルトン
衣装:エルサ・フェネル
出演者:ショーン・コネリー/オナー・ブラックマン/ゲルト・フレーベ/シャーリー・イートン/タニア・マレット
女はいつも、男らしさとの対比を渇望している。

第三のボンド・ガール、タニア・マレットと共に。

アンソニー・シンクレアらしいナチュラル・ショルダー仕立てのスーツです。

スイスの自然と、美しいクラシックカーの対比。ボンドムービーとは対比の美学です。

大自然の中での美しいスーツのシルエット。
ジェームズ・ボンド・スタイル6 ブラウン・スーツ
- ブラウン・コーン・ツイード・ハッキング・ジャケット(乗馬用上着)、2ボタン、シングル、ナロー・ノッチド・ラペル(同じジャケットが次作『サンダーボール作戦』で登場する)
- ライトブラウン・トラウザー
- ライト・エクリュ・ボタンダウン・ドレスシャツ
- ライトブラウン・ニットタイ
- ダークブラウン・スウェード・ダービー・シューズ
- ロレックス、サブマリーナ6538
本作においてジェームズ・ボンドははじめてスーツにニットタイをあわせています(前二作品は、グラナディンタイを着用)。ニットタイとは、20世紀初頭に登場したシルクやウール、コットンで編み上げたネクタイです。主に、カジュアルシーンで使用される類の「軽やかさ」を演出するネクタイでしたが、フォーマルなスーツに、濃厚な単色使いのニットタイで、男のダンディズムを体現しつつも、ボンドらしい「オトナのオトコの懐の広さ」を醸し出しています。
ボンドムービーには、『オトコの浪漫』が詰まっています。

ショーン・コネリーと、メイン・ボンドガール、オナー・ブラックマン。

ボンドムービー初のオールブラックスタイル=「忍び」スタイル。
ジェームズ・ボンド・スタイル7 オールブラック・スタイル
- 黒ニットポロシャツ、3つボタン
- ブラック・メリノウール・Vネック・ロングスリーブ・セーター
- 黒ウール・トラウザー
- ブラックレザー・プレイン・トウ・アンクルブーツ
- ロレックス・サブマリーナ6538
映画史上初めて登場するレーザー光線から危機一髪で逃れ、(21世紀の感性で見ても)超絶カッコいいアストン・マーティンDB5を乗り回し、オープンカーに乗る美女と風光明媚なスイスでカーチェイスを繰り広げ、颯爽と色々なスーツと美女と美食に囲まれ、寝室には全身金色の美女の死の接待を受け、最後は、とてつもなく大きな犯罪を企む悪党をやっつけ、なかなか落ちそうになかった美女とのワンナイト・ラブを勝ち取り「The End」マークを導くボンド君。
女性にとってのジェームズ・ボンドとは、「男ってホントに美女を見ると鼻の下を伸ばしてバカよね」と笑って済ませることの出来るシンボルなのです。そんなバカな男の代表選手であるJBを見て、世界中の男たちは、「オトコの中のオトコ」だと憧れるわけなのです。つまり、本当に魅力的なオトコとは、「いい歳こいて、まじめな表情で、全身黒づくめ姿で秘密基地に侵入する」ことが出来る男なのです。モテる男の鉄則。それは女性が鼻で笑いかねないことを堂々と継続できることです。