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『007 カジノ・ロワイヤル』Vol.10|エヴァ・グリーンとジョルジオ・アルマーニ

ボンド ガール
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ヴェスパー・リンドを演じたエヴァ・グリーンという女優

ジェームズ・ボンドが初めて愛した女性・ヴェスパー・リンドを演じたエヴァ・グリーン(1980-)は、歴代ボンドガールの中でもダイアナ・リグに匹敵する存在感を放っていました。エヴァ・グリーンは、その母親の名をマルレーヌ・ジョベールと言います。

チャールズ・ブロンソンの『雨の訪問者』(1970)などで有名なフランスの女優です。父親は ロベール・ブレッソン監督の『バルタザールどこへ行く』(1966)に出演し、僅か一作で俳優を引退し、歯科医になったウォルター・グリーンです。

その二卵性双生児の姉として2分早く生まれたエヴァは、俳優の両親を持つ娘とは思えないほどに、引っ込み思案な娘として育ちました。そして、7歳の時にルーブル美術館で見たエジプト美術がきっかけになりエジプト学の博士になりたいと思いました。やがて、14歳の時に見たイザベル・アジャーニの『アデルの恋の物語』(1975)により、女優志願するようになりました。

パリ、ロンドン、ニューヨークの演劇学校で学び、2003年にベルナルド・ベルトルッチ監督の『ドリーマーズ』でデビューします。そして、この作品の中で、両親に大反対されながらもオールヌードで体当たりの演技を見せました。

ジョルジオ・アルマーニとは、デビューしてすぐに親交を深め、彼の推薦により『キングダム・オブ・ヘブン』(2005)に出演し、ハリウッド進出を果たすことになります。

ヴェスパー・リンドを演じた女優エヴァ・グリーン。

哀しげな眼差しが印象的なフレンチ女優。

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「私は社交性ゼロのオタク女よ」

タイトル・デザインのクイーンが一瞬エヴァ・グリーンに変わる。

ブライアン・デ・パルマ監督の『ブラック・ダリア』のマデリン・リンスコット役を降板し(ヒラリー・スワンクがこの役を演じることになった)、5人目のフランス人ボンドガールとして『007 カジノ・ロワイヤル』に出演することを決めました。

私は社交性ゼロのオタク女よ。初対面で、まず人に好かれたことがないの。友達を作るのも下手です。だから演技に惹かれるんだと思います。自分とは全く違う人格のマスクをつける口実が出来るんですから。

本当の私は家に引きこもるのが好きで、パーティやクラブに行ったりすることもないんです。撮影の後は、家に帰って、ワインと良い本を読みながら、クラシック音楽を聴いて、暖炉の傍でリラックスするのが幸せなんです。こんな女って退屈でしょ?だから、なかなか彼氏が出来ないのよ。

エヴァ・グリーン

自称オタクのエヴァの趣味は、フルートとピアノの演奏と作曲、そして、芸術鑑賞(美術館巡り)と美術品の収集、テリアの散歩です。ストレス発散の最良の方法は、「20分間走る!」という素晴らしいほどに、自分を持った人です。

そんな彼女が演じるヴェスパー・リンドには、モデルとなった実在の女性が存在します。

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ヴェスパー・リンドのモデル:クリスチナ・スカーベック





イアン・フレミングが、1953年にはじめて出版したジェームズ・ボンド作品「カジノ・ロワイヤル」の中に登場するヴェスパー・リンドは、実在の女性がモデルです。その女性は、この作品が出版される1年前にナイフで刺されて死にました。彼女の名をクリスチナ・スカーベック(1908-1952)と申します。

ポーランドの伯爵の娘でありながら、侵略された祖国に対する復讐心を胸に秘め、英国のスパイとしてナチスドイツに対して諜報活動で目覚ましい結果を残した女性です。

1930年のミス・ポーランド・コンテストで決勝戦に出たほどの抜群のルックスを武器に、ポーランドとフランスの諜報戦を生き延び、大英勲章(OBE)まで手にした彼女は、終戦と同時に、無情にも使い捨てられ、解雇されました。

1946年に英国に帰化し、1947年に、彼女はイアン・フレミングと出会いました。そして、1952年6月15日に殺害されるのですが、その時は、クルーズ船の掃除婦にまで落ちぶれていました。

ロンドンの安ホテルで、一方的に彼女に夢中になっていたうだつの上がらない船室係によって、彼女は刺殺されたのでした(そして、彼自身も絞首刑となった)。

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アルマーニのパンツスーツを着て現れるヴェスパー・リンド

58分過ぎてはじめて登場することになる。エヴァ・グリーンの衣装はジョルジオ・アルマーニによるものでした。

グッチのフェドラハットとのコーデ。

私はトップショップが好きよ。そこに行くと深く考えなくても何かが見つかるから。ロンドン・ルックがとても好きなの。でも、最も私が、ファッションにおいて情熱を燃やしているのは、ヴィンテージなの。お気に入りのショップはノース・ロンドンにある〝The Girl Can’t Help It〟よ。そこには、私好みの40年代と50年代のフェミニンなドレスが色々あるの。

エヴァ・グリーン

衣裳デザイナーのリンディ・ヘミングスは、ヴィンテージ・ファッションに深い造詣を持つエヴァ・グリーンなら、オープニング・ファッションは、「キャサリン・ヘプバーンのようなパンツルック」でも着こなせるはずだと考えました。

そんなパンツルックのヴェスパーに言い放つボンドの言葉が面白いです。

「君はその美貌が自分のマイナスだと思っている」→「脳みそのある魅力的な女は、誰でもそう思うわ」→「そういう女性はわざと男っぽい服を選ぶ傾向にあるんだ」。

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ヴェスパー・リンドのファッション1

ブラックパンツスーツ
  • ジョルジオ・アルマーニのブラックパンツスーツ
  • ブラックレザーベルト
  • ソフィー・ハーレーのアルジェリアン・ラブノット・ネックレス
  • 黒のハンドバッグ(ジョルジオ・アルマーニと思われる)

ヘアスタイルもオールドハリウッドのクールさを湛えています。

映画の中でははっきりと認識できないのですが、とてもクールなパンツスーツルックです。

アルジェリアン・ラブノット・ネックレス

作品データ

作品名:007 カジノ・ロワイヤル 007 Casino Royale (2006)
監督:マーティン・キャンベル
衣装:リンディ・ヘミングス
出演者:ダニエル・クレイグ/エヴァ・グリーン/カテリーナ・ムリーノ/イワナ・ミルセヴィッチ/ジュディ・デンチ/マッツ・ミケルセン