究極のフレグランスガイド!各ブランドの聖典ページ一覧にすすむ

『女王陛下の007』Vol.2|ジョージ・レーゼンビーとルイ・アームストロング

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド
この記事は約8分で読めます。
当サイトではアフィリエイト広告を利用しています

ボンド・ムービーの隠れた名曲「愛はすべてを越えて」

背中を向けたトレーシーの震える肩に、手をかけるボンド。そして、優しく囁く「トレイシー、誤解されるのは嫌なんだ。特に友人と・・・そして、恋人には・・・」。

その瞬間、振り返ったトレーシーの目から大粒の涙が溢れかえっていた。気丈な表情で必死にこらえながらも、溢れるその涙を円を描くように優しく指で拭うボンド。と同時に「We Have All The Time In The World」が流れます。「私達には十分すぎる時間がある」という意味の挿入歌をルイ・アームストロング(1901-1971)が歌いました。

1967年に「この素晴らしき世界(What a Wonderful World)」を全英No.1ヒット(アメリカではヒットせず)させ、時の人だったルイは、本曲のレコーディングの時にはすでに入退院を一年間繰り返しており、体調も良くない状態でした。

僅か数年後に心筋梗塞で亡くなる彼にとって、「もう残された時間はほとんどない」状態でこの歌詞を歌い切ったのです。ルイのヴォーカルに包まれながら、恋が芽生え、キラキラしている若き二人の姿が映し出されます。なぜか胸の奥底から暖かくなる曲調と、そのダミ声のギャップが、この曲を唯一無二のバラードへと昇華させています。この曲の邦題は「愛はすべてを越えて」。それもこれも含めてすべてが美しいボンド・ムービー史上最高のラブソングです。

ちなみに本曲を作曲したジョン・バリーは、1968年にジェーン・バーキンと離婚したばかりでした。

スポンサーリンク

スーパー・モードなホワイト・スーツ

芸術的とさえ言える程のシルエットの美しさ。

ポルトガルのリゾート地を反映させたかのようなサマー・リゾート・スタイルで登場するニュー・ボンド。スリムなパンツが生み出すスーパーモードなシルエットが、唯一無二の二代目ボンド・スタイルの中でも、アイコニック・スーツとも言える存在感を示しています。

スポンサーリンク

ジェームズ・ボンド・スタイル3

ホワイト・スーツ
  • テーラー:ディミ・メイジャー
  • クリーム・リネンスーツ、ノッチラペル、短めのジャケット、深いダブルベンツ、2フロント・ボタン
  • ピンクのシャツ
  • ネイビー・シルクニットタイ
  • クリーム・スリッポン、モンクストラップ付き

実際はクリーム色ですが、ホワイト・スーツと呼ぶとしましょう。

白とピンクと黒のバランスが絶妙。しかし、なかなかこのアンサンブルが似合う人もいないでしょう。

白とピンクとネイビーのトリコロールモード。

スポンサーリンク

ジェームズ・ボンド・スタイル4

リングジップのゴルフウェア
  • ブラウン・ブルゾン、ノーカラー、フロント・リングジップ、バイスウィング、素材はポリエステル
  • 同色同素材のスラックス、ローライズ
  • オレンジのポロネックニット
  • ブラウンスエード・スリッポン、モンクストラップ付き

ピエール・カルダン風のリングジップ・ブルゾン。

ブラウンとオレンジのアンサンブルをどう見るかで全てが変わる。

ノーカラーの独特なデザイン。

スポンサーリンク

グッチのレザースーツケース

過去の思い出の秘密兵器をグッチのバッグにしまうJB。

スポンサーリンク

ジェームズ・ボンド・スタイル5

スリーピーススーツ
  • ネイビーのスリーピース・ヘリンボーンスーツ、三つボタン、シングル、ノッチラペル、ダブルベンツ、プリーツなしのトラウザー
  • ダークネイビーのニットタイ、ハーフ・ウィンザー・ノット
  • フランク・フォスターの白の透けたドレスシャツ
  • ブラック・キャップトゥ・ダービー
  • ロレックスのサブマリーナー5513
  • グッチのレザー・スーツケース

ここで今までショーン・コネリーのジェームズ・ボンドが2つボタンのスーツだったのに対して、ジョージ・レーゼンビーは3つボタンのスーツで登場します。

そして、トラウザーも英国式のフォワードプリーツのものからプリーツなしになりました。以後、ティモシー・ダルトンの4代目ボンドまでフォワードプリーツをボンドが履くことはありませんでした。

マネーペニーとMの登場。同じキャストが登場する安定感。

この二人とQがいつもいたからこそ、007は何代目ボンドになろうとも継続することが出来たのです。

このネイビーのアンサンブルが実に美しい。

ジャケットを脱ぎベスト姿のボンド。

スポンサーリンク

ジェームズ・ボンド・スタイル6

乗馬服
  • テーラー:ディミ・メイジャー
  • ハウンドトゥースチェックのレッド・オーバーチェック・ジャケット、バーリーコーン(麦粒柄)ツイード、ノッチラペル、パッド入りショルダー、深いシングルベント、3つボタン、膨れた胸部と絞られたウエスト
  • ベージュ・シルク・シャツ、乗馬用のストック・タイとストックピン
  • ベージュの乗馬パンツ
  • ブラウンの乗馬用レザーブーツ

歴代ボンドの中でも、レーゼンビーのスタイリッシュさはずば抜けています。

乗馬用のストック・タイ

ボンドの後ろに、パンタロンにローファーを履いた女性の姿が・・・

歴代一美しい涙を流したボンドガール=ダイアナ・リグ。

スポンサーリンク

ジェームズ・ボンド・スタイル7

ライトブルースーツ
  • テーラー:ディミ・メイジャー
  • ライトブルースーツ、3つボタン、ダブルベンツ
  • ダークネイビーのニットタイ、ハーフ・ウィンザー・ノット
  • フランク・フォスターのホワイトドレスシャツ
  • ブラック・キャップトゥ・ダービー

本当に一瞬だけ現れるライトブルースーツ。

ポルトガル・リスボンにあるロシア広場。

作品データ

作品名:女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service(1969)
監督:ピーター・ハント
衣装:マージョリー・コーネリアス
出演者:ジョージ・レーゼンビー/ダイアナ・リグ/テリー・サバラス/アンジェラ・スコーラー/カトリーヌ・シェル