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【女王陛下の007】スタイリッシュなスウィンギング・ボンド

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンドボンド ガール
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【女王陛下の007】

On Her Majesty’s Secret Service ついに初代ジェームズ・ボンド=ショーン・コネリーが降板し、二代目ボンド=ジョージ・レーゼンビー(1939-)が登場した007シリーズ第6作。僅か一作品で降板することになる二代目ボンドの評価は、今ではかなり高い(実は「黄金銃を持つ男」の映画化でロジャー・ムーアの二代目ボンドが決定していたが、ロケ地のカンボジアが政情不安定となり、撮影延期され、ムーア=ボンドは幻のものとなった)。

この作品からボンド・ムービーには欠かせないスキー・アクションがはじまることになりました。そして、何よりも、ボンドが唯一結婚する悲劇の妻テレサを演じるダイアナ・リグ(1938-2020)の存在感がすばらしい。

ルイ・アームストロングの歌う挿入歌「愛はすべてを越えて(We have all the time in the world)」は、シリーズの中でも屈指の一曲です。

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あらすじ

犯罪結社スペクターの首領ブロフェルドを2年にわたって追い続けるが見つけられないジェームズ・ボンド(ジョージ・レーゼンビー)は、究極の作戦であるベッドラム作戦を遂行するためポルトガルで活動していました。そんなある日の明け方、トレーシー(ダイアナ・リグ)という美しい女性が、ビーチで自殺を図ろうとしている姿を目撃し、彼女を救出するも、謎の集団に襲撃されてしまいます。

翌日、カジノで、トレーシーと再会するボンドは、大金を賭け、大負けし、お金が払えない彼女を助け、そんな危険な賭けを愛する姿に自分自身の姿を重ね合わせ、彼女に惹きつけられ、ベッドを共にします。翌朝、ボンドが目を覚ますと、そこには彼女の姿はすでになく、ただ立て替えたカジノチップが全額きっちりと置いてありました。

実はトレーシーは犯罪組織ユニオン・コルスのボスであるドラコの一人娘でした。ボンドは、ドラコの手下に拉致され、精神が不安定な彼女との結婚をドラコから頼み込まれます。ボンドは交換条件として、ドラコからブロフェルドの居場所を得ます。最初は、交換条件として、トレーシーと付き合っていたはずのボンドが、彼女の純粋無垢で一途な一面を見てしまい、すっかり惹きつけられていくのでした。

一方、ボンドが得た情報により、MI6は、スイス・アルプスの頂上に構えられたアレルギー研究所を装う秘密基地への諜報活動を計画します。そして、英国の爵位獲得に固執するブロフェルドを陥れる為に、爵位認定官ヒラリー卿に変装したボンドが送り込まれるのでした。

アレルギー研究所には12人の美女たちが居住していることを突き止めるボンドは、更に恐ろしい計画を知るのでした。それは催眠術で彼女たちを支配し、「死の天使」として世界中に殺人ウイルス=オメガウイルスをばら撒こうという壮大な計画でした。

しかし、正体がばれてしまい監禁されてしまったボンドは、隙をついて研究所から脱出します。雪山をスキーの技術を駆使し、大逃走劇を繰り広げるボンドは、あわやと言うところで、突然現れたトレーシーにより助けられるのでした。

そして、再び、スキーで二人は逃走するのですが、ブロフェルドによって起こされた雪崩に巻き込まれトレーシーは研究所に囚われました。

ドラコの協力を借り、トレーシー奪回とブロフェルドの計画阻止のために、再度、研究所に乗り込むボンドは、ボブスレーの死闘の末にブロフェルドを見事やっつけるのでした。そして、ボンドとトレーシーは本当に結婚することになりました。

しかし、その背後には、コルセットをつけたあの男の影が・・・

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ファッション・シーンに与えた影響


ジェームズ・ボンドをショーン・コネリーが五作品演じ上げた時点で、二代目ボンドを誰が演じようとも初代を超えることは絶対不可能でした。今でこそ、ジェームズ・ボンドは六代目まで継承され、ボンドとはそういうものだという認識が定着しているのですが、当時は、ボンド=コネリーであり、それ以外は存在し得ないものだったのです。

そんな中、アメリカン・ニューシネマやヒッピー・ムーブメント全盛の時代に七三分けでスーツを着たスパイを演じたジョージ・レーゼンビーが「ボンドムービーって、もう時代遅れでしょ?」と考えるのも至極当然のことだったのでした。

しかし、時代は過ぎ、21世紀の現在においてこの作品の価値は、最もスタイリッシュなボンド像を生み出した作品という評価が定着しています。そんな本作が、ファッション・シーンに与えた影響は、以下の一点でした。

  1. ジョージ・レーゼンビーという、ファッション・モデルがボンドを演じているような男が、140分間とくと見せてくれる〝スタイリッシュなボンドのすべて

とにかくこの八頭身ボンドは何をしてもスタイリッシュです。それはショーン・コネリー時代には、体現することができなかったスウィンギング・ロンドンの要素を遅ればせながらたっぷりと詰め込んだ、〝スウィンギング・ボンド〟の唯一無比な世界観を見せてくれる貴重なる作品とも言えるのです。

作品データ

作品名:女王陛下の007 On Her Majesty’s Secret Service(1969)
監督:ピーター・ハント
衣装:マージョリー・コーネリアス
出演者:ジョージ・レーゼンビー/ダイアナ・リグ/テリー・サバラス/アンジェラ・スコーラー/カトリーヌ・シェル