エスティ・ローダー

ビヨンド パラダイス (カリス・ベッカー)

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香水データ

香水名:ビヨンド パラダイス Beyond Paradise オード・パルファム
ブランド:エスティ・ローダー
調香師:カリス・ベッカー
発表年:2003年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:オレンジブロッサム、ヒヤシンス、グレープフルーツ、ベルガモット、レモン
ミドルノート:ガーデニア(クチナシ)、オーキッド、ジャスミン、ハニーサックル
ラストノート:ハイビスカス、プラム・ウッド、アンバー、アンブレット

エスティローダー ESTEE LAUDER ビヨンド パラダイス 50ml EDP SP 【香水】【あす楽対応商品】【ラッキーシール対応】

価格:7,623円
(2019/11/3 18:53時点)
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ルカ・トゥリン

★★★★★ フローラル・シンフォニー

香水を作ることが芸術になるのは、自然に何かを加えることができたときだけだ。フローラルの場合、たくさんのむずかしい技術的な問題が隠れている。まずクチナシ(ガーデニア)やスズランをはじめとする花々からはオイルが採れない。またローズのようにオイルが採れたとしても、実際の香りとはかなり違うものになる。つまりローズやスズラン、クチナシだけの香水を作ることはかなり難しい。それにいくらすばらしい成果でも、リアルな花の香水は人より蜂のものだ。女性は花の香りがするだけでは満足しない。抽象性こそがつねに、偉大な香水作りの魂だった。そして、抽象的なフローラルは、ひとつの花にしばられることなくさまざまな傑作を生みーー昔の「バンベール」や「ジョイ」のように、ジャスミンとローズが注意深く組み合わされて、輝かしい合唱の効果を得る。そこではひとつひとつの声は消えてしまう。一方、抽象性をアロマケミカルにゆだねるのはむずかしいが、おもしろい仕事だ。フローラルを分子の単位から作ることは膨大な組み合わせの化学だ。それはむずかしい定理のように副命題にわかれて行き、調香師たちによって検討され、しまいには材料の組み合わせのレベルまで絞られる。化学が調香師に与えた巨大な芸術の力はオリンポスの神々や妖精の名付け親の力に似て、いろいろな美点を受け継いだ性格を完成させるために、才能豊かな赤ん坊を育てることだ。スズランが、ローズのように草のように香る新鮮さ、端正な百合のきしみ、クチナシのマッシュルームの香り、マグノリアのレモン、イランイランのバナナ、バイオレットの深いウッディなベルベット、ローズの酔ったような甘さ、石けん風のシクラメンなどなど。これら分子の遺伝子を導いて、生き残らせ、しかも美しく作ることは、むずかしいことこのうえない。そのためには、全体と細部をともに見きわめられる目と鼻が要る。それぞれの分子は、トップノートからドライダウンまでの優雅なアークを形作るために、時間をずらしてほかの分子と結びつき、役割もそれぞれ違う。カリス・ベッカーの「ビヨンド パラダイス」は、似たような傑作ー彼女の「トミーガール」「ジャドール」(前者は真昼、後者は日没というところか)の後に登場し、完璧の域に達した。それは早朝の新鮮な朝の光が、宗教家エマーヌエル・スヴェーデンボーリが描いた、この世ならぬ庭園にふりそそいでいるようだ。その向こう側(ビヨンド)かどうかは知らないが、パラダイスに違いない。― ルカ・トゥリン

香水にとり憑かれた人は、わかっていながら実際に使う以上に買い集め、しょっちゅう横のドアから天国に入る。奇妙なもの、なかなか見つからないもの、値もつかないほどの宝、幻といわれるものを探し求める。彼らの心は(私もかつて)みんなに好かれる魅力的な抽象のフローラルを前にすると反応しなくなる。その代わり、こうした秘薬のコレクターがフローラルに求めるのは、読みやすさ。つまり、庭から採って匂いを嗅ぐことのできるもの。それからアンバランス。つまり、サイズが大きかったり、間違ったりで、注意をひきつけるもの。たとえば前衛的な洋服の、斜めのジッパーや、変わった場所にあるふくらみ。でも奇抜な趣向のフローラルのサンプルを試すうちに、大量のデータの中からひとつふたつ事実が浮かび上がった。まず、ルカが指摘するように、フローラルでバランスのいい抽象(具象ではなく)を達成する技術はとてもむずかしく、その方がずっとすばらしい。次にフローラルはその幻影を短時間しか保てず、薄くなったり、それぞれの部分に戻ったりしてしまう。立体芸術を置くときに、関係なさそうないくつかの部品が、ある角度から見ると単語のスペルだったり、絵になったりするように。ビヨンド パラダイスがすばらしいのは、風格のある、ゴージャスに新鮮な、想像の世界に咲く南国の花のポートレートがほとんどの花の美点をもっていて、そのイメージが数時間続くドライダウンに支えられていること。しかも制作時の頑固な完全主義やハードワーク(そうに違いない)を想像させず、ごく気楽な感じ。エキゾチックなフローラルの好きな人は、いつかローダーの売り場で、変てこなSF風虹の乳首ボトルを手にとって、ぜひトライしてみて。告白すると、私はビヨンド パラダイスをほとんど愛さずに尊敬している。それは香水のせいではなく、私のせいかも。かつて、華やかで美しいモーツァルトの曲をルカが心から楽しんでいる最中に、私は突然口走った。「ねえ、お兄さん、これヒップアクションがぜんぜんなってない!」。偏屈に思われるのを承知でいうけど、大好きな昔の「ジョイ」や「フラカ」には、ほとんど人格を現出させる力があった。しっかりと存在して、その袖に触れることができるような。結論としては、清潔過ぎるBP(ビヨンド パラダイス)スタイルのモダンフローラルには心を動かされない。完璧で美しいが、生きていないー手をのばしてみても、そこには誰もいない。― タニア・サンチェス

『「匂いの帝王」が五つ星で評価する世界香水ガイドⅡ』ルカ・トゥリン/タニア・サンチェス 原書房

香水についての解説

イギリスのコーンウォール州にある世界最大級の巨大温室エデン・プロジェクト(2002年の「007 ダイ・アナザー・デイ」のロケ撮影でも使用されている)の協力により、希少価値の高い5種類の花(エデンミスト、クレープジャスミン、マホニアジャポニカ、ゴールデンメラルーカ、ナタールプラムブロッサム)をブレンドした、幻想的なフルーティー・フローラルの香りです。

トム・フォードのフレグランスにより、今では伝説的なフレグランス・クリエイティブ・ディレクターのキャリン・コーリーの指揮の下、カリス・ベッカーにより調香されました。

「楽園の向こう側には」何があるのでしょうか?レインボーカラーのオリジナル・ボトルが象徴するのは、花びらだけ、葉っぱだけ、果実だけという自然の各々のものではない、共存する膨大な植物の空間の中で生み出される香りのハーモニーを、ただそのまま再現するのではなく、抽象的に芸術の領域にまで高めたところに、この香りの素晴らしさはあります。

まさに「ビヨンド フレグランス」という副題こそ相応しい、香りの向こうにあるべきものを教えてくれる香りです。

キャンペーン・モデルはスーパーモデルのキャロリン・マーフィー(1973-)です。そして、キャンペーン・ムービーの主題歌「ラブ・プロフュージョン」を歌っているのはマドンナでした(監督はリュック・ベッソン)。キャンペーン写真は、イネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディンによって撮影されました。

それにしても、この香りを日本のエスティローダーは売らずして何を売るんだと言うべきでしょう。間違いなく歴史的名香であり、カリス・ベッカーの最高傑作です。

恐らくこの香りこそが、グッチ・ブルームの原型なのでしょう。

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