カリス・ベッカー

カリス・ベッカー ジャドールを作った女帝

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カリス・ベッカー

Calice Becker 未公表、フランス・パリ生まれ。1999年に、「ジャドール」により、ディオールの香りの革命を起こす。1985年に、グラース最大の香りの学校ルールベルトランデュポン(現ジボダン・パーフューマリースクール)で学び、1994年に調香師としてクエスト・インターナショナルに入り、フランソワーズ・キャロンの師事を受けた。

2007年以降はジボダンがクエストを買収し、カリスはジボダンに入社することになる。そして、同年2007年よりキリアン・ヘネシーと共に、キリアンのフレグランスの大方を調香していくことになりました。2017年3月よりジボダン・パーフューマリースクールの校長に就任し、2019年5月には、フランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章しました。

代表作

ヴェルサーチ ディランブルー フェム (ヴェルサーチ)
ヴェルベットオーキッド (トム・フォード)
ジャドール (クリスチャン・ディオール)
トミーガール (トミー・ヒルフィガー)
ビヨンド パラダイス (エスティ・ローダー)
フォーハー フルール ムスク (ナルシソ・ロドリゲス)
マンダリーノ ディ アマルフィ (トム・フォード)
ラブ ドント ビー シャイ (キリアン)
ロラ (マーク・ジェイコブス)

カリス・ベッカーの全ての香水一覧

ジャドールを作った女性調香師


私は香りをレイヤードするという概念が大嫌いです。それはまるでブロックを宙に投げて、勝手に家を作ってくれということなのですから。

カリス・ベッカー(ニューヨーク・タイムズ)

1999年という世紀末に、クリスチャン・ディオールが香りの革命を始動しました。その香りの名を、「ジャドール」と申します。クリスチャン・ディオールのパルファム部門は、この成功により、息を吹き返し、以後、ミス ディオールの復権、フランソワ・ドゥマシーという専属調香師の起用という流れによって、現在の再興の時代へと突入していったのでした。そして、この「ジャドール」を調香した女性の名をカリス・ベッカーと申します。

洋ナシやピーチといったフルーティーな香りを使用し、生み出す官能的な香りは、今では彼女を「21世紀最高にエレガントな男が創造する香り」であるキリアンの専属調香師(実質的)の地位に君臨させているのです。

カリス・ベッカーは、ロシアから移民した両親の子として、フランス・パリに生まれました。両親は、古いロシアの習慣を頑なに守る人でした(サモワールで茶を沸かし、家の中にはたくさんのイコンが飾られていた)。

カリスが4歳のときに、風呂上りに母親にネロリのオーデコロンをかけてもらった瞬間、彼女は香水というものの虜になりました。「私はとても不思議に思いました。ボトルの中に花は存在しないのに、花の香りが存在するということに」。そして、香りというものに熱心な娘に、調香師という仕事が存在することを教えてくれたのが、この母親でした(ちなみに彼女はゲランのシャリマーを愛用していました)。

1985年に、グラース最大の香りの学校ルールベルトランデュポン(現ジボダン・パーフューマリースクール、1946年にジャン・カールによって創立され、世界中の香水の1/3はここの卒業生によって生みだされている)で学ぶことから、カリスの調香師への道ははじまります。

卒業後、女性であるというだけで、何件かの面接に落ちた末に、1994年に調香師としてクエスト・インターナショナルに入り、フランソワーズ・キャロンの師事を受けます。1997年にクエストのニューヨーク支部に転勤し、以後ニューヨークで生活することになります。

2007年以降はジボダンがクエストを買収し、カリスはジボダンに入社することになりました。そして、同年2007年よりキリアン・ヘネシーと共に、キリアンのフレグランスの大方を調香していくことになったのです。2017年3月よりジボダン・パーフューマリースクールの校長に就任し、2019年5月には、フランスの芸術文化勲章シュヴァリエを受章しました。

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キリアン・ヘネシーとカリス・ベッカー

若き日のカリス。

キリアン・ヘネシーとカリス・ベッカー。

イケメンすぎる貴公子キリアン・ヘネシー。

私は、香水は芸術であると考えます。香水というものは、ワイン愛好やオペラ鑑賞のように、謙虚に学びつつ、色々なモノに触れ合うことによって、より深い楽しみ方を知るものだと考えています。それは、ただ感覚だけに頼るのではなく、どうしてその香りが、あなた自身の感情を揺さぶったのかということを知ることなのです。そうすれば、おのずと上質なものとそうでないものの違いが見えてくるものなのです。

カリス・ベッカー

私の最も愛する香りは、クリスチャン・ディオールの「ディオリシモ」よと断言するカリス・ベッカーにとって、香りの創造の源は、音楽、絵画、彫刻のような芸術なのです。それは、画家であり彫刻家であった母親の影響がとても強かったらしく、カリス自身「私は母親にとても感謝しています。それは、ひとつの芸術を注意深く見ることの大切さを教えてくれたからです。」と回想しています。

まるで彫刻家が、大理石や木材から新しい創造物を生み出すように、画家が、パレットの様々な色を駆使して、影と奥行きを平面上に生み出すように、彼女は香水を創造するのです(ちなみにカリスが敬愛している芸術家は、ミケランジェロとルノワールです。そして、クラシック音楽なしでは生きていけないと豪語する彼女が最高に愛している映画はリュック・ベッソン監督の『グランブルー』なのです)。

ライチ、レザー、スズラン、ハニーサックル、ベルガモットが愛する香りだと言うカリスが、はじめて購入した香水は、16歳の時に母親が買ってくれた「デュレル」(1971)でした。

パリを愛する彼女にとって、至福の瞬間は、フランス西部にある別荘で過ごす家族とのひとときです。この瞬間、大自然の中で、農民のような生活を送り、乗馬を楽しむのです。彼女にとって、最愛の動物は馬であり、その匂いは、馬具を含めて香りのインスピレーションへと直結するのです。

ひとつの香りの創造に3ヵ月から1年を費やすという彼女は、常に4~8のプロジェクトを同時進行で抱えています。そんな彼女にとっての最高のボトルデザインは、ジャドールとレールデュタンとのことです。そして、彼女が最も崇拝する現役の調香師は、モーリス・ルーセルです(「彼は私にはないものを多くもっている」)。

21世紀の扉を開けた香りとも言えるジャドールを作った女性調香師カリス・ベッカー。そして、2007年以降、キリアン・ヘネシーと共に、世界中のイケてる男性と女性のハートを鷲掴みにしている彼女のことを、フランスではこう呼んでいます。「愛を液体にした女帝カリス・ベッカー」と。彼女こそが、愛を二酸化炭素抽出法で抽出し、ボトルの中に閉じ込めることが出来る世界で唯一の女性なのです。

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