エルメス

【エルメス】モンスーンの庭(ジャン=クロード・エレナ)

モンスーンの後の庭


エルメスの専属調香師ジャン=クロード・エレナは、ポール・セザンヌの「感覚を研ぎ澄まし、自然を読む」という言葉を念頭に、「庭園」シリーズを創造していると言う。そんな彼の手による、「地中海の庭」「ナイルの庭」に続く、エルメスの「庭園」シリーズ第三弾。それまで全二作が、アフリカ大陸ゆかりの香りだったのが、ここでは一転してユーラシア大陸の心臓部ともいえるインドをテーマにした香りとなりました。

インドには、さまざまな色彩、香り、音に満ち溢れています。それはまさにカオスです。調香師を職業とする私でさえも混乱させられるくらいです。そして、それがインドの魅力でもあるのです。

ジャン=クロード・エレナ

2回にわたりインドのケララ州を旅したエレナ(1回目は1週間、2回目は10日間)は、「ジンジャーと水」をベースに、そこで遭遇したモンスーンの後で、大地が静けさを取り戻していく姿を香りにしました(本当の名前は「モンスーンの後の庭」)。葉の上の水滴や湿り気を帯びた大地など、水を、植物として、<香りで翻訳してみたいという明確な意図で創られた香りです。

アーユルヴェーダ(世界三大伝統医学のひとつ)発祥の地であり、世界最大の香辛料の産地であるインドのスパイス貿易の中心だったケララは、観光地としても(特にヨーロッパ人に)人気が高い、年間の平均気温が28度から35度の熱帯海岸性気候の地です。

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香りのグリーン・レボリューション


天地がひっくり返るようなモンスーンの後に、大いなる大地の息吹に目覚め、再生されていく新緑の香りを表現した香り。それが「モンスーンの庭」です。スパイシーなオゾンノートから始まり、すぐにそれが消え、ジンジャーと水を中心とした大地に根ざした香りが浮き上がってきます。カラフルなフローラルのマルチカラーではなく、深みのあるグリーンで統一された〝前人未到の香り〟がそこにはあります。

ちなみにこの香水は、エルメスのフレグランス史上最大ともいえる失敗作と言われています。そのことに関してエレナ自身は、「恐らく、モンスーンというネーミングにも問題があったのでしょう。ヨーロッパ人にとってモンスーンとは、大災害を連想させるはずです。モンスーンではなく〝雨の後の庭〟という名にすべきでした」とコメントしています。

ルカ・トゥリンは『世界香水ガイド』で、「モンスーンの庭」を「フローラル・ペパー」と呼び、「斬新な「地中海の庭」と、気むずかしい「ナイルの庭」の次に発売された。」「中心のアコードはアイデアがすばらしく、皮膚につけると同時にすべてを味わえて、いちばん楽しめる。メロン、トウガラシ、ドライペッパーの実が、私の鼻に、矛盾を内包したフルーティノートとなって、ただの唐辛子とハバネロ唐辛子が区別できるほどにリアルだ。」

「エレナの技はここではほとんど教育的だ。香りを嗅ぐと、解説用のビデオ映像のように、構成がそれぞれに分かれノートは時間をずらして顔をのぞかせ、フレッシュでみずみずしい効果を繰り出しながらも、ずっと抽象的なままだ。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

香水データ

香水名:モンスーンの庭
原名:Un Jardin Apres la Mousson
種類:オード・トワレ
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2008年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/17,930円


トップノート:フローラル・ノーツ
ミドルノート:カルダモン、コリアンダー、ペッパー、ジンジャー、ジンジャー・フラワー
ラストノート:ベチバー、ロンゴザ

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