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【エルメス】ヴォヤージュ ドゥ エルメス(ジャン=クロード・エレナ)

エルメス
©Hermès
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ヴォヤージュ ドゥ エルメス

原名:Voyage d’Hermes
種類:オード・トワレ
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:35ml/13,860円
公式ホームページ:エルメス

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香りに導かれる〝エルメスの旅〟

©Hermès

地中海の庭」の成功により、2004年にジャン=クロード・エレナエルメスの初代専属調香師に就任することになりました。

そして、2006年にエルメスにおいてはじめてのメンズ・フレグランス「テール ドゥ エルメス」を発表しました。さらに、翌2007年にははじめてのウィメンズ・フレグランス「ケリー カレーシュ」を発表し、両方とも大好評を得たのでした。

その勢いで、2010年3月に生み出したオリジナル・フレグランス第三弾は、ユニセックスの香りとして〝旅〟をテーマにした「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」でした。

その名の意味はずばり〝エルメスの旅〟です。日常の中で、疲れ、自信を失い、当惑している時に、ふと旅に出ることが出来たなら?と考えるのは、人間の本能です。しかし、今日もまた昨日と同じ一日を過ごさなければならないという事実。

旅によって生み出される、人間の新たなる一面を呼び覚まし覚醒させる効果を、一介のフレグランスが、生み出しうるのかという神話に挑戦した香りです。

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秀逸なエリック・ヴァリの広告イメージ

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エリック・ヴァリ ©Eric Valli

エルメスが作る商品のように、この広告は純粋な欲望よりも深いレベルで共鳴することを意図しています。語るべきストーリーや感情を決して見失ってはいけないのです。人々に届くのは感情であり、完璧なショットではないのです。

エリック・ヴァリ

2009年と2010年のエルメスの年間テーマは、〝美しき逃避行〟と〝語り継がれる物語〟でした。このふたつのテーマを結びつけて生み出した香りが、〝新たなる冒険が生み出す出会い〟の香り「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」なのです。

この香りのイメージは、ナショナルジオグラフィックで活躍しており、アフガニスタン、チベット、ネパールの人々を何十年にもわたって記録してきたフランスの伝説的フォトグラファーであるエリック・ヴァリによるこのヴィジュアル・フォトが示しています。

馬と白い鳩が、パリの石畳の道から峡谷、流氷、海まで、息を呑むような地形を疾走し、最後にはひとつの場所で出会うのです。

馬は男性を象徴しており、白い鳩は女性を象徴している。そして、ふたつが出会うとき、新しいものがたりがうまれ「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」がはじまるのです。

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エルメス、ものがたりに生きる

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私は緊張感のある香水を作りたいと考えていました。まるで長いゴムを引っ張っているような、綱渡りのためのピンと伸びた綱のような緊張感のある香りをです。それがこの香りです。

ジャン=クロード・エレナ

〝エルメスの旅〟は、酸っぱいレモンとジュニパーベリーのマリアージュが生み出すスパークリングするジン・フィズのような香りからはじまります。そして、背後には、最初から最後まで、航海を連想させる海風とミネラル、ブラックペッパーの香りが漂っています。

すぐにコールドスパイスであるカルダモンとジンジャー、ドライなシダーウッド(イソEスーパー)が、ビターなジン・フィズに香り豊かに溶け込んでゆきます。

レモンが静まるに従い、ヘディオンの甘さが存在感を増します。これほどに美しいカルダモンに遭遇したことがあるでしょうか…と自分の胸に問いかけたくなるほど、とろけてそそる甘い香りを解き放ってゆきます。

やがて、甘やかなホワイトムスクとクリーミーなサンダルウッドの香りみちびく先に流れるティー(緑茶ではなく紅茶)の、ほのかにスモーキーなレザーの余韻に包まれながらカルダモンは、フィグやグリーンマンゴーを感じさせる最後の航海に乗り出してゆくのです。

この〝エルメスの旅〟とは、「エルメス専属調香師ジャン=クロード・エレナの旅」とも言えます。それは彼が2004年より生み出してきたそれぞれの香りに寄港していくように、過去の香りが素肌の上に蜃気楼のように浮かび上がるのです。

非常にユニークなシルバーの回転式ボトルのボトル・デザインは、特別に旅行用としてヴィンテージの携帯用ルーペからインスパイアされ、エルメス専属のプロダクト・デザイナー・フィリップ・ムケによりデザインされました。

どのような香りが成功するのか私にもまったく分かりません。例えば私が自信を持って生み出した「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」はそれなりに売れていますが際立ってはいません。

一方「テール ドゥ エルメス」はびっくりするほど売れています。いい香水ですが、私のベスト香水ではありません。

ジャン=クロード・エレナ

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作品データ

香水名:ヴォヤージュ ドゥ エルメス
原名:Voyage d’Hermes
種類:オード・トワレ
ブランド:エルメス
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2010年
対象性別:ユニセックス
価格:35ml/13,860円
公式ホームページ:エルメス


トップノート:アマルフィ・レモン、カルダモン、アンジェリカ、ジュニパーベリー
ミドルノート:ティー、フローラル・ノート、グリーン・ノート
ラストノート:シダーウッド、サンダルウッド、ホワイトムスク

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パルファム版について

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2012年には「ヴォヤージュ ドゥ エルメス」のパルファム版が発売されました。EDT版にローズとアンバーを付け加えた香りとなっています。

パルファム版の〝エルメスの旅〟は、より優雅に華やかに冒険心豊かに、女性と男性の境界線を行きつ戻りつする香りになっています。酸っぱくもシャープなレモンとジュニパーベリーのマリアージュが生み出すスパークリングするジン・フィズのような香りからはじまります。そして、すぐにカルダモンとブラックペッパーが加わります。

やがて、ジン・フィズの中のレモンのきらめきと入れ替わるように、ティーが注がれ、ローズの輝きが解き放たれていくのです。ヘディオンとムスクは、ローズをよりふくよかなものとし、とろけてそそる甘い香りで全体を包み込んでゆくのです。

そして、パルファム版の醍醐味とも言えるジン・フィズがドライジンに変わる瞬間を素肌で体感する時がやって来ます。温かくも甘くて香ばしいオレンジのようなアンバーとミルキーなサンダルウッドがカルダモンと溶け合いながら、肌の上を滑らかにすべるように広がっていくのです。

EDT版が、明るく爽快なレモンからはじまる〝太陽に愛されるエルメスの旅〟であるなら、こちらは、温かいローズとアンバーが主役の〝太陽が沈んだ後のエルメスの旅〟と言えます。

ヴォヤージュ ドゥ エルメス パルファム

原名:Voyage d’Hermes Parfum
調香師:ジャン=クロード・エレナ
発表年:2012年
価格:35ml/15,730円
公式ホームページ:エルメス


トップノート:カルダモン、レモン、ジュニパーベリー
ミドルノート:ティー、グリーンノート、ローズ、ヘディオン
ラストノート:ウッディノート、ムスク、アンバー、サンダルウッド