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『007/ゴールドフィンガー』Vol.3|ショーン・コネリーとハロルド坂田

ジェームズ・ボンド
ジェームズ・ボンド
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空飛ぶギロチン・ハットを持つ男・オッドジョブ

この作品で、一際目立つファッション・スタイルとして記憶されるのが、ハロルド坂田(1920-1982、日本名は西田敏行と一文字違いの坂田敏行)が演じるゴールドフィンガーの用心棒オッドジョブの最初から最後まで同じ服装のスタイルです。アルカイック・スマイルと共に、西洋風の執事ファッションに身を固め、ここまで似合う東洋人もなかなかいないはずです。セルジオ・レオーネの西部劇に出てくる墓堀人のようでもあります。

それは178cmの長身と、シルバーメダリスト(ロンドン五輪、重量挙げ、アメリカ代表)として鍛え上げた肉体がベースにあればこそです。基本的に東洋人男性がスーツが似合わないのは、体格の貧相さによる部分が大きく、実際に海外で生活してみると実感させられるのですが、体格が貧弱な西洋人も同じくスーツ(ただし、ディオールオム・スタイルのスーツは別)が似合いません。

結局のところ、スーツが似合うかどうかの一番の鍵は、鍛え上げられた肉体なのです。

オッドジョブの存在が魅力的なのは、一切話さないことにより生み出される様式美にあります。ボンド・ムービーにおける魅力的な悪役の法則は、良くしゃべる悪の首魁と、無口で不敵な面構えの用心棒をいかに配するかによります。

ジョーズと双璧をなすボンドムービー屈指の悪役。

空飛ぶギロチン・ハットの構造を見よ!

1948年にロンドン五輪で、重量挙げのライトヘビー級で銀メダルを獲得しています。

ハロルド坂田。1920年生まれのホノルル生まれの日系アメリカ人のプロレスラーです。

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オッドジョブの英国式執事ルック

オッドジョブ・スタイル
  • 山高帽、ツバに刃物。通称〝空飛ぶギロチンロックアンドコー
  • 黒のノッチドラペル・ジャケット(3つボタン)&ベスト(5つボタン)、ベントレス
  • ウイングカラーの白シャツ
  • 細身のシルクの黒ネクタイ
  • グレーのストライプパンツ
  • 黒のダービーシューズ

オッドジョブ(役柄は朝鮮人)とゲルト・フレーベ演じるゴールドフィンガー。

この撮影で、ショーン・コネリーはゴルフにはまるようになりました。すごく仲の良さそうな三人。

巨漢に囲まれ小さく見えるが、178cmあります。

オッドジョブがいたからこそ、本作は屈指のボンドムービーとなりました。

サングラスが自然に似合うハロルド坂田。

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女はいつも、男らしさとの対比を渇望している。

撮影の合間に、ゴールドフィンガーと仲良く談笑するJB。

スイス・アルプスのフルカ峠。

生地感がよく伝わる写真です。

本作においてジェームズ・ボンドははじめてスーツにニットタイをあわせています(前二作品は、グラナディンタイを着用)。ニットタイとは、20世紀初頭に登場したシルクやウール、コットンで編み上げたネクタイです。

主に、カジュアルシーンで使用される類の「軽やかさ」を演出するネクタイでしたが、フォーマルなスーツに、濃厚な単色使いのニットタイで、男のダンディズムを体現しつつも、ボンドらしい「オトナのオトコの懐の広さ」を醸し出しています。

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ジェームズ・ボンド・スタイル7

ブラウン・スーツ
  • テーラー:アンソニー・シンクレア
  • ブラウン・コーンツイード・ハッキングジャケット(乗馬用上着)、2ボタン、シングル、ナロー・ノッチラペル、シングルベント(同じジャケットが次作『サンダーボール作戦』で登場する)
  • ライトブラウン・トラウザー、サイドアジャスター
  • フランク・フォスター、ライト・エクリュ・ボタンダウン・ドレスシャツ
  • ライトブラウン・ニットタイ
  • ダークブラウン・スウェード・ダービーシューズ
  • ロレックス、サブマリーナー6538

元々復員兵のためにスーツを仕立てていたアンソニー・シンクレアらしい、体格の良さが際立つテーラードジャケットです。

ツイードの生地感がよく分かる写真です。

スイスの自然と、美しいクラシックカーの対比。ボンドムービーとは対比の美学です。

ジャケット、タイ、トラウザーの見事なカラーバランス。

今でも十分通用するアースカラーの妙です。

全身の雰囲気がよく分かる写真。

とても大掛かりな撮影であることがよく分かります。

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ボンドムービーには、『オトコの浪漫』が詰まっています。

ショーン・コネリーと、メイン・ボンドガール、オナー・ブラックマン。

映画史上初めて登場するレーザー光線から危機一髪で逃れ、(21世紀の感性で見ても)超絶カッコいいアストン・マーティンDB5を乗り回し、オープンカーに乗る美女と風光明媚なスイスでカーチェイスを繰り広げ、颯爽と色々なスーツと美女と美食に囲まれ、寝室には全身金色の美女の死の接待を受け、最後は、とてつもなく大きな犯罪を企む悪党をやっつける。

そして、なかなか落ちそうになかった美女とのワンナイト・ラブを勝ち取り、「The End」マークへと導いてくれるボンド君。

女性にとってのジェームズ・ボンドとは、「男ってホントに美女を見ると鼻の下を伸ばしてバカよね」と笑って済ませることの出来るシンボルなのです。そんなバカな男の代表選手であるJBを見て、世界中の男たちは、「オトコの中のオトコ」だと憧れるのです。

つまり、本当に魅力的なオトコとは、「いつまでたっても、まじめな表情で、全身黒づくめ姿で秘密基地に侵入する」ことが出来る男なのです。モテる男の鉄則。それは女性が鼻で笑いかねないことを堂々と継続できることなのです。

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ジェームズ・ボンド・スタイル8

オールブラック・スタイル
  • 黒ニットポロシャツ、3つボタン
  • ブラック・メリノウール・Vネック・ロングスリーブ・セーター(重ね着)
  • 黒ウール・トラウザー
  • ブラックレザー・プレイン・トウ・アンクルブーツ
  • ロレックス・サブマリーナー6538

ダニエル・クレイグのポロ・スタイルの源流。

ボンドスタイルとは、ポロシャツに革靴の美学。

007危機一髪!

ボンドムービー初のオールブラックスタイル=「忍び」スタイル。

初代ボンドのダンディズムがよく伝わってくる写真。

作品データ

作品名:007/ゴールドフィンガー Goldfinger (1964)
監督:ガイ・ハミルトン
衣装:エルサ・フェネル
出演者:ショーン・コネリー/オナー・ブラックマン/ゲルト・フレーベ/シャーリー・イートン/タニア・マレット