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【ルイ ヴィトン】コズミック クラウド(ジャック・キャヴァリエ)

ジャック・キャヴァリエ
©LOUIS VUITTON
ジャック・キャヴァリエブランドルイ・ヴィトン調香師香りの美学
この記事は約14分で読めます。

コズミック クラウド

原名:Cosmic Cloud
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/77,000円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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「レ・ゼクストレ コレクション」=究極のルイ・ヴィトンの香り

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

©LOUIS VUITTON/ Florian Joy

ルイ・ヴィトンジャック・キャヴァリエを専属調香師にしたのは、2012年1月のことでした。そして、2016年9月15日、約70年ぶりにルイ・ヴィトンの香水「レ パルファン ルイ ヴィトン」が発売されることになりました。

それから5年の月日が流れ、ルイ・ヴィトンとキャヴァリエが、5周年の節目にあたり、新たなる船出の始まりとして2021年10月7日に最高級コレクションである「レ・ゼクストレ コレクション」を発表したのでした。

このコレクションの誕生のきっかけは、2014年10月にフランク・ゲーリー(1929-)のデザインにより、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)がパリに開館したことでした。建築界の巨匠とルイ・ヴィトンの間で接点が生まれたこの時、ルイ・ヴィトンの専属調香師としてキャヴァリエは3年目の冬を迎えようとしていました。

そんな二人が、コラボレーションを決めたのは、2019年のことでした。それは90歳を迎え、なおも新しい創作に意欲を燃やす、〝生きる伝説〟が香りの巨匠の手を借りて生み出した史上初めての〝見えない建築物〟なのでした。

香りがはじめて現代アートの領域に踏み込んだ〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟とも言えるこの5種類の香りは、通常のルイ・ヴィトンの香水(100ml 38,500円)の2倍の77,000円の価格がつけられています。

それは30%の賦香率(香料の濃度)というパルファンの濃度の越えたエクストレ・ドゥ・パルファンを、点付けでなく、スプレー仕様で生み出した画期的な香りでした(ちなみにパルファン ド コローニュは12%、通常ラインは15%)。

エクストレをスプレー仕様にするために、キャヴァリエは30年間の調香師としてのキャリアを全て注ぎ込み、肌との相性が良い天然香料を厳選し、ブレンドしました。そして、肌の上で、新たなる生命の息遣いを生み出すように、濃度の高い香料を使用しながら〝蝶のように舞い、蜂のように刺す〟つまりは、「持続性があるにも関わらず、強くなく儚げな印象さえ覚えるくらいに軽やかで柔らかく、そして穏やかな香り」を考案したのでした。

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ガラスの帆船に乗って、ルイ・ヴィトンの幻想の香りの旅へ

フォンダシオン・ルイ・ヴィトン © Fondation Louis Vuitton / Iwan Baan

©LOUIS VUITTON

「レ・ゼクストレ コレクション」という〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟を理解するために必ず知っておかなければならないこと。それはフランク・ゲーリーのデザインにより、2014年10月に開館したフォンダシオン・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)という巨大建造物についてです。

ガラス3600枚を使用したというこの〝空に浮かぶガラスの帆船〟こそが、このコレクションのインスピレーションの最大の源なのです。そして、あなたはこの〝ガラスの帆船〟に飛び乗り、ルイ・ヴィトンが生み出す空想の旅へと出発するのです。

それは、それまでの香水の調香における常識を飛び越え、「トップノート、ミドル(ハート)ノート、ラスト(ベース)ノートをなくすことで、各香調の真髄を浮かび上がらせた」(ジャック・キャヴァリエ談)香りなのです。

この香りのヴィジュアルが必ず浮遊しているのは、〝空に浮かぶガラスの帆船〟から見た幻想の香りだからです。そして、世界中のブティックにおいて並びが決まっているのも、この香りにはれっきとした物語が存在するからなのです。つまり〝空に浮かぶ空想の船〟の旅は、左から右に進行してゆくのです。

世界中に、恋愛、世界紀行、東洋の神秘、大自然をテーマにした香りは沢山あるのですが、意外なことに、幻想的な世界観をテーマにした香りはなかなかありません。このコレクションは、そんな幻想的な世界観をテーマとして取り上げた画期的な香りです。

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もし空に浮かぶ雲に、香りがあれば・・・どんな香りだと思いますか?

M様のイメージするこの香りの画像。

まず最初に、現役のルイ・ヴィトン神戸店のフレグランス・スペシャリストM様による「コズミック クラウド」の説明をここにノーカットでご紹介させて頂きましょう。以下M様のお言葉です。

私は「コズミック クラウド」のご紹介をする時、ムエットに香りを出す前に一呼吸おいてお客様へ『もし空に浮かぶ雲に、香りがあれば・・・どんな香りだと思いますか?』とお聞きするようにしています。

ダンシング ブロッサム」をしっかりご説明し、この〝レ・ゼクストレ〟に≪物語≫がある事を感じていただいた上で、まだこれから空に舞い上がっていく旅の途中である事を感じて頂きながら、「コズミック クラウド」のご紹介へと移っていくのです。

空へと舵を進めていくと…ふわ~っと、目の前に真っ白な雲が浮かびあがります。『さあ、その雲に覆われた瞬間、どんな香りがするのでしょうか?』とお客様に問いかけます。もう、それだけでお客様もイメージを膨らませながら次の香りはどんな香りかな?とワクワクしてくださいます。

そして、ムエットで香っていただいた時に『ジャック・キャヴァリエが思い描く雲とはこんな香りなんです』とお伝えするのです。

〝雲の香りってこんな香りかな〟とイメージして頂きながら、『雲の上でうたた寝ができるなら・・・と誰もが一度は見る夢をこの香りが叶えてくれる、そんな心地よさや懐かしさ、幼い時の無垢な真っ白な気持ちを思い出させてくれるような香りです』と、香りのストーリーをお伝えします。

M様のイメージするこの香りの画像。『スリーピング・ビューティー』ハロッズ・クリスマス・ディスプレイ、エリーサーブのドレス、2012年。

「コズミック クラウド」の香り立ちはトンカビーンで、香った瞬間に〝空に浮かぶ雲〟を五感で感じさせてくれます。その後に緩やかに香りが落ち着いてきて、夢と現実が心の中で、行き来する白昼夢のような優しくて穏やかな余韻=ムスクが包み込んでくれるのです(ロマンティックで幻想的、そして、白昼夢にまどろむというイメージ)。

ムスクといえばジャック・キャヴァリエ、ジャック・キャヴァリエといえばムスク、と言っても過言ではないのですが、それは、かつて彼が香調の一つであるムスキーノートに新しい概念を創り出したからでした。

M様のイメージするこの香りの画像。風で揺れる“動き”から、白いレースなどが舞っているようなイメージ ©NYC Dance Project

この香りの〝ムスク〟によりジャックが表現したかったのは、ただ残香性を高める為のムスクという存在ではなく、人肌のような温かさや、包み込んでくれる安心感、〝重さ〟を感じずに〝奥行き〟を出すような、立体的で円やかな〝愛する人肌に包まれる安らぎ=癒されムスク〟だったのだと私は感じています。

かつてジャックが生み出したムスクの名香「ブルガリ プール オム」を改めて振り返りながら生み出されたこの「コズミッククラウド」は、ある意味、ジャックにとっての〝過去への旅〟そして、〝過去が導く、新しい旅=不思議な浮遊感〝なのかもしれません。

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ムスクの魔術師が生み出した〝ムスクを超えたムスク〟

©LOUIS VUITTON

「コズミック クラウド」では、新しいフレグランス分類(Olfactive Family=香調)の創造を試みました。それは美しいムスクの成分に対する賛辞であり、アンブレットと呼ばれる天然ムスク以外は、全て合成ムスクで構成されています。

私はそれらをブラックカラント(カシス)とトンカビーンと混ぜました。攻撃的でなく、光と輝きに満ちています。

ジャック・キャヴァリエ

ダンシング ブロッサム」の次に〝空に浮かぶガラスの帆船〟がその花々に手を取り導かれてたどり着いた世界。それは「コズミック クラウド」ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のような〝食べることが出来るふわふわとした綿菓子の雲〟の世界です。

光明と静謐のかの天空の世界は、先ほどの世界からは一転して、一切の花々が存在しないのです(つまりこの香りには一切のフローラルの要素が存在しない)。

ここで「ブルガリ プール オム」(1995)以降、〝ムスクの魔術師〟と呼ばれるようになったジャック・キャヴァリエは、あらゆる制約を飛び越えた『究極のムスクの香り』を生み出そうと考えたのでした。

「ブルガリ プール オム」の歴史的な偉大さは、ムスク=アニマリックなムスクというイメージを一新し、ムスク=ホワイトムスク=心地良いムスクというイメージを人々に植え付けたところにあります。

そして、その総決算として、かなり希少かつ高価な天然の植物性ムスクを駆使し生み出されたのが「コズミック クラウド」なのです。それは存在の耐えられない軽さを持つムスクに、人肌を通して三つの言葉を語らせました。

  1. 〝幻想的なイリュージョン〟いい夢が見れる。
  2. 〝幼き日の思い出を呼び覚ます〟甘いお菓子の様々な側面を詰め込めるだけ詰め込む。
  3. 〝身を任せ、溺れるように愛させる〟

つまり、この香りでジャック・キャヴァリエが到達したゴールそれは、雲のようにふんわりと捉えどころのないムスクによって、溺れるように身を任せる香りを生み出すということでした。

世界の香水市場に存在するあらゆるスキン・フレグランスの『最終形態』とも言えるのが、「コズミック クラウド」なのです。一言で言うとこの香りは「ムスクを超えたムスク」なのです(もっと言うと、キャヴァリエがキャヴァリエ自身を超えた香り)。

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存在の耐えられない軽さを持つムスク

©LOUIS VUITTON

そんな『究極のムスク』の香りは、ペルー産ニオイトロロアオイ(ハイビスカスの一種)から得られる種子アンブレットシードから二酸化炭素抽出したアンブレットアブソリュートという植物性ムスクを中心に、フルーティ・ムスクの渦巻く星雲に身を任せるように全身で味わうように楽しんで頂ける香りです。

ちなみにアンブレットアブソリュートは、洋ナシの香りがアクセントとなる、パウダリーかつフルーティーな香りが特徴です。

それはルラボの「ガイアック10」のように10回近くプッシュするべき香りであり、史上最高峰のスプレーの品質(特許を取得しているほど)を誇るルイ・ヴィトンのボトルから解き放たれるというだけでもどれだけ稀有なムスクの香り立ちになるか想像して頂けるはずです。

そして、すぐにフルーティ・ムスクの星雲の中に、ベルガモットとブラックカラントが煌く星屑の様な存在感を与えてゆくのです。さらにチョコレートパウダーのようなトンカビーンもブレンドされ、甘い甘い美味しいものをたくさん与えてくれる、無償の愛のような綿菓子の雲がたくさん生み出されてゆくのです。

何よりも素敵なのは、パチョリが生み出すシプレ効果です。これこそがこの香りがただのスイート・グルマンで終わらない、幻想的なイリュージョンを生み出す導火線に火をつける役割を果たしてくれているのです。

このシプレは強くは感じさせないのですが、次の旅である「ラプソディー」への前奏曲の役割も果たしています。この香りに包まれて夢見心地でまどろんでいたら、いつしか「ラプソディー」の香りにたどり着いていた。もしくは、この香りの余韻には「ラプソディー」への入り口が見えるのです。

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グルマンでありスキンフレグランスである。

ジャック・キャヴァリエと自分が生み出した名香たち。

「コズミック クラウド」は香り立ちがグルマンな、スキンフレグランスです。しかし、スペシャリストの皆様が、最後の「ステラー タイムズ」まで香りを一通り紹介し、香り直した時に〝あれ?こんなに優しい香りだったのかな?〟と思う程、とってもまろやかで優しい香りになります。

それが、恐らく今回こだわったジャック・キャヴァリエの『ムスク』が生み出す効果なのでしょう。

甘い綿菓子のような雲に香りがあったら…そしてその雲の上で微睡むことができたら…そんな誰もが一度は叶えてみたかった夢を香りで表現した香り。それは時間が経つと甘さよりも安心感や穏やかさ、純白のシルクのシーツに包まれているような心地よさを感じるムスクの香りに変わっていくのです。

少し、メゾン マルジェラの「レイジーサンデーモーニング」(ルイーズ・ターナー)を思い起こさせるところもあります。こちらはグルマンではないものの、白いリネンに身を包んでいる時の清潔感やソフトな印象をイメージさせるムスクの香りです。

「コズミック クラウド」は、「ブルガリ プール オム」と同じくらい「オ パフメ オーテブラン」のとてもデリケートな純白の優しい香りが特徴的であり、そんなジャック・キャヴァリエが創る心地よい〝スキンフレグランス〟の集大成とも言えます。

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フランク・ゲーリーが発表したランプ「クラウド」

©BELUX

©BELUX

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2005年にフランク・ゲーリーが発表したランプ「クラウド」がこの香りの着想源のひとつです。思わず食べたくなる存在感がこの香りとの共通点です。

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「コズミック クラウド」を男性が纏うと・・・


ルイ・ヴィトンのフレグランスは、基本的にウィメンズとメンズに分かれているのですが、「レ・ゼクストレ コレクション」は、ジェンダーで分け隔てなく作られています。つまりジェンダーも超越した寛容な香りだと言えます。

「コズミック クラウド」を男性が纏うと〝温かさ〟を感じさせ、人肌のような安心感を与えてくれる印象を生み出してくれます。

女性が纏う場合、白雪姫のような可憐でフワフワとした愛らしい香りの印象となりますが、男性が纏うと清潔感のある純白のイメージに優しく穏やかな温もりを感じさせてくれるのです。

そして、疲れた時に甘い物を食べたくなるように、男女共にグルマンな香りは心を解きほぐしてくれる安心感を与えてくれます。だから〝周りの人にどう思われるか?〟と考える身だしなみの香りとしてではなく、自宅などで自分の心のサプリメントとして、手元に置いておくと心強いパートナーになり得る香りとも言えます(ひとつで二度おいしい香り)。

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「シンフォニー」とのレイヤリング

©LOUIS VUITTON

レイヤリングにおいて、賦香率はさほど気にする必要はありません。レイヤリングとは基本的にそれ自体が自由な物であり、重要なことは最終的に『どのように香らせたいか?』ということです。

だから高い賦香率のものは膝から下に、軽やかな賦香率のものはウエスト両サイドやショルダーライン、肘下につける(詳しくは【ルイ・ヴィトンのフレグランスの正しい使い方】をご参照ください)。高い賦香率の香りはゆっくり上半身に昇り漂うので、上半身の香りと〝混ざる〟のではなくオーラが幾重にも重なるようなイメージで香らせる事ができます。

さらに先に上半身につけた軽やかな香りは膝下につけた高賦香率の香りよりも早く香りが抜けていくので、膝下の香りのベースは残したまま、1日の中で上半身だけ香りを着替えることもできます。

「コズミック クラウド」の甘く幻想的な香りにおすすめのレイヤリングは、「シンフォニー」です。「シンフォニー」が持つ〝シトラスの概念を超えた優しくおおらかなシトラス〟が、「コズミック クラウド」の白い雲をゆっくりと大空を運ぶ優しい風を吹かせてくれているように合います。

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香水データ

香水名:コズミック クラウド
原名:Cosmic Cloud
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/77,000円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


シングルノート:ブラックカラント、パチョリ、ベルガモット、ベネズエラ産トンカビーン、ペルー産アンブレットシード

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