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【ルイ ヴィトン】ダンシング ブロッサム(ジャック・キャヴァリエ)

ジャック・キャヴァリエ
©LOUIS VUITTON
ジャック・キャヴァリエブランドルイ・ヴィトン調香師香りの美学
この記事は約13分で読めます。

ダンシング ブロッサム

【特別監修】カイエデモードが崇拝するフレグランス・スペシャリスト様

原名:Dancing Blossom
種類:エクストレ・ドゥ・パルファン
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/77,000円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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「レ・ゼクストレ コレクション」=究極のルイ・ヴィトンの香り

©LOUIS VUITTON / Florian Joy

©LOUIS VUITTON/ Florian Joy

ルイ・ヴィトンジャック・キャヴァリエを専属調香師にしたのは、2012年1月のことでした。そして、2016年9月15日、約70年ぶりにルイ・ヴィトンの香水「レ パルファン ルイ ヴィトン」が発売されることになりました。

それから5年の月日が流れ、ルイ・ヴィトンとキャヴァリエが、5周年の節目にあたり、新たなる船出の始まりとして2021年10月7日に最高級コレクションである「レ・ゼクストレ コレクション」を発表したのでした。

このコレクションの誕生のきっかけは、2014年10月にフランク・ゲーリー(1929-)のデザインにより、フォンダシオン・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)がパリに開館したことでした。建築界の巨匠とルイ・ヴィトンの間で接点が生まれたこの時、ルイ・ヴィトンの専属調香師としてキャヴァリエは3年目の冬を迎えようとしていました。

そんな二人が、コラボレーションを決めたのは、2019年のことでした。それは90歳を迎え、なおも新しい創作に意欲を燃やす、〝生きる伝説〟が香りの巨匠の手を借りて生み出した史上初めての〝見えない建築物〟なのでした。

香りがはじめて現代アートの領域に踏み込んだ〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟とも言えるこの5種類の香りは、通常のルイ・ヴィトンの香水(100ml 38,500円)の2倍の77,000円の価格がつけられています。

それは30%の賦香率(香料の濃度)というパルファンの濃度の越えたエクストレ・ドゥ・パルファンを、点付けでなく、スプレー仕様で生み出した画期的な香りでした(ちなみにパルファン ド コローニュは12%、通常ラインは15%)。

エクストレをスプレー仕様にするために、キャヴァリエは30年間の調香師としてのキャリアを全て注ぎ込み、肌との相性が良い天然香料を厳選し、ブレンドしました。そして、肌の上で、新たなる生命の息遣いを生み出すように、濃度の高い香料を使用しながら〝蝶のように舞い、蜂のように刺す〟つまりは、「持続性があるにも関わらず、強くなく儚げな印象さえ覚えるくらいに軽やかで柔らかく、そして穏やかな香り」を考案したのでした。

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ガラスの帆船に乗って、ルイ・ヴィトンの幻想の香りの旅へ

フォンダシオン・ルイ・ヴィトン © Fondation Louis Vuitton / Iwan Baan

©LOUIS VUITTON

「レ・ゼクストレ コレクション」という〝究極のルイ・ヴィトンの香り〟を理解するために必ず知っておかなければならないこと。それはフランク・ゲーリーのデザインにより、2014年10月に開館したフォンダシオン・ルイ・ヴィトン(ルイ・ヴィトン財団美術館)という巨大建造物についてです。

ガラス3600枚を使用したというこの〝空に浮かぶガラスの帆船〟こそが、このコレクションのインスピレーションの最大の源なのです。そして、あなたはこの〝ガラスの帆船〟に飛び乗り、ルイ・ヴィトンが生み出す空想の旅へと出発するのです。

それは、それまでの香水の調香における常識を飛び越え、「トップノート、ミドル(ハート)ノート、ラスト(ベース)ノートをなくすことで、各香調の真髄を浮かび上がらせた」(ジャック・キャヴァリエ談)香りなのです。

この香りのヴィジュアルが必ず浮遊しているのは、〝空に浮かぶガラスの帆船〟から見た幻想の香りだからです。そして、世界中のブティックにおいて並びが決まっているのも、この香りにはれっきとした物語が存在するからなのです。つまり〝空に浮かぶ空想の船〟の旅は、左から右に進行してゆくのです。

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空中庭園を舞う四季の花々が織り成すファンタジー

©Disney

世界中に、恋愛、世界紀行、東洋の神秘、大自然をテーマにした香りは沢山あるのですが、意外なことに、幻想的な世界観をテーマにした香りはなかなかありません。このコレクションは、そんな幻想的な世界観をテーマとして取り上げた画期的な香りです。

ダンシング ブロッサム」それは〝空に浮かぶガラスの帆船〟に乗船したあなたがはじめに遭遇する世界。それは四季の花々がそれぞれ「ようこそ」とおじぎをして挨拶しているかのように、ジャスミン、ローズ、オスマンサス、チューベローズの花びらが代わる代わる舞い落ちる〝空中庭園〟の世界です。

それはまるで『眠れる森の美女』の3人の妖精から贈り物が与えられる瞬間のようです。一つ一つの花の妖精たちが、ふんわりと軽やかに肌の上に着地し、オルゴールがくるくるとまわり、きちんと手を取り合ってロンドのようにいつまでも美しいハーモニーを感じさせながら挨拶してくれるのです。

つまり、現実では一斉に咲く姿を見ることなどできない四季の花々が、手に手を取って優雅にワルツを踊りながら空へ舞い上がるような香りなのです。

ここで四種類のメイン香料について分析してみましょう。

  1. 二酸化炭素抽出法によるグラース産メイローズ(多くの花弁を持つローズであり、5月の4~5週間にかけてしか咲かない。スパイシーさとレモンのような側面とバニラ及び蜂蜜のような甘さの両面を兼ね備えている)
  2. ジャスミン茶にも使われる中国産ジャスミン・サンバック
  3. 溶剤抽出法によるインド産チューベローズ(ココナッツのようにフルーティで、酔わせる香り)
  4. 溶剤抽出法による中国産オスマンサス(「ミル フー」にも使用されているフルーティな酸味とほんのりアニマリックを感じさせる、アプリコットとレザーが混ざったような香り)
10月に1週間かけて収穫されるオスマンサス。その収穫方法は、木を揺すって〝花の雨〟のように白い布の上に花を落としていきます。オスマンサスの花は、とても繊細ですぐにしぼんでしまうため、収穫後24時間以内に塩水に漬けなければなりません。

それぞれの特性を見てみると、〝花の舞〟が、一切のフルーツ系の香料を使用せず、フルーツとフローラルの風を生み、その流れに身を任せ、どんどん現実から幻想の世界へと運んでくれるようです。

それはまるでティンカーベルの魔法の粉のように、一瞬にして「レ・ゼクストレ」という、今までのフレグランスの概念を超えた世界へと連れて行ってくれるのです。

そして、その名の如く、たくさんの花々が軽やかに舞い踊るように天空に手を引いて行ってくれるような香りなのです。これは単なるフローラルではなく、空へと浮かび上がるようなダンシングフローラルなのです。

地上に咲く花ではなく、風に乗ってたくさんの花に包まれて足がフワっと浮いてしまうような感覚すら覚えるのが、この「ダンシング ブロッサム」なのです。

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2021年、ジャック・キャヴァリエのフローラル革命

©LOUIS VUITTON

100%フローラルブーケを作るのが私の夢でした。だから私は「ダンシング ブロッサム」からスタートしました。それは、強すぎないように作ることが重要でした。

ジャック・キャヴァリエ

この香りはルイ・ヴィトンの今までのフローラルの総決算というよりは、香りの革命家であるジャック・キャヴァリエが、今までの〝香調を見直した〟香りと見るべきでしょう。

それはキャヴァリエ自身が言及しているように、今までのフローラルの既成概念を突き抜け、〝よりピュアに美しく描き出した〟香りなのです。つまり、今までのルイ・ヴィトンのフレグランスの中で同じ香料が使用されているとしても、全てがただ集められた訳ではなく、エクストレ・ドゥ・パルファンとして、全く新しいアプローチでそれぞれの花々が表現されているのです。

だからこそ、花の〝えぐみ〟を一切感じさせず、〝まるでそこに咲いているかのような香りを再現したフレグランス〟とは一線を画しています。地上に咲くリアルな花々を使って、それを超越した〝ファンタジーを感じさせる花々〟の景色を心に描き出す魔法のような香りなのです。

「ダンシング ブロッサム」は、〝世界中の調香師の夢を叶えたフローラルノート〟と言っても過言ではないでしょう。それは、キャヴァリエとフランク・ゲーリーが「レ・ゼクストレ コレクション」を創る時に掲げた『後世に残す価値のある物を創造したい』という理念を体現したものなのです。

恐らく後世に〝フローラルノートの歴史が「ダンシング ブロッサム」が出る前と後とで一変した〟と言い伝えられるようになるでしょう。それほど画期的な香りなのです。

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新たなる香調=ダンシングフローラルノート

©LOUIS VUITTON

「ダンシング ブロッサム」は、マリンノートや新生ムスクを生み出したジャック・キャヴァリエが〝幻想的な香り〟の扉を開いた画期的な香りです。また一つ新しい香水の時代の幕開けを、共に迎える喜びの〝祝福の香り〟とも言えます。

ルイ・ヴィトンでキャヴァリエが創造した全ての香りの大きな特徴は、香りのピラミッドが存在しないことでした。いわゆる〝香りのスパイラル技法〟なのですが、それをさらに突き詰め〝ダンシングフローラルノート〟とでも呼ぶべき香調を誕生させたのでした。

こんなにも調和が美しく、四季折々の花の魅力を凝縮したような表情を見せるフレグランスはいまだかつて存在しなかったでしょう。

恐らくキャヴァリエでなければ、トップからミドルへ、そしてラストへと香りが時間の経過と共に変化していく、フレグランスの特性を利用し、トップは春の香り=メイローズから、ミドルは夏の香り=ジャスミン、そして晩夏の香り=チューベローズへと変わり、ラストは秋の香り=オスマンサスで余韻が残る…というような香りを生み出していたでしょう。

しかし、それではあまりにも一般的な香りであり、既成概念の型にはまってしまう香りとなってしまいます。

だからこそ、「ダンシング ブロッサム」は香り立ちからドライダウンまでメイローズ、ジャスミン、チューベローズ、オスマンサスが、優雅にまるで舞踏会で輪舞を舞うように香るのです。

チューベローズはそんな中で、夏の終わりから秋にかけて気持ちがノスタルジックに揺れ動くような感情を生じさせ、音楽で言うところの〝転調〟にあたる役割を担っているように思えます。

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軽快なステップで優雅に踊る花々を身に纏う喜び

ダンシング・ハウス ©Amazing Czechia

ジンジャー・ロジャースとフレッド・アステア

この香りの着想源は、1995年にフランク・ゲーリーがチェコ・プラハで生み出したダンシング・ハウス(踊る家)です。

左側のガラス張りのビルが、右側のコンクリートビルに抱きかかえられているようなシルエットからジンジャー&フレッドという別名を持つビルです。それは1930年代の有名なミュージカル・スターであるフレッド・アステアとジンジャー・ロジャースのコンビ名から採られました。

ビルも踊りだし、花も踊りだすように、どんなに心が硬くなっている人々の中にも、踊りたくなる押さえ切れない気持ちを湧き上がらせてくれる〝ダンシング・フレグランス〟。

ディオールの若々しいキラキラしたフルーティフローラルの香りが好きな人に対しても、まるで淡い桜色のチュールスカートやニットが似合う女性のように、自分がハクチョウになっていることを教えてくれる香りなのです。さぁ、この澄み切った水面に何が見えるか試してごらん?

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さらに、ルイ・ヴィトンのモノグラムを体現した香り

©LOUIS VUITTON

「レ・ゼクストレ コレクション」の最初の香りであるこの香りは、大地と天を繋ぐ(ガラスの帆船が大地から天へと旅立つ)香りなのですが、それは『空に咲く花(星)と大地に咲く花』という風に、ルイ・ヴィトンのモノグラムを体現した香りでもあります。

ところで「ローズ デ ヴァン」が〝旅立ちの大地〟だとすれば、「ダンシング ブロッサム」は〝空への旅立ち〟=空に向かう航海です。そして、今回の空の旅は、羅針盤のない旅ではなく、フランク・ゲーリーがボトルの上に咲かせた〝幻想の花〟が羅針盤の役割を果たしているのです。

さらに話を広げると、「リマンシテ」は、〝人生という大海原に航海する時に受ける風の香り〟です。それは、「リマンシテ」の〝広大な、自由な〟という意味が示すように、「ローズ デ ヴァン」よりももっと広い〝大海原〟を連想させる香りなのです(であるにも関わらずマリンノートやアクアティックな香りではないところが、とても格好良いのです)。

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『香りの引き算が分かる』男性の香り

「レ・ゼクストレ コレクション」の中で男性が好まれる香りは「シンフォニー」と「ステラー タイムズ」、もしくは昨今の男性が〝感覚的に選ぶグルマン〟としての「コズミック クラウド」です。

敢えて、この香りを選ぶ男性は、ものすごく香りに精通されていて「新しいフローラルの香り」だという鋭い観点から選ぶか、最も控えめな優しい香りを好まれてのことかどちらかでしょう。なぜならこの香りは、コレクションの中でも最も繊細な香りだからです。

つまり男性が纏うと〝自分をどう見せたいか〟と周りに押し付けがましい印象を与えずに、品のある丁寧な言葉を選ぶような男性の印象を纏えるのです。

最もさりげなく、しかし、今までのメンズ・フレグランスの概念にはない上質さや心地よさを感じさせるこの香りを敢えて選ぶ男性に対して、ほとんどの女性は、〝素敵だな〟と感じるでしょう。『香りの引き算が分かっていらっしゃいますね』と思わずお声を掛けてしまいそうな香りです。

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「ステラー タイムズ」とのレイヤリング

©LOUIS VUITTON

さすがに「レ・ゼクストレ コレクション」ほど賦香率が高く、完成度の高い香りを同じ場所に重ねる(=レイヤリング)のはその芸術性の高さも考えると気が引けます。

ただもし「ダンシング ブロッサム」を少しアレンジしたいのなら、上半身の一箇所(ウエスト両サイドか肩)にワンプッシュし、足首に「ステラー タイムズ」をワンプッシュ。そうすると全身にどこからともなく優しくさりげなく香りが立ち上り、充分素敵な香りが生まれるはずです。

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香水データ

香水名:ダンシング ブロッサム
原名:Dancing Blossom
種類:エクストレ・ドゥ・パルファン
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/77,000円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


シングルノート:グラース産メイローズ、中国産ジャスミンサンバック、インド産チューベローズ、中国産オスマンサス

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