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【ゲラン】ローズ シェリー(デルフィーヌ・ジェルク)

その他
©GUERLAIN
その他ゲランブランド調香師香りの美学
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ローズ シェリー

原名:Rose Chérie
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/46,200円、200ml/66,000円
公式ホームページ:ゲラン

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新しいゲラン帝国の幕開けを告げる香り

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2005年、パリ・シャンゼリゼ通り68番地のゲラン本店のリニューアルオープンを記念して発売された「ラール エ ラ マティエール(芸術と貴重なる生の素材)」コレクション。

この〝世界で最も貴重な原料を使ってゲランのパッションを表現して欲しい〟というコンセプトにより生み出されるコレクションの第十四弾として、2021年9月1日から「サンタル パオロッサ」と「ローズ シェリー」が同時発売されました。

そして、この機会に「ラール エ ラ マティエール」はボトル・デザインを一新し、「究極のゲラン帝国の香りのコレクション」としての明確なる位置づけを世に示すことにしたのでした。

「ローズ シェリー」は、ゲラン帝国の香料確保に世界中を飛び回っている五代目専属調香師ティエリー・ワッサーの代わりに、新作の調香を担当するようになったデルフィーヌ・ジェルクにより調香されました。

全ての「ラール エ ラ マティエール」の香りは、ある貴重な1つの素材に絞り、それをいまだかつてない芸術的な側面から、新たな光を当て、素材の深みやコントラストを強調することにより生み出されています。

ゲランの〝ラ・ヴィ・アン・ローズ〟

「ローズ シェリー」の香りの背景に流れる音楽は、エディット・ピアフの「バラ色の人生/ラ・ヴィ・アン・ローズ」です。『麗しのサブリナ』でジバンシィのリトルブラックドレスを着たオードリー・ヘプバーンが口ずさむのもこの曲なのです。

ゲランの「ラ・ヴィ・アン・ローズ」は4種類のローズによって作られています。

  1. ダマセナローズウォーター
  2. ブルガリアン・ローズエッセンス
  3. ターキッシュローズ・アブソリュート
  4. グラース産センチフォリアローズ・アブソリュート

このコレクションの中にある他のローズの香りは、2つあるのですが、「ローズ シェリー」のロマンティックさに対し、「ローズ バルバル」はセクシーで魅惑的、一方、「サンタル パオロッサ」はとても落ち着いた感じです。

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エディット・ピアフの香り


「ローズ シェリー」は、エディット・ピアフ(1915-1963)が歌う「バラ色の人生/ラ・ヴィ・アン・ローズ」の香りです。この曲は、フランスがナチス・ドイツに占領されている最中に彼女自身により書かれました。

それは、戦後正式に発表され、第二次世界大戦の苦悩の時代を生き延びた人々に夢と希望を与えました。

そして、この曲を通してピアフは世界的な歌手となり、1947年10月のアメリカ初公演においてマレーネ・ディートリッヒと出会い、生涯に渡る友情を分かち合うことになりました。

さらに彼女はこの時、マルセル・セルダン(1916-1949)というフランス人プロ・ボクサー(1948年に世界ミドル級王者になる)に出会いました。そして、彼のために『愛の讃歌』(Hymne à l’amour)を書きました。

1949年6月、セルダンは、王者として〝ブロンクスの牡牛=レイジンブ・ブル〟ジェイク・ラモッタ(ロバート・デ・ニーロが、アカデミー主演男優賞を獲得した『レイジンブ・ブル』(1980)のモデルになった人)と初防衛戦を行うも、左肩の靭帯を1ラウンドで切り、左腕を動かせなくなったセルダンは壮絶なKO負けを喫します。

セルダンは早々に再戦を希望し、ラモッタも受け入れ、1949年10月28日、ニューヨークへ向かう途中に、エールフランスが墜落しかえらぬ人となりました。それは、当初航路で向かう予定だったセルダンに対して、コンサートでニューヨークにいたピアフが「一日も早く会いたい」と懇願したため、空路に変更した結果生まれた悲劇でした。

大いなる衝撃を受けたピアフは、ディートリッヒに慰められながら、当日の公演の中で、「愛の讃歌」の〝あなたが死ねば、私も死ぬ〟という歌詞を歌い切るのでした。

「バラ色の人生」そして、「愛の讃歌」。この香りのテーマは、苦悩を乗り越え、夢のローズの香りに包まれた世界へと人々を導いてゆく歌姫の香りなのです。ローズの甘い香りの先に生まれる愛の物語。それはたとえ不幸に追いつかれようとも、「愛のない人生なぞ生きるに値しない」というフランス精神を、ローズに託し、ゲランのボトルにレコードに歌を吹き込むように、吹き込まれた〝永遠の愛〟の香りなのです。

最後に、マレーネ・ディートリッヒがエディット・ピエフについて書いたこの文章こそ、この香りの根底に流れる精神とも言えます。

パリの街の小さなスズメ。世の中の軌跡の反対側から出てきた宿無し(ピアフは売春宿で育てられた)。傷ついて生まれながら、けっして死ぬとはいわなかった魂。悲しい眼をした理想家で楽天家。飢えでガリガリだった子供時代の痕跡を残す華奢なからだつき。けれど、その手は王女の手。繊細でたくましく、勇気があって内気、心のかぎりをつくして歌いつくし、愛を、友情をあたえ、ロマンティックな魂のたくましい力ですべてを信じていた。

スズメはスフィンクスになったのです。

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「フレンチ キス」の進化形=〝恋する薔薇の香り〟

モンマルトルのメリーゴーランド

ローズ シェリーは、街角でキスを交わすドキドキ感、モンマルトルのメリーゴーランドの魅惑、それは純粋なパリジャン・シックです。まさにこれぞ薔薇色の人生です!

デルフィーヌ・ジェルク

廃盤になった「フレンチ キス」が、〝口紅を塗った唇と舌の間にある香り〟であるならば、こちらはシンプルに〝恋する薔薇の香り〟です。4種類のローズの香りが見事なまでに恋に落ちていく香りなのです。

ローズが持つ、ピュア、フレッシュ、華やかさ、妖艶さ、厳かさ、気品といった様々な側面が、全て恋に向かって駆け抜けていくようなこの香りは、その頭上にクレーム・ド・フランボワーズが振り撒かれ、キラキラと煌くように香りを放ちます。

やがて、ラズベリーの甘酸っぱい初恋の想い出を掻き消すように、甘いグリーンアーモンドがパウダリーなヴァイオレットを従え、それぞれのローズが恋を勝ち取り〝甘い余韻〟を楽しむように、やわらかなひと時を与えてくれます。非常に贅沢なフレッシュパウダリーローズの香りです。

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香水データ

香水名:ローズ シェリー
原名:Rose Chérie
種類:オード・パルファム
ブランド:ゲラン
調香師:デルフィーヌ・ジェルク
発表年:2021年
対象性別:女性
価格:100ml/46,200円、200ml/66,000円
公式ホームページ:ゲラン


シングルノート:ブルガリアン・ローズ、ローズ、ヴァイオレット、トンカビーン、ムスク、ヘリオトロープ

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