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【ディオール】ボア ダルジャン(アニック・メナード)

クリスチャン・ディオール
©Christian Dior
クリスチャン・ディオール
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ボア ダルジャン

原名:Bois D’Argent
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:アニック・メナード
発表年:2004年
対象性別:ユニセックス
価格:40ml/15,950円、125ml/34,100円、250ml/48,400円
公式ホームページ:DIOR

【テスター】 クリスチャンディオール Dior メゾンクリスチャンディオール ボアダルジャン EDP 125ml [096711]

価格:18800円
(2023/11/16 08:50時点)
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ディオールの高級コレクションの不動のセンター

©DIORBEAUTY

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2021年10月に、フランソワ・ドゥマシーからディオールの専属調香師のバトンを受け取り、フランシス・クルジャンが二代目専属調香師(ディオール パフューム クリエイション ディレクター)に就任しました。そして、2022年7月に公式オンラインブティック限定で、メゾン クリスチャン ディオールの始祖とも言える三つの香りを「トリロジー コフレ」として発売しました(7月4日のディオールオートクチュールショーに先駆けての発売)。

その三つの香りは、2004年にディオールがフレグランスの高級ラインを生み出した時に誕生した香りでした。このコレクションの名を「ディオール・ラ・コレクシオン・プリヴェ」と申します。当時、ディオール・オムで世界中の男性の支持を独占していたエディ・スリマン(1968-)が「香りをモードへと進化させた」瞬間でした。

そのうちのひとつ「ボア ダルジャン」は、アニック・メナードにより調香されました。この香りからエディのアイリスに対する〝愛の旅〟がはじまりました。以後彼は、「ディオール オム」や「セリーヌ オートパフューマリー」といったアイリスへの愛を貫いていくことになるのでした。

現在に至るまでフランソワ・ドゥマシーによるリニューアルを経ながらも、ずっとレギュラー販売されている〝ディオールの高級フレグランス・コレクションの不動のセンター〟です。

ちなみに同時に発売されていた「コローニュ ブランシュ」と「オー ノワール」は、両方ともクルジャンにより調香された香りでした。しかし、2010年頃に販売終了となり、長らく〝まぼろしのエディ・スリマンの香り〟と呼ばれていました。

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この男は21世紀のファッションを変えた男だった

エディ・スリマン

香水とファッションの違いは、香水は長持ちするものであり、時を超えて忠実に私たちに寄り添い、私たち自身や私たちの人生と融合していくものです。それに比べれば、ファッションは忠実な友ではなく、ある瞬間すごく親しくなり、時が経てば、別れがやってくるのです。

エディ・スリマン

サンローラン・パリを経て、現在セリーヌのチーフデザイナーとして活躍しているエディ・スリマンという人の業績を一言に集約させると、〝メンズ・ワードローブの可能性を限りなく広げた〟ところにあります。つまりは、スーツ、レザーシューズ、タイ、ドレスシャツ等のクラシカルなファッション・アイテムを、一気にモードへと昇華させたのでした。

エディ・ルックは、ディオールオムの時代から一貫しており、それはネオクラシックとロック・テイスト及びヴィンテージ・ルックがトライアングルに結びつき、普遍の輝きを生み出しているのです。

私が育ったのは1970年代から1980年代です。すぐにキャロンの香水をつけ、次にゲランの香水をつけました。大好きなオールド・イングランドのオーデコロンもつけるようになりました。

エディ・スリマン

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アニック・メナードと出会い、少年は男になる。

©DIORBEAUTY

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ディオール・オムのエディ・スリマンにとってのシルバー(=銀)とは、白い雪景色が光を浴びて白銀に輝くように、または月明かりに照らされた木々が銀色に輝くように、〝男が銀色に見える瞬間がもっとも美しい〟というイメージです。つまり、この香りは、「コローニュブランシュ」と「オーノワール」の世界観に光を当てた〝天空を舞う男のエレガンス〟を演出する香りなのです。

そんな「銀の木(シルバー・ツリー)」という名の欲望の香りは、素肌に向かって吹きかけたとしても、太陽の日の光に愛され、ただひたすらに天空に向かい浮遊するイエメン産フランキンセンスとソマリア産ミルラの甘くて苦いオリエンタルシャワーからはじまります。あなたから離れていくような香りかたに早くも心奪われてゆきます。そしてパチョリの甘辛さがワインのようなアクセントを生み出しています。

すぐに涼しげで憂いをたたえたフィレンツェ産アイリスが、酔わせるようなジュニパーベリーの手を借り、すべてをひとまとめにし、白い粉雪のように素肌に舞い戻らせてゆくのです。そこに、滑らかなハニーが引き伸ばされてゆきます。その瞬間、くちづけを受け止めるように素肌は匂い立つのです

やがて、レザーとムスク、バニラが、神秘的な輝きと、洗練されたしづやかさ、そして、もっともっとその奥に秘められた香りを知りたくなる、そんなうっとりと官能的な甘い余韻で包み込んでゆきます。

この香りが、最も危険な遊戯であるところは、甘い囁きのように、軽やかにスタイリッシュに心を奪い去るところにあります。そして、〝argent / アルジャン〟が持つもうひとつの意味である〝お金=札束〟を連想させる『悪徳の囁き』を生み出すところにあります。

ちなみにこの香りのためにイリスバター(イリスコンクリート)よりも遥かに希少であるアイリス・アブソリュートが使用されています。

タニア・サンチェスは『世界香水ガイド』で、「ボア ダルジャン」を「アーモンドウッディ」と呼び、「「ヒプノティック プワゾン」(これもアニック・メナード作)を愛らしく、軽めにしたヴァージョン。この「銀の木」は聖書に出てくるミルクとハニーの取り合わせを連想。」と3つ星(5段階評価)の評価をつけています。

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フランソワ・ドゥマシーによる2018年のリフォーミュラ

©DIORBEAUTY

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ラ コレクシオン プリヴェ クリスチャン ディオール」が、調香の微調整とボトル・チェンジを行い、名称も新たにフレグランスコレクション「メゾン クリスチャン ディオール」として、リニューアルしました。そして、「ボア ダルジャン」も、ディオールの初代専属調香師フランソワ・ドゥマシーによって微調整されました。

ドゥマシーが「男女どちらでも纏える白いシャツのような香水」と言うこの香りは、「アイリス アブソリュートがエレガンスを添え、官能的なムスクと交わり、やがて神秘的でスモーキーなフランキンセンスへと飛び込んでゆきます。コントラストを奏でるコンポジションは、高貴なフローラルと張り詰めた端正な柔らかさ両方を演じます」と解説されています。

実際のところ、2004年ヴァージョンと比較しても、ほとんど香り自体には変更がなく、持続力と香り立ちの良さが、2018年ヴァージョンは増しています。

この香りが、素晴らしい姿のままで継続されていることに、素直に感謝したいです。

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香水データ

香水名:ボア ダルジャン
原名:Bois D’Argent
種類:オード・パルファム
ブランド:クリスチャン・ディオール
調香師:アニック・メナード
発表年:2004年
対象性別:ユニセックス
価格:40ml/15,950円、125ml/34,100円、250ml/48,400円
公式ホームページ:DIOR


トップノート:イトスギ、フィレンツェ産アイリス、ジュニパー・ベリー、イエメン産フランキンセンス
ミドルノート:インドネシア産パチョリ、ソマリア産ミルラ
ラストノート:アリカンテ産ハニー、レザー、アンバー、ムスク、バニラ、松やに

【テスター】 クリスチャンディオール Dior メゾンクリスチャンディオール ボアダルジャン EDP 125ml [096711]

価格:18800円
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