オードリー・ヘプバーン

オードリー・ヘプバーン21 『パリの恋人』4(2ページ)

    作品名:パリの恋人 Funny Face (1957)
    監督:スタンリー・ドーネン
    衣装:ユベール・ド・ジバンシィ/イーディス・ヘッド
    出演者:オードリー・ヘプバーン/フレッド・アステア/ケイ・トンプソン/ドヴィマ


    胸の谷間の重要性を否定したドレス



    あの娘はたったひとりで、豊かな胸を過去のものにしてしまった。

    ビリー・ワイルダー

    ファニーフェイス・ルック14 アイコニック・ドレス・ルック
    • デザイン:ユベール・ド・ジバンシィ
    • 白のストラップレスドレス。フレンチレース、ダークグレイのフラワー柄
    • 同柄の白のフレンチレースのショール
    • グレーサテンパンプス。レネ・マンシーニ、フロントにボウ

    オードリー・ヘプバーンのフォトの中でもアイコニックな写真が、上から二番目の写真です。そして、このドレスは、本編においては僅かな登場となりますが、人々の印象としてのジバンシィを着たオードリーのイメージ・フォトの典型の一つとも言えます。バレリーナのような筋肉質な首からデコルテのラインを剥き出しにした、それでいて胸の谷間で女性美を示すわけではないというオードリーらしさが出ているドレスです。

    美の概念は、常に変動し、だからこそ、ファッションの歴史も常に変動します。そして、そんな変動する美の概念に対する最も愚かなる行為が、過度の美容整形です。ある例をひとつあげるならば、2017年2月現在に人気のある芸能人に似せた整形手術をした20代の女性がいたとします。手術はうまくいきました。やがて数年の時を経て、その時に人気のある芸能人の美のトレンドはすっかり変わりました。どうやら彼女の整形は、2017年型美人を生み出しただけなのです。そこから顔にメスを追加していくにつれて彼女は、ワックス・ワークへと変貌を遂げていくのです。そして、表情を失った人間は不思議なことに愛も失ってしまうのです。



    ヴェラム・イセッタ

    • 赤のベスト
    • 黒のハイネックYラインドレス。ひざ下。7分丈スリーブ
    • 黒のハイヒールTストラップサンダル
    • ブラックベレー帽

    ケイ・トンプソン扮する編集長のファッションは、全編においてかなりモードです。そして、そこには現在に引用できるエスプリがあります。しかし、赤のベストを合わせるスタイリングが似合う人もなかなかいないでしょう。個性とは、つまりこの人のスタイリングを他人がしても似合わないだろうということが出来る人に宿るものなのです。




    本作において、アステアとトンプソンを乗せる車として興味深い車が登場します。1953年から55年にかけてイタリアで発売されたミニカー、イソ・イセッタのフランスのライセンス車であるヴェラム・イセッタです。乗り降りがフロントからという実に変わった構造の車で、冷蔵庫のようにオープンするドアという奇想天外なスタイルにより当時話題になりました。別名「ヨーグルト・ポット」「バブル・カー」とも呼ばれ、まさに、人類史上初のファッション業界を描いた映画に相応しいモード・カーでした(2017年秋復刻版が発売されます)。



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