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『冒険者たち』2|ジョアンナ・シムカスとパコ・ラバンヌ

ジョアンナ・シムカス
ジョアンナ・シムカス
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作品データ

作品名:冒険者たち Les Aventuriers (1967)
監督:ロベール・アンリコ
衣装:パコ・ラバンヌ
出演者:アラン・ドロン/リノ・ヴァンチュラ/ジョアンナ・シムカス

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パコ・ラバンヌの甲冑ドレス

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不思議とストーリーの邪魔をしなかったパコ・ラバンヌの甲冑ドレス。

アルミニウム・ディスクで作られています。

レティシアが、廃鉄で創作したアートの展示会を開く時に着ているドレス、これこそ、パコ・ラバンヌ(1934-)による甲冑ドレスなのです。その形状は、まさに〝着ることのできない12着のドレス〟の1つに相応しいドレスです。イヤリングも指輪もスチールに鋲を打ち込んだもので、ハンドバッグもスチール製のイッセイ・ミヤケのバオバオのようなバッグです。

丁度この映画の撮影時期である1966年にパコ・ラバンヌは、自分の名前を掲げたブランドを設立したばかりでした。甲冑ドレスの意味は、そのものずばり、女性の社会進出のための戦闘着としてのアマゾネス・ファッションの意味を兼ね備えています。

レティシアが着るこのドレスは、まさに彼女の現代アートに対する意気込みを示しているドレスなのです。しかし、その〝着ることのできないドレス〟を完璧に着こなせているジョアンナ・シムカスは、さすがです。フレンチ・カジュアルの王道を行く人は、ジェーン・バーキンもそうですが、他のテイストも容易に着こなせるということなのでしょう。

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パコ・ラバンヌの1960年代

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エルサ・ペレッティ(1974年にティファニーのデザイナーとなる)、サルバドール・ダリ。1960年代後半。

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ジャンプスーツ。1966年。

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アルミニウム・チェーン・ドレス。1966年。

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アンファン・テリブル(恐るべき子供)

1960年代半ばにピエール・カルダン、アンドレ・クレージュらが前衛的なファッション・デザインを発表しました。しかし、この男性のデザインは明らかに前衛的という言葉の範疇を突き抜けていました。「縫うを否定したデザイン」。彼の名をパコ・ラバンヌと言います。

1934年、フランスに隣接したスペイン・バスクにパコ・ラバンヌは生まれました。1936年に勃発したスペイン内戦で、父親は共和国側の大佐として戦うも、フランコ将軍の反乱軍に捕らえられ銃殺されました。1939年、母親とフランスに亡命して、青年期に建築学を勉強していました。

当初ジバンシィ、ディオール、バレンシアガ、シャネルのための宝石デザインを行うことからファッションのキャリアは始まりました。そして、「新しい素材で武装した戦い」を起こすんだ!と、1966年自身のメゾンを設立し、金属、紙、プラスチックなどを使用した前衛的な〝着ることのできない12着のドレス〟を発表しました。