エルメスのレインコートを着たオードリー
イーディス・ヘッドがさりげなく選んだエルメスのレインコートと共に、オードリー・ヘプバーンのパリの旅ははじまります。あくまでラグジュアリーカジュアルからパリモードの兆しを見せていくのです。
ファッションというものの本質は何か?それは生まれ変わる喜び。毎日が変身する喜びであることを教えてくれる〝ボンジュール・パリ〟。着飾って、新しい世界へ踏み出す喜び。この〝ボンジュール・パリ〟の歌から、ファッションが生み出す喜びをストレートに感じ取ることができます。
それにしてもオードリーが着ているこのレインコートがとても魅力的です。何よりも、その丈感と、下に着ているパンツの組み合わせが、今でも違和感のないところがさすがイーディス・ヘッドです。
イーディス・ヘッドのカジュアルの提案力は侮れません。
ジョー・ストックトンのファッション2
レインコート
- デザイン:イーディス・ヘッド
- エルメスのカーキ色のレインコート、比翼仕立て、袖をロールアップ
- タートルネックのブラックニット
- ブラックのサブリナパンツ
- ブラックソックス
- サルヴァトーレ・フェラガモの黒のペニーローファー
- エルメスのレザーグローブ
マギー・プレスコットのファッション4
スウィングコート
- デザイン:イーディス・ヘッド
- ベージュのスウィングコート、素晴らしいドレープ感
- 赤のカウルネックのセーター
- ペンシルスカート
- 細ベルト
- ベージュのレザーグローブ
- 白のピルボックスハット
- ベージュのTストラップサンダル
- 先に金の飾りのついた傘
- オレンジ色のレザーバッグ
『パリの恋人』のケイ・トンプソンのファッションがどれも素晴らしいです。特に、この〝ボンジュール・パリ〟のベージュのコートと赤のセーターのアンサンブルは、パリモードに対するニューヨーク・エレガンスの精髄を示しています。
マギー・プレスコットのファッション5
モノトーンルック
- デザイン:イーディス・ヘッド
- 彼女のキャラクターを際立たせる白のブラウス
- ブローチ
- 黒のペンシルスカート
- 細ベルト
- 黒のピルボックスハット
- 黒のハイヒールパンプス
マイケル・ジャクソンに大きな影響を与えたスタイル
丈が少し短いブラックパンツに、白のソックスと黒のローファーというマイケル・ジャクソンのスタイルは、このビートニク・オードリーから生み出されました。
オードリー・ヘプバーンは、エルメスのレインコートを羽織っていたときには、黒のソックスを履いていたため、当初黒のソックスを求めました。しかし、監督のスタンリー・ドーネンが「白じゃないと、背景に隠れる」と主張し、このスタイルが確立したのでした。
それにしてもこのビートニク・スタイル。『パリの恋人』の中でも、ジバンシィの華やかなファッションに埋もれた傑作スタイリングです。現在にも通用するモードと言えるでしょう。
ジョー・ストックトンのファッション3
ビートニク・ルック
- デザイン:イーディス・ヘッド
- 黒のタートルネックセーター
- ローズ・ベルタンの黒のサブリナパンツ
- サルヴァトーレ・フェラガモの黒のペニーローファー
- 白ソックス
再びバレエのレッスンに通うオードリー
オードリーは、この作品のダンスシーンのために、再びベレエのレッスンに励みました。
作品データ
作品名:パリの恋人 Funny Face (1957)
監督:スタンリー・ドーネン
衣装:ユベール・ド・ジバンシィ/イーディス・ヘッド
出演者:オードリー・ヘプバーン/フレッド・アステア/ケイ・トンプソン/ドヴィマ
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