グレース・ケリー

グレース・ケリー1 『泥棒成金』1(4ページ)

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作品名:泥棒成金 To Catch a Thief(1955)
監督:アルフレッド・ヒッチコック
衣装:イーディス・ヘッド
出演者:ケーリー・グラント/グレース・ケリー/ジェシー・ロイス・ランディス



グレース・ケリー。永遠の輝き

桜の美しさは、その愛らしさは、私たちがそれが散ることを知っていることから倍増されます。美の不完全さゆえに、私たちは、桜が散る前のその美しさを記憶に留めることになるのです。その記憶を「輝き」と呼びます。グレース・ケリー。私たちにとってのグレースは、王妃になった後ではなく、数本の映画女優だった時からロイヤルウエディングまでの僅かな期間でした。

その僅か5年間の美しさが、永遠の輝きと呼ばれているのです。世界中に情報が溢れ、美しい女性の姿は、今では多く見ることが出来ます。しかし、グレース・ケリーはなぜそれほどまでに特別なのでしょうか?私は、彼女の中に存在する日本的な美意識ゆえだと考えます。陶器の美しさは非対称ゆえにその美しさが増す。グレースの申し分なしに美しいルックスと、映画女優の時代から漂わせていた王妃の風格。ケリーバッグと王位という神格化される要素。それに対して、氷が解け、その水が地球の裏側に到達するが如くに、エロスの扉を開ける背徳感。凡庸な夫。自動車事故で死んだという悲劇性。その非対称な人生が、彼女を神話にしたのです。



王妃前夜の方が、遥かに輝いていたグレース・ケリー

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コートダジュールのホテルの窓から見える花火。そして、浮き上がるグレース・ケリー。何かを決意した美女の魔性がそこにはあります。

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私にとって、グレース・ケリーは王妃になった後よりも、それ以前のハリウッド・スター、〝グレース・ケリー〟の姿の方がはるかに魅力的でした。それは才能溢れる人たちと、個人的友情を結ぶことが出来たからでしょう。王族になるということは、多くの人と会いはしますが、深い交流関係を持ち辛い側面があります。この聡明な恋多き女性の、一番花盛りな季節は、こうして摘み取られたのでした。

実際に彼女は、王族になった6年後、アルフレッド・ヒッチコック監督からの『マーニー』出演依頼に対して心が揺らぐほどに、モナコ王族の生活に子ども以外の救いは見い出せなかったのです。ロイヤル・ウエディングの瞬間こそが、最も美しく咲く桜が散ろうとしている瞬間でした。

そんなモナコ王妃になった後の写真のイメージで、グレース・ケリーの映画を見ると、その表情の豊かさに驚いてしまいます。彼女の魅力は、まさに失われた王妃の、幸せな頃の、彼女が女性として生きていたあの頃を見るはかなさにあるのです。「王妃だった女優」。王妃になった女優と言うよりは、王妃だった女優なのです。それは今グレース・ケリーを知る女性の殆どが、王妃であるグレース・ケリーを知り、そして、女優としての彼女の姿を見るからこそ、逆回転の輝きに満ちた人として、「王妃だった女優」と呼ばれるべきなのです。



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