ルチアナ・パルッツィが本当はドミノ役だった。
当初メインのボンド・ガールのドミノ役には無名時代のラクエル・ウェルチにほぼ内定していました。しかし、ハリウッド大作の『ミクロの決死圏』(1966)の主役に抜擢され降板しました。
そこでドミノ役に選ばれたのが、ルチアナ・パルッツィでした。しかし、クランクイン寸前にミス・フランスのクローディーヌ・オージェがドミノ役となり、ルチアナは、スペクターNo.12のフィオナというボンドの敵役を演じることになりました。
1937年にイタリア・ローマで生まれたルチアナ・パルッツィは、本作の後、深作欣二監督の『ガンマー第3号 宇宙大作戦』(1968年、日米合作)に出演します。この頃付き合っていたのが、『暁の用心棒』(1968)のトニー・アンソニーで、彼はこの時のルチアナの日本滞在の話を元に実に奇妙なマカロニ・ウエスタン『サイレント・ストレンジャー』(1968)を作りました。
しかし、あまりにもひどいその内容にMGMはこの作品をお蔵入りにしてしまい、結局日の目を見たのは、1975年でした。
ちなみに、クエンティン・タランティーノが『レザボア・ドッグス』(1992)の宣伝キャンペーンのために来日したとき、タランティーノは深作欣二との面会を切望し、京都まで行き、面会を果たしたときに持ってきたのが、この作品のアメリカ公開版「グリーン・スライム」のレーザーディスクだったのでした。
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『ガンマー第3号 宇宙大作戦』
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『ガンマー第3号 宇宙大作戦』
オープニング・ボンド・ガール。その名もミツコ。
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本作においてジェットパックを着たボンドをサポートし、アストンマーティンDB5と共に去っていったミツコ。
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1943年生まれの彼女は、1995年に52歳で自殺した。
次の作品の『007は二度死ぬ』(1967)においてジェームズ・ボンドは日本初上陸を果たし、当時の日本列島は空前の007フィーバーに包まれます。そんな西洋と東洋の融合を予感させるオープニングに登場する謎のボンド・ガール〝ミツコ〟。スペリングからみて、ゲランの名香〝ミツコ〟を連想させます。
ボンドムービーの魅力のひとつ。それはあらゆる人種をカラーコーディネイターが配置しているかのように、映像の中で、見事に配置している点にあります。
このシーンの東洋人には何色の服を着せようやら、バハマの黒人男性には、赤のシャツを着せようなどといったカラーバランスの妙が、常にスクリーン上から漂ってきます。それが、ケン・アダムのセット・デザインと見事に融合して、ボンドムービーに他にはない品格とカラーを生み出していることは言うまでもありません。
ボンドガール・ルック1
ベージュコート・スタイル
- 白のシフォンスカーフを頭に巻く
- 今でもかなりお洒落なベージュの膝丈のウールのチェスターコート
- ダークグレーの手袋
- ブラック・パンティストッキング
- ブラウンのローヒール・ローファー
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黒柳徹子のようなヘアスタイルで登場する東洋美女。
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その名も<ミツコ>。元々はパリのストリッパーでした。
妙に印象に残る〝ミンク・マッサージ女〟
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ミンク・グローブで全身マッサージしてもらうボンド。
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もちろん最終的には、彼女が、逆にボンドにミンク・グローブでマッサージされることになるのです。
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女性看護士パトリシアを演じたモーリー・ピータース。
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まさに英国の三原葉子。
療養中のジェームズ・ボンドをミンク・グローブでマッサージする看護士パトリシアを演じるのは、モーリー・ピータース(1942-2017)です。英国の三原葉子様と形容したくなるほどの存在感の持ち主なのですが、この作品によって契約した悪徳エージェントに騙され、芸能界にうんざりして60年代後半には引退してしまいました。
フィオナ・ルック1
スカイブルー・ネグリジェ
- スカイブルーのネグリジェ、スパゲッティストラップ
- 同色のハイヒールパンプス
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当初は主役のボンドガールに決まっていたルチアナ・パルッツィ。
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しかし、スペクターNo.12のフィオナを演じることになる。
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ネグリジェを着るために生まれてきたようなボディラインです。
元祖峰不二子の誕生。
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女がレーシングスーツ(革ツナギ)に身を固めるカッコよさ。
このイメージがマリアンヌ・フェイスフルの『あの胸にもういちど』(1968)を経て、『ルパン三世』の峰不二子のイメージに繋がり、更には、ファッションにおけるオールブラックが生み出すクール・ビューティの教本となったのです。
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そして、我らが不二子ちゃんのレーシングスーツ姿が誕生します。
フィオナ・ルック2
レーシングスーツ
- ルチアナ・パルッツィ
- オールレザーのブラック・レーシングスーツ
- レザーグローブとブーツ
- ミサイル4基付きバイク・BSA・A65ライトニング
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1967年にモンキーパンチによるルパン三世が連載されます。
作品データ
作品名:007/サンダーボール作戦 Thunderball(1965)
監督:テレンス・ヤング
衣装:ジョン・ブレイディ
出演者:ショーン・コネリー/クローディーヌ・オージェ/アドルフォ・チェリ/ルチアナ・パルッツィ/マルティーヌ・ベズウィック
- 【007/サンダーボール作戦】最初から最後まで空飛ぶジェームズ・ボンド
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.1|空を飛ぶショーン・コネリー
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.2|ショーン・コネリーとケン・アダム
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.3|ショーン・コネリーとダイビングウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.4|ショーン・コネリーとラグジュアリー・リゾート
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.5|クローディーヌ・オージェという絶世の美女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.6|クローディーヌ・オージェ=水中銃を持つ女
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.7|クローディーヌ・オージェとウェットスーツ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.8|元祖・峰不二子 ルチアナ・パルッツィ
- 『007/サンダーボール作戦』Vol.9|ルチアナ・パルッツィとレーシングスーツ