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【ゲラン】パリュール(ジャン=ポール・ゲラン)

ゲラン
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パリュール

原名:Parure
種類:パルファン
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン
発表年:1975年
対象性別:女性
価格:不明

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ただただ崇拝される女性のための香り

©GUERLAIN


1975年にゲランの四代目調香師ジャン=ポール・ゲランは、「パリュール」という名の香りを発表しました。「パリュール」とは、昔のフレンス語で「装飾」を意味します。

パリュールは、ネックレス、櫛、ティアラ、王冠、ブレスレット、ピン、指輪などの一式で揃えられたジュエリー・セットであり、それはルイ14世(1638年-1715年)の時代からはじまりました。やがて、フランスを中心に宝飾技法の進歩と共に、王侯貴族が、ステイタスとハイセンスを競い合う役割を担うようになり、18世紀に最盛期を迎えるのでした。

特にナポレオン・ボナパルト(1769-1821)は、皇后ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネに大変豪華なパリュールを贈りました(そして、後妻にも)。

この香りは、そんなパリュールのひとつに組み込まれても遜色がないほど、ラグジュアリーな香りを創造しようという意図の下に生み出された香りでした。

それは、自分の個性を際立たせるとか、自分の心を生き返らせるとかそういった目的ではなく、ただただ崇拝されるためだけに身に纏う〝真の意味での香りの装飾品〟でした。

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そして、ツタンカーメン王の宝物の香り


オードトワレのボトル

ちなみに、ジャン=ポール・ゲラン自身は、この香りについて二つのインスパイア源を提示しています。ひとつはパリュールを実際に身に着け、これを愛していた母親に捧げた香りであり、もうひとつはエジプトのツタンカーメン王の宝物の豊かさに刺激を受けた香りということです。

1922年11月4日に発見されたツタンカーメン王の宝物が始めて世界ツアーの旅に出たのは1961年からでした。この旅は、1965年に日本にも訪れ、空前のツタンカーメン・ブームを日本列島に巻き起こしました。そして、1967年にフランス・パリで行われた展示会を、ジャン=ポールも拝観し、かつて師匠のジャック・ゲランが生み出した「ジェディ」と結びつけ、大いに感動したのでした。

かくして生み出されたこの香りは、フルーツのジューシーさによって、そこから最も遠い距離にある〝上流社会〟の香りに到達しようとした意欲作でした。

まず最初に、アルデハイドとガルバナムにより、心地よい香りとは到底言えない激しく苦いベルガモットからこの香りははじまります。すぐにクラリセージとタイムが現れ、ベースのオークモスも加わり、香りを温かく包み込みはじめます。そして、ジューシーなプラムが注ぎ込まれていくのです。

ここから華麗なるフルーティ・シプレがはじまります。21世紀(20世紀)であることを忘れさせるような歴史の波に飲み込まれて行くような「香りのタイムマシーン」とでも呼びましょうか・・・

ローズが現れます。このローズは美しくも醜くもなく、実に不思議な存在感を示します。そんなローズに導かれ、甘くて美しいジャスミンが現れ、心の底から安心感を覚えさせられます。と同時に、様々な花々が織り成すビロードのようなフローラル・シンフォニーがはじまります。

水仙、アイリス、ライラック、スズランといった花々です。そこにレザーがふんわりとフローラルの甘さを引き締めるように、パウダリーなアイリスと申し合わせたように、会釈を交わします。そして、香りは、踊りはじめ、ただただ崇拝させるようなドライダウンに包まれていくのです。

この香りは、ピーチではなくプラムによって創造された「ミツコ」と形容されることもあります。

ロベール・グラネによりデザインされたボトル・デザインも実に個性的です。ジャン=ポール・ゲランが「創造することも出来ない突飛なデザイン」と称したこのボトルの精神は、海に反射するサンセットをイメージしたレース状に加工されたクリスタルのストッパーに象徴されています。

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香水データ

香水名:パリュール
原名:Parure
種類:パルファン
ブランド:ゲラン
調香師:ジャン=ポール・ゲラン
発表年:1975年
対象性別:女性
価格:不明


トップノート:プラム、タイム、ガルバナム、ベルガモット、クラリセージ
ミドルノート:ローズ、水仙、ニオイ・イリスの根茎、ライラック、スズラン、ジャスミン
ラストノート:オークモス、レザー、香辛料、パチョリ、アンバー、スティラックス、ベチバー、ペルーバルサム