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【ルイ ヴィトン】パシフィック チル(ジャック・キャヴァリエ)

ルイ・ヴィトン
©LOUIS VUITTON
ルイ・ヴィトン
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パシフィック チル

原名:Pacific Chill
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/42,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン

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価格:1420円
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感想(4件)

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LAのデトックススムージーを素肌で飲む香り。

©LOUIS VUITTON

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この香りは新しいカテゴリーのフレグランス、ウェルネス・フレグランスです。これは、ストレッチやジョギングの準備をする時に、毎日の習慣に取り入れることが出来るものです。香りが、健康維持のルーチンになる可能性があるということを世にはじめて示した瞬間と言えます。

ジャック・キャヴァリエ

2019年4月11日に発売されたルイ・ヴィトンのコローニュ・コレクション「パルファン ド コローニュ」。それはルイ・ヴィトンの造語であり、希少な天然原料を贅沢に使用したコロンのフレッシュさと、パルファンの香りの持続性を兼ね備えたオード・パルファンを意味しています。通常のコロン濃度1.5~8%を遥かに超越した12%の濃度で作られています。

その第七弾(最初の二作品が廃盤になった今、公式には「アフタヌーン スイム」「カリフォルニア ドリーム」「オン ザ ビーチ」「シティ オブ スターズ」に次ぐ第五弾という位置づけ)として、2023年5月18日に発売されたのが「パシフィック チル」です。ルイ・ヴィトンの専属調香師ジャック・キャヴァリエにより調香されました。

ビバリーヒルズ、サンタモニカ、マリブに行くと、その土地が持つ雰囲気が素晴らしく、人生は美しく何でも可能だと感じさせてくれます。

この香りの名前のインスピレーションは、娘たち(娘のひとりカミーユは、ジャックのアシスタント・パフューマーとして働いている)の会話から得たものでした。当初、「パシフィック クール」「パシフィック リラックス」という名も候補に挙がっていたのですが、より若者の心を揺り動かしそうで、クールな響きである「パシフィック チル」に決定しました。

ジャック・キャヴァリエ

〝穏やかにくつろぐひととき〟と言う意味と、ロサンゼルスのビーチがある太平洋(Pacific Sea)をかけた、果てしない太平洋の海に宿る大地のパワーが、デトックススムージーのように新たな一日を運んでくれ、素肌に浸透していく〝目覚めの朝の香り〟です。

ロサンゼルスのウェルネス文化からインスピレーションを得た香りで、身体と心のバランスと幸福を維持するのに不可欠な海の活力を感じることが出来ます。

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ヘイリー・ビーバーの「ストロベリー・グレイズ・スキン・スムージー」

ヘイリー・ビーバーとスムージー。

ラスベガスをやっつけろ』でポロ・ラウンジに座っているジョニー・デップとベニチオ・デル・トロ。

この香りを簡単に表現させてください。「パシフィック チル」は、〝健康とエネルギーのカクテル〟です。 はじまりはグリーンです。それは自然の息吹のようにまばゆいばかりです。 その後、フルーティで果肉のような側面が現れ、柔らかくなり、さらにその味わいが全身を駆け抜けてゆきます。

ジャック・キャヴァリエ

ロサンゼルスのウェルネス文化を象徴するもの、それはスムージーです(1985年から大流行したダイエットコークのようなもの)。特に、この香りの背景には、2022年6月にロサンゼルスの高級スーパー、Erewhon(エレホン)で、ヘイリー・ビーバーとのコラボで生み出された「ストロベリー・グレイズ・スキン・スムージー」という17ドルするスムージーの大ヒットがあります。

この香りの誕生のきっかけは、2022年4月に「シティ オブ スターズ」の発表会を終え、ビバリーヒルズ・ホテルに滞在していたジャック・キャヴァリエが、ある朝、「パルファン ド コローニュ」のアイデア源となるポップアートとボックス・デザインをしているアーティスト、アレックス・イスラエルと、緑豊かな植物に囲まれたポロ・ラウンジで朝食を採っていた時の会話でした。

次の「コローニュ」は、二人のコラボレーションで生み出すということが決定していたこともあり、アイデアを出し合うために打ち合わせをしていました。そして、煙草を止めて7年になるジャックは、毎朝ポロ・ラウンジで飲んでいる14 Carrot Goldにハマっていると告げたのでした。「まったく新しい味わいで、4日連続でこれを飲んでいるよ」と。

キャロット、オレンジ、ジンジャーで作られたこのスムージーを絶賛していたジャックは、アレックスに「このデトックススムージーこそロサンゼルスを象徴するものです!そして、このパティオに実るブラックカラントの香りもLAそのものです!」と言い放ち、二人は、デトックススムージーとパティオの空気が溶け合う香りを生み出すことを決定したのでした。

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海への誘い〝新世界のはじまりの予感〟…それが「パシフィック チル」

©LOUIS VUITTON

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「パシフィック チル」で、このコレクションは一区切りします。それまでは「アフタヌーン スイム」のようにとてもアンバー風であるか、「カリフォルニア ドリーム」のように非常にムスキーであるか、あるいは「シティ オブ スターズ」のようにサンダルウッドやウッディに傾いているかのいずれかでした。

しかし、「パシフィック チル」は、よりピーチのようにフルーティで、とても繊細で、エレガントであると同時に、グリーンで香り豊かです。香水のベースにあるキャロットシード・アブソルートによって、非常に注目すべき特徴を提供します。

ジャック・キャヴァリエ

「パルファン ド コローニュ」の最初の3つの香りは、〝カリフォルニアの1日のそれぞれの情景やそこに流れる空気〟を香りで描いたアートなので、順番がきちんとあります(更にその後の「カリフォルニア ドリーム」や「シティ オブ スターズ」もそこに連なります)。

それにしても、フランスのラグジュアリー・ブランドであるルイ・ヴィトンがなぜカリフォルニアの香りのコレクションを発表したのでしょうか?それは専属調香師のジャック・キャヴァリエ自身が決めたことでした。

〝カリフォルニアは第二の故郷〟と呼ぶほどジャックはかの地をこよなく愛していました。それは、はじめて訪れた時に出会った様々な情景に心が揺り動かされ、さらに年中穏やかな気候であるところがグラースと重なり、「デトックスされる場所」としての居心地の良さを感じたからでした。

サン ソング」「カクタス ガーデン」「アフタヌーン スイム」は、「空、大地、海」であり、朝のサン ソング、正午のカクタス ガーデン、午後のアフタヌーン スイム、その後、夕暮れのカリフォルニア ドリーム、夜のシティ オブ スターズへと続いてゆきます。そして、新しい朝=「パシフィック チル」がやって来るのです。

コロナが収束する中で、ジャックが第二の故郷であるカリフォルニアに降り立ち、出迎えてくれたカリフォルニアの大海原を見て感じた、海への誘い〝新世界のはじまりの予感〟…それが「パシフィック チル」なのです。

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ミューズは、ミランダ・カー。

ミランダ・カー ©LOUIS VUITTON

アレックス・イスラエルとジャック・キャヴァリエ ©LOUIS VUITTON

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この香りのフレグランスのミューズとして、アレックス・イスラエルの一存により、オーストラリア出身のスーパーモデル、ミランダ・カー(1983-)が起用されました(彼女は現在マリブ在住、夫と9年前のルイ・ヴィトンのイベントで知り合い交際することになる)。

レモンを少し絞って、フレッシュハーブが加えられた、爽やかな夏の日のような香りよ。私は毎朝セロリジュースを飲んでいるのですが、この爽やかで高揚感のある雰囲気が大好きです。

全体のコンセプトは、五感を刺激して穏やかなモードに導き、海のエネルギーの力を感じることで、肉体と精神を結びつけ、幸福感をもたらすことです。香りは私たち全員の中に非常に多くの感情を呼び起こします。 そして、これは本当に海のそばにいるような気分にしてくれるのです。

ミランダ・カー

そして、2023年5月17日にマリブにルイ・ヴィトンが購入した大邸宅にて、三人が集結し、新作発表会が行われたのでした。

ジャック・キャヴァリエと一緒に仕事をして、この男が天才であると言う意味が分かりました。この香りは、他のフレグランスが試みたことさえない方法で、新しい世界を作り出すことに成功した香りだと思います。まさに、LAのウェルネス文化を代弁するだけでなく、その一部となり、朝のストレッチ、ウォーキング、ワークアウトの前奏曲として朝一番に振り掛けたくなる香りなのです。

アレックス・イスラエル

パッケージは、アレックスが愛して止まないロサンゼルスのパシフィック・パリセーズの展望スポット、パセオ・ミラマー・トレイルから、美しい太平洋の海の景色を描いたものです。彼は毎朝このトレイルを歩き、眼下の虹色に輝く海を眺め、深呼吸し、風景と一体になり、デトックススムージーを飲むことを日課としているのです。

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ジャック・キャヴァリエの「パシフィック チル」の調香過程

©LOUIS VUITTON

完全に私個人の香水哲学なのですが、私は常に人々を幸せにできる香水を作ることを心がけています。 それは古来より、ローマ人、エジプト人、ギリシャ人以来証明されているエッセンシャルオイルと天然の恵みが人々に生み出す幸福感についてです。

香水を調香するとき、私は常に嗅覚のニュアンスをすべて明らかにしようとします。 たとえば生姜を使って、日本で寿司を味わうのと同じ効果を再現しようとしています。 新鮮な生姜を口に入れると、強烈で新鮮でスパイシーな風味が爆発するのがわかりますか? 香水の場合も同様です。

幸せな感覚とは、爆発的な感覚からはじまる事も多いのです。

ジャック・キャヴァリエ

ジャック・キャヴァリエは、この香りをウェルビーイングのアプローチで生み出そうと考えました。つまりシンプルに究極の幸福感やエネルギーをもたらす香りを生み出すと言うことです。まずはブラックカラントを中心に組み立てていくことにしました。ラズベリーのフルーティさがより軽やかに弾むムードがこのブラックカラントにはあります。

さらに、ブラックカラントリーフが、セドラやレモンのフレッシュ感を引き立ててゆきます。キャロットシードはグラースで特別な方法で抽出した精油です。ウッディでフルーティなこの精油が、バジルとアプリコット、フィグにより、適度な甘さを持つことにより、ブラックカラントのグリーンの側面を和らげてゆきます。

キャロットシードのエッセンスは昔から存在していましたが、これを使用することは一般的ではありません。ナント地方でのみ生息しており、生産量が少なく、グラースで特別な蒸留法により抽出しています。種子を時期をかけ乾燥させ、その後、蒸留し、生々しい攻撃的なキャロットのエッセンスを、数週間、場合によっては数か月放置して柔らかくなるのを待ってから、再度蒸留して、よりビロードのような虹色の香りを抽出していくのです。非常に柔らかな肌を思わせるアプリコットに近いオーラを解き放つためには、6~8 か月の作業が必要です。

ジャックは「ル ジュール スレーヴ」の隠し味としてキャロットシードを使用していました。しかし、今回は主役の一人として登場させたのでした。そこにブラックカラントを組み合わせるのは、もっともっと一般的ではありません。

私は対照的な香水が好きなので、反対のものを組み合わせることがよくあります 」と言うジャックは、キャロットシードのビロードのようにシルキーなアプリコットのニュアンスによって、ブラックカラントの野生のパワーを目覚めさせ、この甘さを打ち破り、よりしっかりとした味わいを生み出させることに成功しています。

それは女性でたとえると、ドレスアップし、さらにしっかりとしたボディラインで人々を魅了するようです。つまりブラックカラントによって、キャロットの魅力を引き立てようと考えたのでした。

活気に満ちた、非常に安心感のある心地よさを提供するために、コリアンダー、ミント、バジルなどのハーブを組み合わせ、最後にグラース産メイローズのほのかな香りが、フローラルの華やかな甘い余韻を残してくれます。これは、ジャックが、ボトックススムージーの中に、ルイ・ヴィトンのフランスのシグネチャーであるボルドーワインのニュアンスを忍ばせたかったためです。

最後に、ルイ・ヴィトンの香水の香りの特徴であるメイ ローズを加えています。それはまさに化粧的で、心を落ち着かせる、そして超越的な効果をもたらします。

ジャック・キャヴァリエ

さらにさらに最後に、このカクテルに爆発的な感覚を与えるためにカラブリアンオレンジエッセンスを加え、完成に至りました。

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自分が香りたいと思うフルーツが立ち上る〝魔法のスムージー〟

©LOUIS VUITTON

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この香りの調香のインスピレーションの源として、意外でしょうがNobu Malibuのフュージョン料理があります。中華鍋ポケボウルでフレーバーや食材を混ぜる方法と、シンプルで自然な材料を組み合わせることによって、創造性の分野が広がるのです。

ジャック・キャヴァリエ

パンデミックの中、世界中の人々は孤独な島に住んでいました。濃霧が立ち込める太平洋の中にある孤独な島から、その海流の流れに乗って、心安らぐ大地に到達したいと願っていました。

遂にビッグウェイブがやってきました!さあ、この波に乗って大地へ!新しい朝のはじまりです。南太平洋の情熱の島で出されるような、かぎりなく透明に近いグリーンとブルーのグラデーションで輝くカクテルが詰め込まれた香水ボトルをひと吹きすると……日の出の純粋な朝の光に包まれた空と、穏やかな海と静かな大地が出会う場所に、身も心も瞬間移動するように、シトラスシャワーとブラックカラントが混ざり合ったカシスリキュールに全身が満たされていくのです。

素肌の上に、マリブの空と海と丘陵が誕生するようです。丘陵のグリーンと、朝のロサンゼルスの海岸沿いに広がる海と空のブルーのグラデーションが引き伸ばされていくようです。

圧巻なのは、後ろから前から押し寄せてくる爽やかなミントとコリアンダーのコントラストが、モヒートとロゼの側面を付け加えながら、ひとまとめになり、疾風のように甘やかに駆け抜けてゆく瞬間にあります。

すぐに洋ナシのような植物性ムスク・アンブレットシードが野菜のようなキャロットシードと遭遇し、ハーブ香るヘルシーな野菜サラダのような空気感を漂わせてゆきます。そして、甘いアプリコットやマンゴー、グアバのようなトロピカルフルーツと氷のようなバジルが、カシスのカクテルに注ぎ込まれ、フルーティなスムージーを素肌の上に引き伸ばしてくれるのです。

まるでマリブビーチからオープンカーでファーマーズマーケットに向かって疾走し、到着して、自分の大好きなフルーツとハーブと野菜がミックスされたスムージーを全身で浴びるような、この香りに身を置くたびに、自分が香りたいと思うフルーツが立ち上ってくるのです(だからこそ人によって、キウイ、マンゴー、グアバ、ハネデューメロン、パイナップル、ストロベリーの香りという、それぞれ違う言葉が自然に出てくるのです)。

ジャック・キャヴァリエの調香が、ルイ・ヴィトンへと到達してから冴えているのは、嗅覚と感情を結びつける魔法のような香りを生み出しているところにあるのです。「SPELL ON YOU」が、〝魔法のフローラル〟であるなら、こちらは〝魔法のスムージー〟なのです。

そんなミントが程よく効いた〝魔法のスムージー〟の香りが、フィグのミルキークリームが全身に塗り込められ、滑らかな手捌きでトリートメントされているような、至福と忘却のやすらぎのひと時に身も心も奪われていきます。激しく身に吹きかけると、甘い情熱にほだされ、軽く身にまとうと、冷たいスムージーにデトックスのように五感を刺激し、心の解放へと誘います。

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The Show Must Go On

©LOUIS VUITTON

まだまだ続いていくこのコレクションから目が離せない。

私がこのコレクションで新たな章を開いていきたいと考えているのは、ロサンゼルスについて香水では表現していないたくさんのことです。特に夜の過剰さがあるかもしれません。シティ オブ スターズ」はすべての魅力的な姿で夜の始まりとなったが、まだ解き明かすべきもう一つの夜の姿がまだ残っています。

また、自然の二重性、水と砂漠の衝突もあり、これを片面に非常に黄色で非常に砂漠、もう片面に非常に青いものを使用して、有彩色で表現できる可能性があります。

ジャック・キャヴァリエ

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香水データ

香水名:パシフィック チル
原名:Pacific Chill
種類:オード・パルファム
ブランド:ルイ・ヴィトン
調香師:ジャック・キャヴァリエ
発表年:2023年
対象性別:ユニセックス
価格:100ml/42,900円
公式ホームページ:ルイ・ヴィトン


トップノート:オレンジ、セドラ、レモン、ミント、ブラックカラント、コリアンダー
ミドルノート:アプリコット、バジル、キャロットシード、メイローズ
ラストノート:デーツ、フィグ、アンブレットシード

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